目覚ましを止めたついでに、SNSを開く。同世代の転職報告や、きれいに整った朝の写真が流れてきて、起き上がる前に少し沈む。そんな朝に「今日の名言」と検索した人が、ここにたどり着いているはずです。その検索は、だれかに叱られたくて開いたものではなく、今日を少しだけ整えたくて開いたものです。
先に、今日の一本を差し出します。「少しくらいの停滞や後退はあまり気にしないでください」(大谷翔平)。今日が何日であっても、まずはこの言葉だけ持って立ち上がってもらえたらうれしいです。
この記事には二つのものを置きました。ひとつは、毎日ひとつ言葉を受け取る仕組みを、紙・SNS・アプリの三つで公平に比べた解説。もうひとつは、1日から31日まで、出典を確かめられる言葉を一日一本ずつ並べた31本と、その読み方です。今日の日付のところだけ読んでも、三つの方法だけ読んでも、どちらからでもだいじょうぶです。
\ その日の心に、その日の言葉を /
この記事を運営するAnchorでは、iPhoneアプリ「
ポケットAnchor」も作っています。アプリ独自のコレクションに3,000を超える名言を収録(収録数 国内No.1※自社調べ)。20種類以上のカテゴリーから今の気分に近いものを選ぶと、ウィジェットが毎日ひとつ、その日の言葉を見せてくれます。同じ言葉でも、響く日と響かない日があるから、毎日ひとつずつ。基本機能は無料です。
今日の名言を毎日ひとつ受け取る3つの方法
「今日の名言」を毎日読み続けるコツは、気合いではなく置き場所です。言葉が向こうからやってくる仕組みをひとつ持つと、探す手間が消えて、読むだけになります。出版社などが毎朝メールで言葉を届けるサービスもありますが、ここでは手元に置きやすい三つの仕組みを比べます。
今日の名言を日めくりカレンダーで受け取る
机の上やトイレ、玄関に掛けて、朝めくる。いちばん古くて、いちばん手間のかかる方法です。ただ「めくる」手の動きが一日の区切りになり、ほかの情報がいっさい目に入らないのが強みです。言葉を選ぶのは作り手で、出典の書き方は商品によって差があります。費用は購入のときに一度だけ。スマホ以外の場所に言葉を置きたい人、朝の動作に区切りがほしい人に向いています。
今日の名言をSNSのアカウントで受け取る
XやInstagramで名言を毎日投稿するアカウントをフォローする方法です。無料で今日から始められて、前向きな言葉、文学の一節、スポーツ選手の言葉と、好きな系統を自分で選べます。一方で、言葉を選ぶのは投稿者で、出典が曖昧な投稿が混ざりやすいのも事実です。そして言葉は、ほかの投稿と同じタイムラインに流れてきます。気づくと別の投稿を見ているのは、SNSの仕組みがそうなっているだけで、意志の弱さではありません。すでに毎日SNSを開く習慣がある人、言葉の系統を自分で選びたい人に向いています。
今日の名言をアプリとロック画面ウィジェットで受け取る
名言アプリを入れて、ロック画面やホーム画面のウィジェットに言葉を置く方法です。スマホを手に取って最初に目に入る画面が、通知ではなく言葉になります。SNSを開く「前」に言葉が届くのが、この方法だけの特徴です。
ここだけ、私が作ったアプリの話をさせてください。私(真瀬康晴)は、開いた最初の画面を言葉ひとつにしたくて、
ポケットAnchor(App Store)という名言アプリを作りました。iPhone向けで、1日1回アプリを開くと「今日の言葉」が全画面で届き、ロック画面・ホーム画面のウィジェットにも言葉を表示できます。この記事の31本は今日じっくり読むためのもの、アプリは暮らしの中で言葉に触れるためのもの、と役割が違います。ほかの名言アプリでも、ウィジェットで毎日言葉を受け取ることはできます。
