
お金とどう付き合うか 孔子の名言5選が示す富みて驕らずの境地
孔子のお金と富の名言5選を論語の篇名つきで紹介。富みて驕ること無し、小利を見れば大事成らず。豊かさと品位を両立させる、2500年前の富の教養が今も役立ちます。
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お金とどう付き合うか。孔子の名言は、この問いに意外なほど現実的に答えています。「富みて驕ること無し」。富を否定せず、貧しさを美化もせず、どちらの状態でも品位を保てるか。『論語』のお金の言葉は、2500年前の処世訓でありながら、資産形成に励む現代人の急所を突いてきます。
孔子は、金儲けを悪とは言いませんでした。ただ、利益だけを基準に動くことの副作用と、目先の小さな得の危うさを、繰り返し警告しています。お金より先に、お金との距離感を整える。それが孔子式の富の教養です。
この記事では、孔子のお金と富の名言5選を、『論語』の篇名と背景とともに読み解きます。お金の不安がざわつく夜の、軸の取り戻し方が見つかります。
孔子とはどんな人物か
孔子(紀元前551〜前479)は、春秋時代の中国・魯の国に生まれた思想家です。幼くして親を失い、貧しさの中で倉庫番や家畜係として働いた下積みを、後年「吾少くして賤し。故に鄙事に多能なり」と語っています。貧を知り、大臣として高い地位も経験した人だからこそ、その富貴観には実感があります。『論語』は富を否定せず、富に振り回されない生き方を説く書物です。
孔子の名言5選|お金・富
名言1【孔子】貧しくして諂わず、富みて驕らず
貧しくして諂うこと無く、富みて驕ること無し
(孔子)
出典:『論語』学而第一
『論語』学而第一の対話です。この言葉は弟子の子貢が「貧しくても諂わず、富んでも驕らない人は、いかがでしょう」と問うたもので、孔子は「良い。だが、貧しくても道を楽しみ、富んでも礼を好む人には及ばない」と、さらに一段上を示しました。師弟の問答ごと味わいたい場面です。お金は、人の姿勢を変えます。懐が寂しいと、心まで低くなって強い相手に諂い、余裕ができると、無意識に人を見下ろし始める。子貢の基準は、その両方の重力に負けないことでした。そして孔子の基準は、さらに先です。貧富に「耐える」段階から、貧富と「無関係に楽しむ」段階へ。口座残高がいくらであっても変わらないものを、自分の中に持つこと。それが、お金との付き合いの最終目標です。
名言2【孔子】富貴は、天にあり
生死は命にありて
富貴は天にあり(孔子)
出典:『論語』顔淵第十二
『論語』顔淵第十二の言葉です。正確には、弟子の子夏が「こう聞いています」と伝えた格言で、兄弟がいないと嘆く司馬牛を慰める場面に出てきます。死生は運命であり、富や地位は天の采配。だから人にできるのは、慎み深く礼を尽くすことだけだ、と続きます。運の要素を認める、この割り切りが実は健全です。収入や資産には、実力だけでなく、生まれた時代、景気、巡り合わせが色濃く働きます。すべてを自己責任と考えると、うまくいかない時期に自分を責め過ぎ、うまくいけば驕りが生まれる。天の取り分を認めておけば、その両方から自由になれます。自分にできる部分を丁寧にやり、結果の何割かは天に預けておく。お金の不安との、息の長い付き合い方です。
名言3【孔子】利によって行えば、怨み多し
利によりて行えば、怨み多し。
(孔子)
出典:『論語』里仁第四
『論語』里仁第四の一節です。損得だけを基準に行動していると、怨みを買うことが多くなる。孔子は利益の追求そのものを咎めたのではなく、利益「だけ」で判断し続けることの副作用を指摘しました。買われるのは怨みだ、という点が鋭いところです。損得で動く人は、相手からも損得で扱われます。得な間だけ寄ってきて、損になれば離れていく。その振る舞いは相手に正確に伝わり、静かな怨みとして積もっていきます。取引先を値切り倒す、手柄のときだけ前に出る、割に合わない頼まれごとは全部断る。一つひとつは合理的でも、積もった怨みはいつか高くつきます。目先の損得に、人間関係の貸借対照表を足して考える。それが結局、長期的にはいちばん儲かる計算です。
名言4【孔子】小利を見れば、大事成らず
小利を見れば則ち大事成らず。
(孔子)
出典:『論語』子路第十三
『論語』子路第十三で、地方長官になった弟子の子夏に贈られた言葉です。「速やかならんと欲すれば則ち達せず」に続く後半で、目先の小さな利益に目を奪われると、大きな事は成し遂げられない、と説きました。焦りと小利。新任者が陥る二大罠を、孔子は一度に警告したのです。小利の誘惑は、日常に溢れています。ポイントのために遠回りする買い物、目先の安さで選んで失敗する道具、少額の節約のために失う時間と機会。一つひとつは合理的な判断に見えて、視線が足元に固定されるほど、大きな絵が描けなくなります。何かを選ぶとき、「これは小利か、大事につながるか」と一度だけ問うてみる。お金の使い方は、視線の高さの使い方でもあります。
名言5【孔子】道義に反して、利益を追わない
君子の九思
1.物を見るときは、はっきり見る
2.聞くときは、誤りなくしっかりと聞く
3.表情はおだやかに
4.態度は上品に
5.言葉は誠実に
6.仕事には慎重に
7.疑問があれば、質問する
8.みさかいなく怒らない
9.道義に反して利益を追わない(孔子)
出典:『論語』季氏第十六
『論語』季氏第十六の「君子有九思」、君子が心がける九つの思いです。見る、聞く、表情、態度、言葉、仕事、質問、怒り。日常の振る舞い八つを並べたあと、最後の九つ目に置かれたのが「得るを見ては義を思う」、道義に反して利益を追わない、でした。この並び順が、実に示唆的です。お金の倫理は、特別な決断の場面ではなく、日々の見聞きや言葉遣いの延長線上にある。見る・聞くを丁寧に、言葉と仕事を誠実に、怒りをみさかいなく撒き散らさない。先立つ八つの「思い」を日々整えている人は、九つ目の利益の場面でも、自然に義を思い出せる。おいしい話が来たときにだけ倫理を発動するのではなく、毎日の小さな所作で予行演習を重ねておく。九思は、お金に負けない人の日課表です。
まとめ
孔子のお金と富の名言5選を紹介しました。孔子はお金を敵にも神にもしません。富んでいい、ただ驕るな。稼いでいい、ただ利だけで動くな。運の取り分を認め、小利より大事を見て、日々の所作で義の予行演習をしておく。豊かさと品位を両立させる技術が、ここに揃っています。
次にお金のことで心がざわついたら、ひとつだけ問うてみてください。いま自分は、諂っていないか、驕っていないか。その点検の習慣が、お金との距離を少しずつ適正に戻してくれます。
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