大谷翔平のメンタル名言7選|不安はあった。焦りはなかった

大谷翔平のメンタルに関する名言7選。「不安はあった。焦りはなかった」など、緊張や不安・イライラをなくすのではなく同居しながら前に進む言葉を、発言の場面とともに解説します。
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大事な場面の前に、心臓が速くなる。うまくいかなかった直後に、イライラが止まらない。そんな自分を「弱い」と責めてしまう夜があるかもしれません。大谷翔平の名言を追いかけていくと、意外なことに気づきます。彼もまた、怖さも不安もイライラも、ぜんぶ抱えたままプレーしているということです。
「不安はありましたけど、焦りはなかった」。この言葉が象徴するように、大谷は感情をなくそうとはしていません。あるものはあると認めたうえで、どこに手をかけるかを決めている。その「扱い方」のほうに、わたしたちがまねできるヒントがあります。
この記事では、メンタルにまつわる大谷翔平の言葉を7つ選び、その言葉が生まれた場面と、日常への持ち帰り方を一緒に考えていきます。緊張や不安をゼロにする方法ではなく、それらと同居しながら前に進む「型」を探す読み方でお付き合いください。

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大谷翔平とはどんな人物か

大谷翔平は1994年、岩手県生まれのプロ野球選手です。2013年に北海道日本ハムファイターズへ入団し、投手と打者を兼ねる「二刀流」という前例のない道を歩みはじめました。2018年にエンゼルスへ移籍後は右肘や左膝の手術を乗り越え、2021年にシーズンMVPを受賞。2023年のWBCでは決勝の最後の打者マイク・トラウトを三振に仕留め、日本を優勝に導きました。2024年にドジャースへ移籍すると史上初の「50本塁打・50盗塁」を達成し、ワールドシリーズ制覇とMVPを同時に手にしています。記録の裏側で、大谷は自分の不安や感情を驚くほど率直に語ってきました。

大谷翔平の名言7選|メンタル

名言1【大谷翔平】始める前がいちばん怖いとき

もし活躍出来なかったらどうなるんだろうって怖かったこともありました。でも、シーズンに入ってしまえば、そんな不安はなくなりましたし、何より自分がやっていて面白かったんです

(大谷翔平)

出典:『不可能を可能にする 大谷翔平120の思考』(ぴあ、2017年2月23日)
日本ハム時代までの言葉を集めた『不可能を可能にする 大谷翔平120の思考』の一節です。二刀流という前例のない道に踏み出したころを振り返ったとみられる発言で、大谷は「怖かった」とはっきり口にしています。あの大谷にも、活躍できなかったらどうなるのかと想像して立ちすくむ時間があったのです。注目したいのは、その怖さが「シーズンに入ってしまえば」消えたという順番です。不安がなくなったから始めたのではなく、始めてみたら不安の居場所が小さくなった。しかも理由は「やっていて面白かった」から。新しい部署に移る前夜、初めての発表の前日、わたしたちの不安もたいてい「始める前」に膨らみます。始める前の怖さは、能力の低さの証拠ではなく、まだ何も起きていない時間の性質なのかもしれません。怖いまま一歩目を踏み出してみる。そのあとで「面白い」が追いついてくるかどうかを、自分の目で確かめてみたくなる言葉です。

名言2【大谷翔平】ケガの日々を支えた「必ずよくなる」という前提

必ずよくなると思ってやってきたので、不安はありましたけど、焦りはなかったですかね

(大谷翔平)

出典:日本記者クラブ記者会見(2021年11月15日)
2021年11月、シーズンMVPを受賞して帰国した大谷は、日本記者クラブで1時間におよぶ会見に臨みました。それまでの3年間は、右肘の手術、左膝の手術、投手として思うように投げられない日々が続いた時期です。どんな心境でプレーして今年の活躍につなげたのかと問われ、大谷は医師やトレーナーの支えに触れながらこう答えました。「不安はあった」と「焦りはなかった」が、同じ一文の中に並んでいるのが印象的です。不安は、先が見えないときに自然と湧いてくる感情。焦りは、そこに「今すぐ結果を出さなければ」という圧力が重なったときに生まれます。大谷は不安のほうは消さず、焦りのほうだけを手放していました。その支えが「必ずよくなる」という前提です。仕事で成果が出ない時期、体調を崩して休んでいる時期、不安を感じるのは当たり前だと認めたうえで、「焦り」だけを一枚はがしてみる。この言葉は、そんな分け方があると教えてくれます。

名言3【大谷翔平】受け身にならないための「ひとつだけ」

何も考えないと『あ、マイク・トラウトだ』とリスペクトの気持ちで受け身になってしまうので、そこだけ負けないんだという気持ちを持って行きたかった

(大谷翔平)

出典:2023 WBC決勝後・FOXスポーツインタビュー(2023年3月22日)
2023年WBC決勝、1点リードの9回二死。マウンドの大谷の前に立ったのは、エンゼルスの同僚でありメジャー最高の打者と称されるマイク・トラウトでした。フルカウントからのスライダーで空振り三振。優勝が決まった直後のインタビューで、大谷はあの打席をこう振り返っています。相手をリスペクトしているからこそ、何も準備しないと「受け身」になってしまう。だから「そこだけ負けない」というひとつの気持ちを、あらかじめ持って行った。緊張を消したのではなく、緊張の中で自分が握っておく一点を決めたのです。大きな商談や面接で、相手が格上に見えるとき、わたしたちは全部で勝とうとして固まってしまいます。けれど大谷が決めていたのは「そこだけ」でした。本番前に、自分が譲らない一点をひとつだけ言葉にしておく。手帳の端にその一行を書いておくだけでも、受け身になりかけた心を自分の側に引き戻せるかもしれません。