置き方はiPhoneの標準の手順です。ロック画面なら、ロック画面を長押しして「カスタマイズ」をタップし、ロック画面を選んでから、時計の下のウィジェット欄をタップしてアプリを選びます。ホーム画面なら、空いている所を長押しして左上の「+」(iOSのバージョンにより「編集」→「ウィジェットを追加」)からアプリを選びます。iOSのバージョンによって表示名が少し違うことがあります。一度置けば、あとは言葉が毎日入れ替わります。基本無料のものが多く、一部機能が有料のアプリもあります。朝いちばんにスマホを見てしまう人、置いたら忘れたい人に向いています。
3つの方法を比べると
| 観点 |
紙の日めくり |
SNSの名言アカウント |
名言アプリとウィジェット |
| 手間 |
毎日めくる |
フォローすれば流れてくる |
最初に置けば自動で入れ替わる |
| 続けやすさ |
置き場所しだい。めくり忘れがたまる |
開く習慣があれば続く |
スマホを見るたびに目に入る |
| 言葉の選ばれ方 |
作り手が一年分を決める |
投稿者が選ぶ。系統は自分で選べる |
アプリの収録から届く。カテゴリーを選べるものが多い |
| 出典の分かりやすさ |
商品による |
曖昧な投稿が混ざりやすい |
アプリによる。表示のあるものを選ぶ |
| ほかの情報が目に入るか |
入らない |
入る(同じタイムラインに流れる) |
ロック画面なら通知より先に言葉が見える |
| 費用の目安 |
購入 |
無料 |
基本無料のものが多い |
| 向いている人 |
スマホから離れた場所に言葉を置きたい人 |
系統を自分で選びたい人 |
朝いちばんにスマホを見てしまう人 |
どれが一番、という答えはありません。朝の動作に区切りがほしいなら紙、言葉の系統を自分の手で選びたいならSNS、起きてすぐスマホを見る癖がすでにあるならウィジェット。自分の朝のかたちに近いものを、ひとつだけ選んでみてください。合わなければ替えればよいだけです。
1日〜10日の言葉|始める10日間
最初の10日間は、朝を迎えることと、一日の型をつくることの言葉を集めました。月の初めに気負わず、まずは「今日一日」だけを相手にする10日間です。
1日【カール・ヒルティ】始める日に
寝床につくときに、翌朝起きることを楽しみにしている人は幸福である。
(カール・ヒルティ)
出典:『幸福論』
スイスの思想家ヒルティが『幸福論』に残した言葉です。翌朝を楽しみに眠る、と聞くと遠い話に感じます。仕事の前の晩は、明日を思って布団の中で重くなる人のほうが多いからです。だから月の初めに、明日の朝の「ちいさな楽しみ」をひとつだけ決めてから眠ってみる。好きな飲み物でも、通勤で聴く一曲でもかまいません。幸福は大きな出来事ではなく、翌朝への小さな期待から始まります。
2日【ヘンリー・デイヴィッド・ソロー】朝を迎える日に
朝とは、私が目覚め、自分の中に夜明けがあるときのことだ。道徳的改革とは、眠りを振り払う努力である。
(ヘンリー・デイヴィッド・ソロー)
出典:Walden, Where I Lived, and What I Lived For章
湖のほとりの小屋でひとり暮らした記録『ウォールデン』の一節です。ソローにとって朝とは時刻ではなく、自分の中に夜明けが来た瞬間のことでした。目覚ましで体は起きても、心はまだ眠ったままの朝があります。カーテンを開けて光をひと目見る、水を一口飲む。そのくらいの動作で、自分の中の夜明けは呼べます。体より先に、心を起こす。朝はそこから始まります。
3日【稲盛和夫】今日を大切にする日に
今日一日を一生懸命に生きさえすれば、未来は開けてくる。
(稲盛和夫)
出典:『人生と経営 人間として正しいことを追求する』
京セラを創業した稲盛和夫が、人生と経営をふり返って語った言葉です。三年後の自分がどうなっているか、寝る前に考え始めると答えのない不安だけが残ります。この言葉は不安を否定せず、相手にするのは今日一日だけでいいと言っています。未来は計画の先にあるのではなく、今日の積み重ねの先にひとりでに開けてくる。目の前の一日に手を伸ばす。未来のほうは、あとからついてきます。
