落ち込んだ時に元気になる方法は?無理せず今日の深さで選ぶ3段階

落ち込んだ時は無理に元気を出さなくていい。動けない日・少し動ける日・普段に戻りたい日の深さ別に、休み方と5分の行動、言葉で戻る一文の書き方を紹介。支えになる名言3本とFAQつき。
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帰りの電車で、いつもなら読める本が一行も入ってこない。家に着いても電気をつけず、しばらく天井を見ている。落ち込んだ時に元気になる方法を探しているなら、先に一つだけお伝えします。無理に元気を出さなくていいのです。落ち込みは治すものではなく、通り過ぎるもの。この記事では今日の落ち込みの「深さ」を三つに分けて、それぞれに合う小さな方法を置きました。全部やる必要はありません。今日の深さに合うものを一つ選べば、それで十分です。
先に白状しておくと、私も落ち込むとまず「早く戻らなきゃ」と焦る側の人間です。焦って無理に動いた日ほど、翌日に反動が来ました。だからこれは、落ち込まなくなった人の話ではありません。落ち込んだ日をどう通り過ぎるかの話です。

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元気になれない日があるのは、おかしなことではない

元気が出ない日があると、人はすぐに理由を探します。あの一言のせいか。寝不足か。自分の性格の問題か。けれど理由が見つからないまま沈む日もあります。理由がわからなくてもいいのです。元気になれない日があることは、まじめに生きている人に起きる、ごくふつうのことです。ここではまず、落ち込みというものの形を確かめます。形がわかると、少し扱いやすくなります。

落ち込みは治すものではなく、通り過ぎるもの

身近なたとえで言えば、落ち込みは雨雲です。晴れろと念じても晴れないし、雨の原因を考え続けても雲は動きません。雨の日にできることは決まっています。傘を持つこと。濡れた体を拭くこと。そして雲が流れていくのを待つこと。落ち込みも同じで、治す対象ではなく、通り過ぎるのを少し楽に待つ対象なのです。
これまで何度も落ち込んできた人なら、思い当たることがあるはずです。あのとき一生続くように感じた重さが、いまは思い出せないほど薄くなっていること。今日の重さも、その途中にあると考えてみてください。ただ、通り過ぎる速さだけは日によってちがう。だから今日の雨の強さを見て、やることを選ぶのです。

「早く元気にならなきゃ」がいちばん重くなる

落ち込んだ日に重さを倍にしているのは、落ち込みそのものより「早く元気にならなきゃ」の声です。沈んでいることと、沈んでいる自分への評価。この二つを同時に背負うと、ただの雨の日が、自分を裁く日に変わってしまいます。私の実感でも、いちばん長引いた落ち込みはいつも、落ち込んでいる自分を責めていた時期でした。
だからこの記事では、頑張って元気を出す方法を扱いません。元気を出さなくても今日を通り過ぎるための方法だけを扱います。落ち込んだ日に自分を責める声が止まらない人は、自分を責めてしまうくせがつらいときに一文書くだけの半歩も合わせて読んでみてください。責める声の音量を下げる話を、そちらで詳しく書いています。

まず今日の深さを選ぶ

ここが、この記事でいちばん大事な手順です。方法を選ぶ前に、今日の落ち込みの「深さ」を選びます。三段階です。当てはまる項目が多いところが、今日のあなたの深さです。
深さ① まったく動けない日
□ 今日は、着替えやお風呂といった当たり前のことが重い
□ 今日は、好きなものに手を伸ばす気力も出ない
深さ② 少し動ける日
□ 動けるけれど、何をしても気が晴れない
□ 人と話す気力はないが、ひとりでいるのも少しつらい
深さ③ 普段に戻りたい日
□ 落ち込みの底は過ぎた気がするが、まだ気持ちが戻りきらない
□ 明日からはいつもの自分でいたい、と思い始めている
深さは日によって変わります。きのう③だった人が、今日①に戻ることもあります。それは後退ではなく、天気が変わっただけです。深さを選んだら、その段落だけ読んでください。ほかの段落は、別の日のためのものです。