名言4【大谷翔平】打てなかった直後の正直な心

直後はイライラして、荒れますね。その先、いい波が来るまで打てるイメージが湧かないというか

(大谷翔平)

出典:石田雄太著『野球翔年II MLB編2018-2024 大谷翔平 ロングインタビュー』(文藝春秋、2024年)
長年大谷を取材してきた石田雄太のロングインタビューで、打てない時期の心の内を聞かれたときの答えです。メジャーの舞台でも、打てなかった直後は「イライラして、荒れる」。次にいい波が来るまで、打てるイメージすら湧かない。あまりに人間らしい告白で、読んでいて少しほっとしました。世界最高の選手でも、失敗の直後に穏やかでいられるわけではないのです。この言葉の価値は、感情の波を「否定していない」ところにあります。荒れる自分を隠さず、それを「波」として観察している。波なら、いつか次の波が来る。今は引いている時間だと知っていれば、荒れている自分を丸ごと否定しなくて済みます。企画が通らなかった日、ミスを指摘された帰り道、イライラが収まらないのは自然なことです。その日は無理に前向きにならず、「今は引き潮」とメモに一行だけ残しておく。あとで読み返したとき、それが波だったと分かる日が来ます。

名言5【大谷翔平】自分に課している切り替えの型

イラッときたら、負けだと思ってるんで

(大谷翔平)

出典:Number Web、中村計による取材記事「大谷翔平の本質を示すエピソード。」(2018年4月20日)
日本ハム3年目の春季キャンプ。前年に11勝と10本塁打を同時に達成し、球界の顔になっていた大谷は、その日26連勤の真っただ中でした。取材を終えた記者の中村計が、変なことを聞かれてイラッとしないのかと尋ねると、返ってきたのがこの言葉でした。強い言葉ですが、これは大谷が自分自身にだけ課したルールです。名言4で見たように、大谷自身も打てない直後には荒れると認めています。感情が湧くこと自体を否定しているのではなく、その感情に主導権を渡してしまうことを「負け」と呼んでいるのだと思います。イラッとした瞬間に「あ、来た」と気づき、自分の土俵に戻るための合図の言葉。わたしたちがまねするなら、イラッとした自分を責めるのではなく、「今のは自分のペースから外れた」と気づく合図にできたら、それで十分です。切り替えの型は、ひとつ持っているだけで心が軽くなります。

名言6【大谷翔平】休む時間も自分で決める

リラックスする時間すら管理したい

(大谷翔平)

出典:NHKスペシャル「メジャーリーガー大谷翔平 2022 アメリカの新たな伝説へ」2022年放送
投手・打者ともに規定数を同時に達成した歴史的なシーズンの直後。NHKスペシャルのインタビューで、大谷は時間の使い方をこう語りました。「すら」の一語に徹底ぶりが表れています。休むことを「余った時間」に任せず、練習や食事と同じように、リラックスする時間も自分で決める。緊張と弛緩を、どちらも自分の手の中に置いておきたいという姿勢です。大事なのは、管理の目的が「もっと頑張るため」ではなく、心と体を回復させるためだという点です。わたしたちはつい、休む時間を後回しにして、気づけば疲れ切っています。そして疲れているときほど、不安やイライラは大きく見える。予定表に「休む」を先に書く。就寝前の15分を、スマホを置いて何もしない時間と決める。それだけで、感情に振り回される場面は少しずつ減っていくかもしれません。メンタルを整える最初の一歩は、休む時間を「決める」ことかもしれません。

名言7【大谷翔平】迷い抜いた先にある直感

考えないで決める直感と、本当に考え抜いて最後に決める直感とは似て非なるもの

(大谷翔平)

出典:Number 1094・1095号(文藝春秋、2024年4月18日発売)
2024年春、ドジャースでの開幕直後に受けた『Number』のインタビューでの発言です。物事の決め方について問われ、大谷はこう答えました。情報を集め、考えられることは考え尽くす。それでも最後の一歩は、日々の小さな決断で積み上げてきた直感に委ねる。「考えずに決める直感」とは似て非なるものだと、はっきり線を引いています。迷いが長引くと、わたしたちは「考えすぎる自分」を責めがちです。でも大谷の言葉を借りれば、考え抜くことは直感を鈍らせるどころか、直感の土台をつくる時間です。転職するかどうか、人間関係を続けるかどうか。答えが出ないまま悩む時間は、無駄ではありません。ひとつ提案するなら、迷っている内容を紙に書き出しておくこと。何を考え、何を捨てたかが残っていれば、最後に「これだ」と感じた瞬間を、考え抜いた末の直感だと自分で信じられます。迷った分だけ、決めたあとの心は静かになる。

まとめ

大谷翔平のメンタルの名言を7つ見てきて、共通していたのは「感情をなくそうとしていない」ことでした。怖かった、不安はあった、直後は荒れる。そう認めたうえで、焦りだけを手放す、譲らない一点を決める、イラッときた瞬間を切り替えの合図にする。感情と同居しながら、手をかける場所を選んでいる。それが大谷の「型」でした。
不安や焦りがある自分は、弱いのではなく、まだ何かに挑んでいる途中なのだと思います。今日ひとつだけ試すなら、次の本番の前に「そこだけは譲らない」一点を、手帳の隅に書いてみてください。緊張はそのままでかまいません。書いた一行が、受け身になりかけた心を、あなたの側に引き戻してくれるかもしれません。
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