4日【松下幸之助】一日の型をつくる日に
朝に発意、昼に実行、夕べに反省、こういう日々をくり返したいということです。
(松下幸之助)
出典:『商売心得帖』序文
『商売心得帖』の序文に書かれた、一日の型です。朝にひとつ決め、昼にやってみて、夕方にふり返る。その循環を「くり返したい」と願う点に、この言葉のやさしさがあります。夕方の反省は、自分を責める時間ではありません。帰りの電車で「今日はあれをやれた」と確かめる時間です。4日目は、朝に「今日はこれだけ」をひとつ決めてみる日です。型があると、一日の終わりに戻ってくる場所ができます。
5日【松下幸之助】新しくする日に
日々是新なれば、すなわち日々是好日。素直で謙虚で、しかも創意に富む人は、毎日が明るく、毎日が元気。
(松下幸之助)
出典:『道をひらく』「日々是新」(PHP研究所、1968年)
『道をひらく』の「日々是新」という一編にある言葉です。同じ時間に起き、同じ道を通り、同じ席に座る日々は、どこかで色あせて見えてきます。松下幸之助は、日々が新しいかどうかは出来事ではなく見方で決まる、と言い切りました。通勤路の看板や同僚の髪型の変化。いつもの一日の中に「新しいところ」は、ひとつありますか。見つかった分だけ、その日は好日に近づきます。
6日【為末大】一日に名前をつける日に
「今日の1日にタイトルをつけるとすれば何だろう?」と考えるようになりました。
(為末大)
出典:One Career インタビュー
元陸上ハードル選手の為末大が、インタビューで語った習慣です。この発想が面白いのは、良い日も悪い日も等しく「一本の作品」として扱える点です。「会議で一言だけ言えた日」でも、「何もしないと決めた日」でもいい。帰りの電車で、今日のタイトルを心の中でひとつ考えてみる。タイトルがつくと、流れて消えるはずだった一日に輪郭が生まれます。
7日【ゲーテ】自分を信じてみる日に
自分を信頼し始めたその瞬間に、どう生きたらいいのかがわかる。
(ゲーテ)
出典:Goethe, Faust I(ファウスト第一部), Vers 2062(メフィストフェレスの台詞)
『ファウスト』第一部で、悪魔メフィストフェレスがファウストに語る台詞です。学者のファウストが、自分には軽やかに世を渡る術がないとためらうのを受けて、自分を信じればすぐに生き方はわかると言い、世の中へ連れ出そうとします。悪魔の誘いだと知ると身構えますが、それも込みで読むと味わいが変わります。調べ尽くした先ではなく、自分を信じると決めた瞬間に道は見える。疑いながらでかまいません。信じる相手は、他人ではなく自分です。
8日【有島武郎】小さなことを見る日に
小さなことが小さなことでない。大きなことが大きなことでない。それは、心一つだ。
(有島武郎)
出典:短編『小さき者へ』(1918年)
母を亡くした幼い子どもたちへ、父が語りかける形で書かれた『小さき者へ』の一節です。母の死は、世間から見ればありがちな事柄かもしれない。それでも世の中が無頓着なのを恥じず、ありふれた事柄の中から人生の淋しさに深くぶつかれる。そう語った直後の言葉です。朝の「おはよう」や、机の上を片づけること。今日の小さなことを、小さくないものとして扱ってみる。小さいか大きいかを決めるのは、心一つです。
9日【長友佑都】なりたい自分を描く日に
僕は自分の未来像、なりたい自分像をいつも意識している。それは日々進化し、微調整を繰り返している。
(長友佑都)
出典:『日本男児』(ポプラ社)
インテルに移籍した直後に出した初めての自伝の中の言葉です。なりたい自分像を持つ、というと大きな目標を思い浮かべますが、長友佑都が語っているのは「微調整を繰り返す」ほうです。像は一度決めたら固定するものではなく、日々書き換えてよいもの。だれかの姿を見て沈む夜は、その人の像をいつのまにか物差しにしているのかもしれません。今日はどこを、自分の言葉で少しだけ書き換えますか。