まったく動けない日は、体を休めることだけでいい

深さ①の日にやることは一つです。体を休める。元気になるための方法は、動ける体があってはじめて使えるものです。動けない日にそれを試そうとすると、できなかったことがもう一つ増えて、重さが足されます。だから今日は、何かをする日ではなく、休むことを自分に許す日なのです。
まず、横になることを許してください。寝られるなら寝る。寝られなくても、横になっているだけでいい。「こんな時間に寝たらだめだ」と思う声が出てきたら、それは落ち込んだ日の体の声ではなく、ふだんの日の基準です。今日はその基準を一度おろします。
次に、食べられそうなら一口だけ。温かいものがあればそれを。何も作れなければ白湯でも、水でもいい。食べることや眠ることは、元気を出すための手段ではなく、雨がやむのを待つあいだの傘です。食欲がない日に無理に食べなくていい。ただ、水だけは手の届くところにあると安心です。
そして私がいちばん助けられてきたのが、この方法です。「今日はやらないこと」を決める。返信をしない。片付けをしない。そして、今日一日の反省会をしない。落ち込んだ夜の反省会は、裁判官が全員疲れている法廷です。公平な判決は出ません。やらないことを決めると、やれていない自分を責める材料が一つ減ります。もう一つ、大きな決断もしません。仕事を辞める、連絡先を消す、全部を投げ出す。どうでもよくなった夜に浮かぶ決断は、「朝のわたし」にゆずります。
明日からできる最小アクション:寝る前に「今日はやらないこと」を一つだけ口に出す。「今日は返信をしない」。これだけです。決めたことは、やれなかったことではなく、やらないと決めたことに変わります。

少し動ける日は、5分だけ向きを変えてみる

深さ②の日は、動けるのに気が晴れない日です。この日に私がよくやってしまうのが、気分を一気に変えようとすること。遠出をする、一日中予定を詰める、誰かと会って無理に笑う。そうして帰ってきた夜に、変わらなかった気分を見てまた沈む。私も何度もやりました。だから目標を変えます。気分を変えるのではなく、「向き」を5分だけ変えるのです。
いちばん手軽なのは、窓を開けることです。外の空気が入ってくるだけで、部屋の中にこもっていた時間が少し動きます。外に出られるなら、5分だけ歩く。目的地はいりません。コンビニでも、ポストまででも。木や空が見えるところなら、それで十分です。体を動かすというより、見ているものを変える感覚に近い。
次に、好きなものを一つだけ手に取ります。好きな音楽を一曲。好きだった漫画を一冊。甘いものを一つ。ここで大事なのは、楽しめなくても失敗ではない、ということです。落ち込んだ日は、好きなものの味が薄くなります。それは好きではなくなったのではなく、味を感じる側がいま疲れているだけです。手に取れた、という事実のほうを数えてください。
人に話すことについても、ひとつだけ添えさせてください。話せる相手がいて、話したいなら、話すのはとてもいい方法です。ただ、話したくない日に無理に話す必要はありません。「大丈夫?」と聞かれて「大丈夫」と答えてしまう日は、話さない選択をしたのではなく、まだ言葉になっていないだけなのです。話す代わりに「今日はちょっと沈んでる」と一行だけ送る。それも、人に話すことの一つの形です。
明日からできる最小アクション:朝、カーテンを開けたら、窓も5センチだけ開ける。外の空気を一回吸う。向きを変えるのは、それくらいの小ささで十分です。

