
逆境を乗り越えたいとき読みたいアドラーの名言7選
逆境を乗り越えたいとき読みたいアドラー名言7選。困難な状況での感情・記憶・人間関係の扱い方について、アドラー心理学の視点から解説付きで紹介します。
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逆境にいるとき、誰かの言葉に救われることがある。しかしアルフレッド・アドラーの名言は少し違う。「頑張れ」「きっと乗り越えられる」という励ましではなく、「なぜ今その状況にいるのか」「自分はそこで何を選んでいるのか」という問いを静かに差し込んでくる。その問いが時に痛く、時に自分を動かす。
困難の中で足が止まったとき、感情に振り回されているとき、同じパターンを繰り返しているとき。アドラーの7つの言葉は、その状況の内側から別の出口を見せてくれる。
今日は、逆境を乗り越えたいときに立ち止まって読みたいアドラーの名言を7つご紹介する。
アルフレッド・アドラーとはどんな人物か
アルフレッド・アドラー(1870〜1937)は、オーストリア出身の精神科医・心理学者。フロイト・ユングと並ぶ心理学の三大巨頭の一人として知られ、「個人心理学(アドラー心理学)」の創始者。幼少期に病弱で何度も死の淵に立った体験から劣等感の克服と人との関わりに強い関心を持ち、後に「共同体感覚(Gemeinschaftsgefühl)」と「目的論的人間観」を中心とした独自の理論を築いた。著書『人生の意味の心理学』(1931年)が代表作として知られる。
アルフレッド・アドラーの名言7選|逆境・困難
名言1【アルフレッド・アドラー】正しいことを言っても、相手を傷つけることがある
真実はしばしば攻撃の恐ろしい武器になりうる。嘘をつくことも、真実のために人を傷つけることもありうる。
出典:Problems of Neurosis(神経症の問題)
1929年の著書『Problems of Neurosis』でアドラーが人間関係における「正直さ」の危うさを論じた部分から来る言葉。「自分は正しいことを言っている」という確信があるとき、人はしばしば無防備に言葉を放つ。しかしアドラーはそこに問いを置く。真実でも、伝え方によっては相手を傷つけ、関係を壊す武器になりうるのだという。困難な状況にあるとき、特に「正義感」が強く出やすい。「私は悪くない」「あの人が間違っている」という確信が、言葉を攻撃にする。アドラーが言いたかったのは「嘘をつけ」ではなく、「真実をどんな目的で、どんな形で届けるか」が問われるということだ。正しさを持ちながら、相手との関係を壊さずに伝える。逆境の中でのコミュニケーションは、その難しさと向き合い続けることになる。「正しさ」ではなく「届け方」を問い直す余地が、少し見えてくることがある。
名言2【アルフレッド・アドラー】頭を離れない記憶には、理由がある
あなたの記憶は、あなたの限界と出来事の意味についてあなた自身が持ち歩くリマインダーだ。「偶然の記憶」というものは存在しない。
出典:人生の意味の心理学(What Life Could Mean to You)
『人生の意味の心理学』でアドラーが記憶の選別機制について述べた言葉。人が意識的・無意識的に「覚えておく記憶」と「忘れる記憶」を選び分けるのは偶然ではなく、その人の信念体系や人生課題が反映されているというのがアドラーの洞察だ。困難なとき、同じ失敗の記憶が何度も浮かんでくることがある。「またあれを思い出してしまった」と、記憶そのものを嫌がりたくなる。しかしアドラーは逆の問いを投げる。「なぜ今、その記憶が浮かぶのか」。繰り返し浮かぶ記憶は、自分が今まだ解決できていない何かを示している可能性がある。リマインダーとして記憶を扱うと、「消したい」から「何を指し示しているか」へと向き先が変わる。その変化が、逆境の中での次の一歩につながる場合がある。
名言3【アルフレッド・アドラー】扱いにくい人を理解する、シンプルな視点
扱いにくい人と接するときの簡単なルールは、その人が優越性を主張しようとしていることを思い出すことだ。その視点から対処すれば良い。
出典:社会的関心(Social Interest: A Challenge to Mankind)
人間関係における難しい相手への対処について、アドラーが『Social Interest』で述べた実践的な言葉。理論ではなく、「あなたは今日からこれを使えばいい」という実用の提案に近い。「あの上司はなぜいつも否定してくるのか」「なぜそんなに強く出るのか」。感情的に反応したくなるが、アドラーの視点を借りれば、多くの「扱いにくい」行動は「自分の価値や立場を守ろうとしている表れ」として読める。怒鳴る人、否定し続ける人、比べてくる人。それぞれの行動の奥には「認められたい」「優位でいたい」という欲求がある。その動機が見えたとき、感情的な対立ではなく、構造として対処できるようになる場合がある。逆境の中で他者との摩擦に疲れたとき、「この人は今何を守ろうとしているのか」という問いを持つと、怒りより先に「ああ、この人も怖いのか」という見え方が来ることがある。その瞬間、感情的な反応の手前で少し立てるようになる。