10日【フョードル・ドストエフスキー】新しい一歩を踏む日に
新しい一歩を踏み出すこと、新しい言葉を発することは、人々が最も恐れることである。
(フョードル・ドストエフスキー)
出典:『罪と罰』
『罪と罰』の冒頭、主人公ラスコーリニコフが町を歩きながら胸の内でつぶやく言葉です。作中では危うい思考へ向かう入口の言葉ですが、人が新しい一歩をどれほど恐れるかの観察としては正確です。会議で一言はさむこと、初めての相手に連絡すること。恐れるのは弱いからではなく、人がみなそうできているからです。恐れは消さなくてだいじょうぶです。恐れたまま、小さな一歩を踏む。新しい言葉は、そうやって発せられます。
11日〜20日の言葉|続ける10日間
月の半ばは、始めたことが止まりやすい時期です。この10日間には、続けることと、止まったときの受け止め方の言葉を並べました。
11日【サミュエル・スマイルズ】単純にやる日に
人生における最大の成果は通常、単純な手段と普通の資質の行使によって達成される
(サミュエル・スマイルズ)
出典:『自助論』(Self-Help)
明治のはじめに『西国立志編』として翻訳され、多くの若者に読まれた『自助論』の一節です。特別な才能や裏技ではなく、単純な手段と普通の資質で成果は出る。スマイルズはそう言い切りました。続かない自分を「才能がない」と責めるとき、この言葉は視線を変えてくれます。やり方を増やさず、いちばん単純な一手をもう一度。できそうな日だけで、ちゃんと続いています。
12日【エイブラハム・リンカーン】最善を尽くし続ける日に
私は自分の知る限り、そしてできるかぎり最善を尽くしている。最後まで、そうし続けるつもりでいる。
(エイブラハム・リンカーン)
出典:Francis B. Carpenter『Six Months at the White House with Abraham Lincoln』(1866) Ch.LXVIII
ホワイトハウスで半年を過ごした画家カーペンターが、批判に対してリンカーンが語った言葉として書き残したものです。「自分の知る限り」「できるかぎり」という二つの限定がついているところが、この言葉の正直さです。提出前夜、足りないところばかりが目につくときも、知る限りの最善は出せています。自分の限界の内側で尽くしたことを、ちゃんと最善と呼ぶ。今日はそれだけで十分です。
\ 明日はまた、ちがう言葉に出会える /
響く言葉には、出会えたでしょうか。心は毎日移り変わるから、言葉との相性も日ごとに変わります。私たちのiPhoneアプリ「
ポケットAnchor」は、アプリ独自のコレクションから毎日ひとつ、ウィジェットに言葉を映します。今日のあなたに響かなくても、明日はまた別の言葉が来てくれる。その気楽さも、このアプリの取り柄です。基本機能は無料です。
13日【大谷翔平】停滞を気にしない日に
少しくらいの停滞や後退はあまり気にしないでください
(大谷翔平)
出典:酒井医療株式会社 スポーツサポート特集インタビュー
スポーツに取り組む人へ向けたインタビューの中で、大谷翔平が語った言葉です。成長の話で、たいていの人は「伸びた日」を語ります。この言葉は「止まった日」のほうを先に受け止めています。月の半ばで、始めたことが三日空いたとしても、それは失敗ではなく停滞です。停滞は、やめたこととは違います。13日目は、止まっている自分を責めずに、ただ今日の分をひとつ置き直す日です。
14日【大谷翔平】難しくても信じる日に
今は難しくても、そのうち乗り越えられる、もっともっと良くなるという確信がありました
(大谷翔平)
出典:タウンワークマガジン「自分に限界を感じたことはない|大谷翔平を高みへ導く”成長思考”」