普段に戻りたい日は、言葉を一つ読んで一文書く

深さ③の日は、底は過ぎたのに気持ちが戻りきらない日です。この日は、体ではなく言葉で戻ります。やることは二つだけ。言葉を一つ読む。そして一文書く。これを私は「言葉で戻る半歩」と呼んでいます。一歩ではなく、半歩。普段に戻るときは、勢いをつけて飛ぶより、半歩ずつのほうが着地が安定するのです。
まず、言葉を一つ読みます。名言でも、好きな本の一行でも、誰かにもらった言葉でもいい。たくさん読まないこと。一つだけ選んで、声に出さなくていいので、二回読む。落ち込んでいるあいだ、頭の中は自分の声だけで満員です。そこに外から来た一行が入ると、席が一つ空きます。
次に、一文書きます。私が使っている形は、「今日はしんどかった。でも〇〇はできた」です。〇〇には、どんなに小さいことを入れてもいい。「でも、水は飲めた」「でも、窓は開けた」「でも、この記事は最後まで読めた」。前半で今日のしんどさを認め、後半で、それでも残っていたものを一つ数える。前半を省かないことが大事です。しんどかった事実を飛ばして「できた」だけ書くと、嘘をついた感じが残ります。
そしてもう一つ。今夜のうちに、明日の朝の言葉を予約しておきます。今夜読んだ一行でも、自分で書いた一文でもいい。それを、明日の朝いちばんに目に入る場所へ置いておく。夜のわたしは、まだ完全には戻っていません。でも明日の朝のわたしは、もう少し戻っているはずです。その「朝のわたし」に向けて言葉を置いておくのは、今夜動けない人が明日に橋を架ける、いちばん小さな方法だと私は思います。
この「明日の朝の言葉を予約する」を道具で続けたい人のために、一例だけ挙げておきます。この記事を運営するAnchorが作っているアプリ「ポケットAnchor」には、自分の言葉を200字まで書き留める「つづる」という機能があります。つづった言葉はカテゴリー「自分の言葉」として、ウィジェット・通知・名言の目覚ましのどれにも設定できます。予約した明日の朝の言葉は「今朝のアンカー」として、お気に入り一覧の上部にカードで待っています。自分の言葉が浮かばない夜は、20種類以上のカテゴリーから届くアプリ独自の名言コレクションの一行に頼ることもできます(一部のカテゴリーはプレミアムです)。無料で始められます(無料の範囲では登録件数に上限があります)。もちろん、紙の付箋でも、iPhoneのリマインダーでも、ほかのメモアプリでも同じことはできます。明日の朝に自分の目に入る場所であれば、道具は何でもいいのです。
読む一行が見つからない夜のために、失敗した日・きつく言われた日・理由なく沈む日に読みたい名言15選を置いておきます。今夜の深さに近い一本を、そこから選んでください。
明日からできる最小アクション:寝る前に「今日はしんどかった。でも〇〇はできた」を一文書き、その一文を明日の朝いちばんに見える場所に置く。朝のわたしが受け取ります。

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落ち込んだ時に支えになる名言3選

ここからは、落ち込んだ時に支えになる言葉を3本だけ選びました。多く並べなかったのは、落ち込んだ日にたくさんは読めないからです。3本はそれぞれ、深さ①②③に一本ずつ対応しています。今日の深さの一本だけ読んでください。残りの二本は、別の日のためのものです。

名言1【為末大】まったく動けない日、底で待つとき

でもまた波が来るよって楽観的に考えている方が良いと思います

(為末大)

出典:マイナビニュース インタビュー
元陸上選手で、400メートルハードルで世界と戦った為末大さんの言葉です。2014年にマイナビニュースに掲載された、木暮太一さんとの対談イベントの採録にあります。「勝つことが難しいところで、どうやってモチベーションを保つか」と問われて、為末さんはこう答えました。この一文のすぐ前で、為末さんは「昨日はうまく走れたけど今日はできなかった」と話しています。世界の舞台で走ってきた人にも、きのうできたことが今日できない日がある。それを前提に、次の波を待つ構えでいる。この言葉を深さ①の日に置いたのは、まったく動けない日は、波が引いて底にいる日だからです。底にいる日にできることは、波を起こすことではありません。また来ると知って待つことです。波を自分で起こそうとしなくていい、と私は読みました。きのうは走れた、今日は走れない。それでいい。私はこの言葉を、そういう軽さとして受け取っています。

名言2【エピクテトス】少し動ける日、5分の行動を選ぶとき

小さなことから練習しなさい。そして次第に大きなことへ進みなさい。

(エピクテトス)

出典:語録 第1巻第18章第18節
エピクテトスは古代ローマ時代のストア派の哲学者で、奴隷の身分から哲学者になった人です。この言葉は『語録』第1巻第18章、他人の過ちに腹を立ててはならない、という章の一節にあります。面白いのはその先です。この一文のすぐ後に、頭が痛いときに「ああ」と言うな、と続きます。厳しい人だと思って読み進めると、こうあります。うめくなと言っているのではない。ただ、心の内側でまでうめくな。私はここに、この言葉のやさしさがあると思います。痛い日に声が出るのは止めなくていい。止めたいのは、その痛みで自分の内側まで埋め尽くすことだけです。深さ②の日にこの言葉を置いたのは、「小さなことから」が5分の行動そのものだからです。窓を開ける。5分歩く。好きな一曲を流す。大きなことへ進むのは、今日ではありません。今日は小さなことの練習の日で、しんどいと声に出しながら窓を開けても、それは練習としてちゃんと成立しているのです。

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名言3【マーク・トウェイン】普段に戻りたい日、最後の半歩を踏み出すとき