名言4【アルフレッド・アドラー】孤立の中にある人が、最も失うもの
すべての失敗者が失敗者なのは、社会的関心が欠けているがゆえだ。
出典:人間知の心理学(Understanding Human Nature)
『人間知の心理学』(1927年)でアドラーが臨床経験をもとに述べた言葉。アドラー心理学の中心概念「共同体感覚(Gemeinschaftsgefühl)」の欠如が、心理的な機能不全の根本原因だという主張だ。「失敗者」という言葉は今日では受け取りづらいが、アドラーが言いたかったのは「うまくいかない状態にある人には、他者とのつながりが薄れているという共通点がある」ということだ。逆境の中にあるとき、孤立しやすくなる。「こんな状態、誰にも言えない」「迷惑をかけたくない」。その孤立がさらに状況を重くする。アドラーのこの言葉は、「繋がることを取り戻すこと」を回復の手がかりとして示している。大きな関係でなくていい。一人に、一度だけでも話せたとき、「言葉にして伝えた」その感覚が、閉じていた扉を少しずつ開いていく。
名言5【アルフレッド・アドラー】落ち込みから回復するのは、一歩ずつだ
神経症への一歩一歩が不可避的に勇気を壊す一方で、神経症からの一歩一歩は勇気を築き、共同体感覚を強化する。
出典:Problems of Neurosis: A Book of Case Histories(1929年)
『Problems of Neurosis: A Book of Case Histories』(1929年)でアドラーが回復のプロセスについて述べた言葉。「神経症」という言葉は専門的に聞こえるが、アドラーが指しているのは心が硬直し、人との接続を失っていく状態だ。朝、布団の中でスマホだけ見続けてしまう日。外に出る気にもなれず、返信もできない。そういう状態への一歩一歩は、勇気を少しずつ削っていく。しかし回復への一歩一歩もまた、積み重なる。「大きく変わろう」と思わなくていい。今日、誰かに返信した。外に出た。食事を作った。そういう日常の小さな動作の一つひとつが、崩れた勇気を少しずつ積み直していく。アドラーはそのプロセスを「一歩一歩(Schritt für Schritt)」と表現し続けた。逆境からの回復に、飛躍は要らない。今日の一歩が、次の一歩の土台になる。
名言6【アルフレッド・アドラー】「わかった」だけでは、まだ理解していない
人は自分が知っていると思う量よりも、はるかに少ししか理解していない。
出典:アドラー心理学(A Primer of Adlerian Psychology, Mosak & Maniacci)
Mosak & Maniacci による著作(1999年)に記録されたアドラーの洞察。患者との対話を通じてアドラーが繰り返し目撃した「知識と実践の乖離」を言い表した言葉だ。逆境にあるとき、「何をすれば良いかはわかっている」という状態になることがある。運動すれば良い、話せば良い、休めば良い、挑戦すれば良い。頭では全部わかっている。でも体が動かない。アドラーはそれを「理解していない」と表現した。「知っている」は情報の習得に過ぎない。「理解している」とは、それが実際の行動に変化をもたらしているときだというのだ。本を読んで「そうか」と思っても動かない。しかし「今日、一度だけ外に出る」「誰か一人に短いメッセージを送る」——そういう具体的な動作を一つやってみたとき、初めて自分の経験として理解が始まる。困難の中で動けないとき、「今日のこれ一つ」という小さな実践が、知識を理解に変えていく。
名言7【アルフレッド・アドラー】怒りは自然に湧くのではなく、自分が使うものだ
怒鳴ったのは自分を見失ったのではない。相手を支配するために怒りという感情を創り出して利用したのだ。
アドラーの「感情目的論」を示した言葉。アドラーはフロイト的な「感情は湧き出るもの」という受動的な捉え方を否定し、「感情はある目的のために生み出されるものだ」という能動的な視点を取った。「感情に振り回された」という経験は、逆境の中でよく起きる。怒鳴ってしまった、泣いてしまった、爆発してしまった。しかしアドラーに言わせると、その感情には目的があった。「相手を支配したかった」「距離を置いてほしかった」「注目を得たかった」。感情を「コントロールできない自分の弱さ」ではなく、「何かを得ようとした行動」として捉え直すと、次は少し違う選択が見えてくる。困難な状況で感情的になったとき、「自分は今、何を得ようとしていたのか」という問いを持てると、同じパターンの繰り返しを少しずつ変えていける。
まとめ
アドラーが示す「逆境との向き合い方」は、乗り越えるための力技ではない。記憶を問い直す、感情の目的を見る、他者との接続を取り戻す、小さな一歩を積み重ねる。そういった内側からの変化が、逆境の中でも人を少しずつ動かしていく。
困難の中にいるとき、大きな変化は要らない。今日、一つだけ動いてみる。その一歩が、明日の勇気の素になる。
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— ジョージ・エリオット