別のインタビューで、壁にぶつかった時期をふり返って語った言葉です。注目したいのは「今は難しい」を否定していないところです。難しさを認めたまま、その先に良くなる自分を置いている。できていない今と、できるようになる未来を、同じ視界に入れている状態です。うまくいかないことに、「今は」と二文字を足してみる。その二文字が、難しさの向こう側に道を残します。
15日【マーク・トウェイン】元気がほしい日に
自分を元気づける一番良い方法は、誰か他の人を元気づけてあげることだ。
(マーク・トウェイン)
出典:Mark Twain’s Notebook
トウェインが自分のノートに書き残していた一文です。元気がないとき、人は自分の中をのぞき込んで元気を探します。トウェインは、探す場所を外に変えました。同僚の資料に「助かりました」と返す、家族の話を最後まで聞く。相手が少し明るくなるのを見たとき、自分の中にも同じものが灯ります。月の折り返しの15日目は、元気を探すのではなく、だれかにひとつ渡してみる日です。
16日【三浦知良】ひとつを続ける日に
たったひとつのことを続けることって尊いことだと思うんです
(三浦知良)
出典:Sports Graphic Number(インタビュー)
だれよりも長くプロのピッチに立ち続けてきた三浦知良が、インタビューで口にした言葉です。「尊い」という言葉を、結果ではなく「続けること」そのものに向けています。自分がもう続けていることを、ひとつ思い出してみてください。朝のコーヒーでも、毎日の挨拶でも、それはもう続いている「ひとつ」です。尊いと呼ぶのに、遠慮はいりません。
17日【枡野俊明】やってみる日に
やってみなければ失敗するかどうかはわからないのです。わからないことは放っておく。失敗に縛られない。
(枡野俊明)
出典:『仕事も人間関係もうまくいく放っておく力』
曹洞宗の僧侶であり、庭園デザイナーとしても知られる枡野俊明の言葉です。失敗を恐れて動けない状態を、「まだ起きていないことに縛られている」と言い当てています。会議で提案する前、頭の中で失敗の場面だけが先に再生される。でもそれは、まだ起きていないことです。結果の予想はいったん放っておく。やってみるところまでを、自分の仕事にする。わかるのは、そのあとです。
18日【星野ルビー】したいことをする日に
したい事をするのが人生でしょ!コストとかリターンとか言ってたら何も出来ない!
(星野ルビー)
出典:原作コミックス『【推しの子】』2巻第11話
『【推しの子】』で、アイドルを目指す星野ルビーが言い放つ台詞です。損得の計算を蹴とばす勢いで、「したい事をするのが人生でしょ」と言い切る。アイドルの道を自分で選び取ろうとするルビーだから、この台詞に迷いはありません。大人になるほど損得で動くことが増え、それ自体は悪くありません。ただ、したいことまで損得で止めていたら、ルビーの声を借りて、ひとつだけ損得抜きで選んでみる。コストもリターンも、その日は置いておく。
19日【ピーター・ドラッカー】何かを手放す日に
成果をあげる者は、新しい活動を始める前に必ず古い活動を捨てる。
(ピーター・ドラッカー)
出典:『プロフェッショナルの条件』
経営学者ドラッカーの、仕事の進め方についての言葉です。新しいことを始めるとき、たいていの人は足し算で考えます。でも一日の長さは変わらず、足すだけではどこかで全部が薄くなります。先に捨てる。それも「必ず」です。続かないのは意志ではなく、入れ物があふれているだけのことがよくあります。始めたいことのために、惰性で続けていることをひとつだけ手放す。捨てるものが見つからない日は、入れ物にまだ余白があるというだけのことです。
20日【甲斐真人】胸を張る日に
負けは勝ちより、人間を成長させてくれる。明日を信じて、胸を張れ。
(甲斐真人)
出典:小説『俺たちの箱根駅伝』上巻(池井戸潤、文藝春秋、2024年)