自分を元気づける一番良い方法は、誰か他の人を元気づけてあげることだ。

(マーク・トウェイン)

出典:Mark Twain’s Notebook
『トム・ソーヤーの冒険』で知られる作家マーク・トウェインの言葉です。没後に刊行された『Mark Twain’s Notebook』(1935年)に収められた一行で、刊本では、家で祝った最後の感謝祭の思い出と、母と義母を同じ年に亡くしたことを書いた記述のすぐあとに置かれています。いつ書かれたのかまではわかりません。それでも、大切な人を見送った記述の隣にあると知ると、元気な人の元気の出し方とは少しちがって読めてきます。深さ③の日に置いたのは、これが普段に戻る最後の半歩だからです。ただし、重い日に無理にやることではありません。大きなことはいりません。しばらく連絡していない友人に「元気?」と一行送る。家族に「ありがとう」と一言添える。それくらいの軽さでいい。自分の落ち込みで満員だった頭に、ほかの人の席が一つできる。その小さな向きの変化が、普段の自分への戻り道になるのです。

落ち込んだ時のよくある質問

落ち込みが何日も続くときは、どうすればいいですか?

まず、何日も続いていること自体を責めないでください。雨が三日続いても、それは空のせいであって、傘を持っている人のせいではありません。やることは変わりません。毎日、その日の深さを選び直すことです。きのう②だったからといって、今日も②とは限りません。①に戻った日は休む。それでいいのです。ただ、つらさが長く続くときは、一人で抱え続けずに、身近な人や専門家に話してみてください。話すことは弱さではなく、傘を一本借りることです。

人に会いたくないときは、無理に会うべきですか?

無理に会う必要はありません。人に会うことは、元気になる方法の一つであって、義務ではないからです。会いたくない日に会うと、その場では笑えても、帰り道で「うまく振る舞えたか」の反省会が始まります。それは深さ①の日に「やらない」と決めた反省会そのものです。会わない代わりに、一行だけ送る。「今週はちょっと沈んでる。来週連絡する」。これだけで、つながりは切れません。会わないことと、ひとりになることは別のことです。

元気なふりをするのがつらいときは?

元気なふりがつらいのは、落ち込みに加えて演技の仕事を一つ増やしているからです。職場や家庭で、全部をおろすのは難しい。それはそのとおりです。だから全部ではなく、一か所だけ、ふりをやめる場所を決めます。帰りの電車の中。お風呂の時間。寝る前の五分。そこでは「今日はしんどかった」と、心の中で言っていい。ふりを全部やめる必要はありません。ふりをしない場所が一か所あれば、残りの場所でのふりは、少し軽くなります。

元気になれない自分を、また責めてしまいます

責めてしまうこと自体は、まじめな人に起きるふつうのことです。ただ、その責める声が「早く元気にならなきゃ」の形をしているなら、一つだけ言い換えてみてください。「今日は、深さ①の日だった」。元気になれなかったのではなく、休む日を選んだ。方法を変えるのではなく、今日の見方を変えるだけです。責める声が止まらない人は、先ほど紹介した自分を責めてしまうくせの記事も読んでみてください。責める言葉をそのまま一文書いて、言い換えを一つ置く話です。

まとめ

落ち込んだ時に元気になる方法は、無理に元気を出すことではなく、今日の落ち込みの深さに合う小さな方法を一つ選ぶことです。まったく動けない日は、体を休めることだけでいい。少し動ける日は、5分だけ向きを変える。普段に戻りたい日は、言葉を一つ読んで一文書く。全部やる必要はありません。今日の深さの一つだけです。
落ち込みは雨雲で、治す対象ではなく、通り過ぎるのを少し楽に待つ対象でした。いちばん重くするのは「早く元気にならなきゃ」の声で、それをおろすところから始まります。為末大さんは「また波が来る」と言い、エピクテトスは「小さなことから」と言い、トウェインは誰かへの一言が自分を元気づけると書き残しました。三人とも、今日すぐ元気になれとは言っていません。
今夜できることを、一つだけ。深さ①なら「今日はやらないこと」を口に出す。深さ②なら窓を5センチ開ける。深さ③なら「今日はしんどかった。でも〇〇はできた」と一文書いて、朝のわたしに手渡す。雨雲は、いつか流れていくものです。流れるまでのあいだ、傘を一本持っていてください。

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