池井戸潤『俺たちの箱根駅伝』で、本選に届かなかった大学の選手で組む学生連合チームを率いる監督・甲斐真人の言葉です。負けた側の選手たちに向けられた言葉だからこそ、「胸を張れ」が慰めではなく指示として響きます。負けた日は下を向くのがふつうです。この言葉はそれを否定せず、顔を上げる向きだけを示しています。うまくいかなかったことをひとつ思い出して、それでも胸を張って帰る。明日を信じる、とはそういう姿勢のことです。
21日〜31日の言葉|振り返って次の月へ
最後の11日間は、月をふり返り、時間と幸せを見つめ直す言葉です。昨日の成功を手放すこと、恐れずに試すこと、時間をいとおしむこと。次の月へ手渡すための言葉を集めました。30日までの月は、31日の言葉を予備の一本として、好きな日に読んでください。
21日【オグ・マンディーノ】昨日の成功に寄りかからない日に
昨日の成功が今日の怠慢につながるのを許さない。これこそが失敗の大いなる土台だから。
(オグ・マンディーノ)
出典:The Greatest Salesman in the World(1968)
古代の巻物に書かれた教えという形で語られる『The Greatest Salesman in the World』の一節です。失敗の土台は失敗ではなく、昨日の成功だと言っています。うまくいった翌日ほど、手が止まります。ひと息は必要です。ただ、それが三日になるのを「許さない」と決めるところまでが、この言葉です。21日目は、今月うまくいったことをひとつ思い出して、その続きを今日もう一度やってみる日です。
22日【司馬遼太郎】夕陽を見る日に
昨日の夕陽が、きょうも見られるというぐあいに人の世はできないものらしい
(司馬遼太郎)
出典:燃えよ剣(文藝春秋)
新選組の土方歳三を描いた『燃えよ剣』の中の一節です。昨日の夕陽は、きょうは見られない。同じ一日は二度と来ないという寂しさを、作中の言葉は静かに受け止めています。終わっていくものを惜しむ気持ちに、ふたをする必要はありません。そのうえで、帰り道に空が赤くなっていたら、一度だけ立ち止まって見てみてください。昨日とは違う、今日の夕陽です。
\ 言葉の置き場所を、ひとつ増やす /
本で読む言葉、記事で読む言葉。それとはまた別に、暮らしの動線に言葉をひとつ置いておく方法があります。私たちのiPhoneアプリ「
ポケットAnchor」は、アプリ独自のコレクションに3,000を超える名言を収録(収録数 国内No.1※自社調べ)。ウィジェットを置けば、スマホを開くたび、今日の言葉が目に入ります。基本機能は無料です。
23日【チャールズ・ダーウィン】一時間を惜しむ日に
一時間を無駄にする勇気のある人は、生命の価値をまだ発見していない。
(チャールズ・ダーウィン)
出典:書簡(妹スーザンへ 1836年8月4日 DCP-LETT-306)
ビーグル号での長い航海が終わりに近づいたころ、ダーウィンが妹スーザンに書き送った手紙の一節です。「無駄にする勇気」という言い方に、若い研究者の焦りと熱がにじんでいます。休む一時間は、無駄ではありません。惜しむのは、何をしているか自分でも分からない一時間のほうです。今日の中にそういう一時間があったら、自分で決めた使い方にひとつ替えてみる。見つからない日は、それはそれでよく使えた一日です。
24日【アガサ・クリスティ】時間をいとおしむ日に
人生で最も素晴らしいものとは、時間だと思う。
(アガサ・クリスティ)
出典:An Autobiography(自伝)
数えきれない物語を書いたクリスティが、自伝の中で残した言葉です。前日のダーウィンが時間を「惜しむ」側から語ったのに対し、クリスティは「素晴らしい」側から語っています。同じ時間でも、向ける目で見え方が変わります。今日が何もない一日に思えても、時間そのものは手元にあります。今日は、空いた時間を埋めなくてだいじょうぶです。持っている、と感じるだけで、時間はもう素晴らしいもののほうに数えられています。
25日【ジェラルド・G・ジャンポルスキー】今だけを生きる日に
今だけが存在する唯一の時間であり、一瞬一瞬は与えるためにあります。
(ジェラルド・G・ジャンポルスキー)
出典:Teach Only Love(1983)/ Attitudinal Healing International 12 Principles
精神科医ジャンポルスキーが、自身の活動の原則として掲げた言葉のひとつです。過去の後悔と未来の不安は、どちらも「今」ではありません。この言葉はさらに、今は「与えるためにある」と言っています。寝る前に今日の反省が止まらなくなる夜は、今がいつのまにか過去のほうへ引っぱられています。今この瞬間にできる小さな「与える」を、ひとつ。ひとことの「ありがとう」で、今は今に戻ります。
26日【エピクテトス】人生の使い方を問う日に
人生そのものはどうでもよいことだが、人生の使い方はどうでもよいことではない。
(エピクテトス)
出典:語録 第2巻第6章第2節
奴隷の身分から哲学者になったエピクテトスの、弟子が書き残した語録の一節です。「人生そのものはどうでもよい」と聞くと冷たく感じますが、続きを読むと意味が変わります。生まれや境遇は選べない。でも、与えられた分の使い方は自分で決められる。選べないものに心を使わず、選べるものに使う。それがこの言葉の芯です。26日目は、今月の自分が「選べたこと」だけを数えてみる日です。
27日【ヴォルフガング・アマデウス・モーツァルト】恐れずに試す日に
一つ確かなことがある。私はこの試みを恐れない。
(ヴォルフガング・アマデウス・モーツァルト)
出典:父レオポルトへの書簡(マンハイム、1778年2月7日)、Friedrich Kerst編 “Mozart: The Man and the Artist, as Revealed in His Own Words”(1906)所収
22歳のモーツァルトがマンハイムから父に書き送った手紙の一節です。当時、進路をめぐって父と手紙で意見をぶつけ合っていました。「一つ確かなことがある」と前置きしてから、恐れないとだけ言う。うまくいく保証ではなく、恐れないことだけを確かだと言っているところに、若さと覚悟の両方があります。結果が読めないことをひとつ選んで、恐れないほうを「確かなこと」にしてみる。今日の一つ確かなことは、何でしょうか。
28日【アルベール・カミュ】幸せを急がない日に
幸福になるには時間がかかる。非常に長い時間が。
(アルベール・カミュ)
出典:『幸福な死』(1938年執筆、1971年刊)
カミュが若い日に書き、生前には出版されなかった最初の小説『幸福な死』の一節です。幸福は手に入れるものではなく、時間をかけてなるものだと言っています。SNSを開くと、だれかの幸福は完成した形で流れてきます。でもそれは一枚の写真であって、時間の全体ではありません。自分の幸福が途中に見えるのは、途中だからです。28日目は、まだ幸せになり切れていない自分を、時間がかかっているだけだと受け止める日です。
29日【中村天風】恵まれていることに気づく日に
何をする場合でも、現在恵まれていることに感謝しなさい。
(中村天風)
出典:『君に成功を贈る』(天風会)
多くの経営者や選手に影響を与えた中村天風の、講話をもとにした本の言葉です。感謝しなさいと言われても、足りないものばかりが目につく日はあります。そんな日に天風が指さしているのは、「現在」という一語です。将来の不安でも過去の損失でもなく、今この瞬間に手元にあるもの。温かい飲み物、帰る場所、話を聞いてくれる人。足りないものを数えるのをやめて、今あるものをひとつだけ口に出してみる。口に出せない日は、思い浮かべるだけでも感謝になります。
30日【太宰治】心配のない半日を探す日に
人間三百六十五日、何の心配も無い日が、一日、いや半日あったら、それは仕合せな人間です。
(太宰治)
出典:太宰治『ヴィヨンの妻』(1947年)
戦後まもなく発表された『ヴィヨンの妻』の中の言葉です。中野で小さな料理屋を営む主人が、語り手の大谷の妻に身の上を語り、人間の一生は地獄だ、一寸の仕合せには一尺の魔物がくっついてくる、と言った直後の言葉です。裏を返せば、心配のある日がふつうだということです。心配が消えない自分をどこかおかしいと思っていた人ほど、この言葉で肩の力が抜けます。今月の中に「心配のなかった半日」はありましたか。あったなら、それで十分に仕合せです。
31日【日野原重明】命の時間を思う日に
命というのは君たちが使える時間の中にあるんだよ
(日野原重明)
出典:『命の授業』講演・著作
100歳を超えても現役の医師であり続けた日野原重明が、小学生に向けた「いのちの授業」で語った言葉です。命はどこにあるかと子どもたちに問い、心臓ではなく「使える時間の中」にあると答えました。この一か月、時間の言葉が続いたのはここに戻るためです。時間を使うことは命を使うことです。だから急がなくていいし、無駄にもしたくない。次の月の最初の一日を、だれのために使うか。月の最後の日に、それだけを思ってみてください。
今日の名言を続けるコツ
1日ひとつだけ読む
31本を一気に読むより、今日の日付の一本だけを読むほうが残ります。言葉は量ではなく、その日の自分の状況と重なったときに効きます。読み終わったらページを閉じてかまいません。一本を一日かけて持ち歩く。それがこの記事の使い方です。
読めなかった日の戻り方
三日空いたとき、空いた分を取り戻そうとすると、そこで止まります。戻り方はひとつだけです。今日の日付の一本を読む。飛ばした日の言葉は、来月の同じ日に待っています。13日の大谷翔平の言葉のとおり、停滞はやめたことではありません。
きょうの半歩
この一か月でひとつだけ試すなら、明日の朝、いちばん最初に目に入るものを言葉ひとつにすることです。紙の日めくりを枕元に置くのでも、名言アカウントをひとつフォローするのでも、ロック画面にウィジェットを置くのでもかまいません。SNSをやめる必要はありません。朝の順番を、ひとつだけ入れ替えてみる。それが今月の半歩です。
よくある質問
Q. 今日の名言はどこで読めますか?
この記事では、今日の日付の見出しを探してください。1日から31日まで、出典つきで一本ずつ並べています。毎日自動で受け取りたいなら、前半で比べた三つの方法のどれかを選ぶと探す手間がなくなります。
Q. 毎日続けるコツはありますか?
言葉が向こうから来る仕組みをひとつ持つことです。意志で続けようとすると忙しい週に途切れます。置き場所を決めれば読むだけになります。読めなかった日は取り戻さず、今日の分だけ読んでください。
Q. 紙・SNS・アプリ、どれがいいですか?
朝のかたちで選ぶのがいちばん確かです。スマホから離れた場所に言葉を置きたいなら紙、言葉の系統を自分で選びたいならSNS、起きてすぐスマホを見る癖があるならウィジェット。比較表も参考にして、ひとつ試して合わなければ替えてください。
Q. 365日分はないのですか?
この記事は、出典を確かめられる言葉だけに絞ったので31本です。日付と言葉の数を合わせるより、どの一本も「だれがどこで言ったか」をたどれることを優先しました。翌月はまた1日から読み直せます。同じ言葉でも、月が変わると違う場所に刺さります。
まとめ
今日の名言を毎日ひとつ受け取る方法は、紙の日めくり・SNSの名言アカウント・名言アプリのウィジェットの三つがあり、この記事には出典つきの31の言葉を日付ごとに置きました。どれが正解という話ではなく、自分の朝に合うものをひとつ選ぶ話です。
今日の一本を読み終えたら、もう十分です。明日の朝、目に入る順番をひとつだけ入れ替えてみてください。言葉が先に来る朝は、同じ一日でも少し違う始まり方をします。
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