不器量だったことが一番得だった|樹木希林が語るコンプレックス受容の名言7選

「不器量だったことが一番得だった」と語った樹木希林の名言7選。容姿や欠点へのコンプレックスを負い目ではなく武器に変える受け止め方を、出典つきの言葉と解説で紹介します。
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顔立ち、学歴、性格、才能。自分の「足りない部分」ばかりが目について、人と比べては落ち込んでしまう。そんなとき、樹木希林の名言は少し変わった角度から光を当ててくれます。彼女は自らを「不器量」と公言し、しかもそれを「一番得したこと」と言い切った女優だからです。
コンプレックスは、克服するか隠すかの二択で語られがちです。けれど樹木希林が見せてくれたのは、欠けた部分を欠けたまま抱えて、むしろそこを足場にして生きるという第三の道でした。
この記事では、コンプレックスや不完全さの受け止め方が伝わる樹木希林の言葉を7つ選びました。自分の欠点を責めてしまう夜のお守りとして、ゆっくり読んでみてください。

樹木希林とはどんな人物か

樹木希林(きき・きりん)は1943年生まれ、東京都出身の女優です。文学座の研究生から出発し、20代の頃から老け役を演じて注目を集めました。テレビドラマから映画へと活躍の場を広げ、「あん」「万引き家族」など数々の作品で唯一無二の存在感を放ちます。自らを「不器量」と公言しながら、それを負い目にせず個性へと変えた生き方は、2013年に全身がんを公表してからの晩年の言葉とともに、今も多くの人の心に残っています。2018年、75歳で死去しました。

不器量だったことが一番得だった|樹木希林のコンプレックス受容の名言7選

名言1【樹木希林】不器量が一番の得だった

私が今日まで生きてきて、自分で一番得したなと思うのは、不器量だったことなんですよ

(樹木希林)

出典:『一切なりゆき 樹木希林のことば』30ページ(文春新書、2018年12月)
2018年末に刊行され、ベストセラーとなった『一切なりゆき』に収められた言葉です。樹木希林は若い頃から自分の顔立ちを「不器量」と言い切り、美人女優の土俵で競うことを早々に手放しました。だからこそ20代で老け役を引き受け、誰にも似ていない存在感を築いていきます。容姿で選ばれなかったことが、演技そのもので勝負する道を開いたのです。学歴、経歴、見た目。人と比べて足りないものを数えはじめると、きりがありません。けれど「持っていない」という事実は、別の土俵を探す出発点にもなります。周りと同じ武器で戦えなかった人だけが、自分だけの戦い方を見つけられる。彼女の一番の得は、欠けから始まっていました。あなたの欠けの隣にも、まだ気づいていない土俵が眠っているかもしれません。

名言2【樹木希林】一度ダメになった人が好き

私は人間でも1回、ダメになった人が好きなんですね

(樹木希林)

出典:『一切なりゆき 樹木希林のことば』40ページ(文春新書、2018年12月)
同じく『一切なりゆき』に収められた一言です。樹木希林は新品よりも使い込まれたもの、完成された人よりも一度つまずいた人に心を寄せる人でした。ものを増やさず、古いものを手入れしながら使う暮らしを貫き、人についても、挫折を知らない人より「1回ダメになった人」に魅力を感じると語っています。痛みを知った人には、そのぶんの深さと優しさが宿るからです。仕事でつまずいた、選考に落ちた、一度心が折れた。そんな過去を、履歴書の汚点のように感じている人は少なくないでしょう。けれどこの言葉の側から見れば、それはあなたという人間に厚みを加えた出来事です。ダメになった経験は、隠すべき傷ではなく、誰かに好かれる理由にさえなり得るのです。

名言3【樹木希林】無傷では生まれてきた意味がない

無傷だったら人間として生まれてくる意味がない

(樹木希林)

出典:「不登校新聞」400号記念インタビュー(2014年12月15日号)
2014年、不登校の子どもたち自身が記者となって取材する「不登校新聞」の400号記念インタビューで語られた言葉です。学校に行けない自分を責める子どもたちに向かって、樹木希林は、傷を消そうとするのではなく、傷こそが人間として生まれてきた意味なのだと伝えました。この時期の彼女自身、全身にがんを抱えながら女優を続けています。順調なだけの人生を歩んでいる人など、実際にはほとんどいません。挫折も、人に言えない失敗も、心の古傷も、あなたが人間として生きてきた証拠です。無傷であることを目指すより、傷を抱えたまま今日も歩けていることのほうが、ずっと強い。うまくいかなかった過去を思い出す夜には、この言葉を思い出してみてください。

名言4【樹木希林】どんな不幸にも明かりは見える

どんなに不幸なものに出会っても、どっかに明かりが見えるものだ

(樹木希林)

出典:ニューヨークでのインタビュー(2018年)
亡くなる少し前の2018年、ニューヨークで受けたインタビューの中の言葉です。このとき樹木希林は、全身にがんが広がっていることを公表してから、すでに5年近くが経っていました。死を遠くない場所に見ながら、それでも不幸の中には必ず明かりがあると語ったのです。順風の人が口にする楽観論ではなく、暗がりを長く歩いた人の実感だからこそ、この一言には信じるに足る重みがあります。仕事の失敗、人間関係のこじれ、思い通りにならない毎日。渦中にいるときは、暗さばかりが目に入るものです。けれど「明かりはどこかにある」と知っている人は、探す目を失いません。見つからない日があってもかまわない。あると信じて顔を上げること自体が、すでに小さな一歩なのです。

名言5【樹木希林】地味に見えても人生は輝く

お金や地位や名声もなくて、傍からは地味でつまらない人生に見えたとしても、本人が本当に好きなことができていて「ああ、幸せだなあ」と思っていれば、その人の人生はキラキラ輝いていますよ

(樹木希林)

出典:2016年6月掲載インタビュー「こんなはずじゃなかった、それでこそ人生です」
2016年6月に掲載されたインタビュー「こんなはずじゃなかった、それでこそ人生です」で語られた言葉です。国民的女優と呼ばれた人が、お金や地位や名声を人生の輝きの条件から外してみせたところに、この言葉の重みがあります。彼女自身、華やかさとは無縁の暮らしを好み、ものを持たず、装いにも執着しませんでした。画面の向こうには、同世代の華やかな成果がいくらでも流れてきます。比べるたびに、自分の毎日が色あせて見えることもあるでしょう。けれど人生の輝きを判定できるのは、傍から眺めている誰かではなく、その人生を生きている本人だけです。「ああ、幸せだなあ」と思える瞬間が今日ひとつでもあったなら、あなたの人生はもう輝きはじめています。

名言6【樹木希林】人間なんて正しくないんだから

人間なんて正しくないんだから

(樹木希林)

出典:クリエイター・箭内道彦とのインタビュー(バズフィード・ジャパン掲載記事)
クリエイターの箭内道彦との対談インタビューで語られた言葉です。樹木希林は、人間を正しさで裁くことにほとんど関心を持ちませんでした。破天荒で知られた夫、内田裕也との結婚生活を最後まで投げ出さなかったのも、正しいかどうかではなく、人間そのものに向き合っていたからでしょう。人間なんて正しくない。その前提に立てば、間違えた自分を過剰に責める必要も、正しくあれない他人に絶望する必要もなくなります。真面目な人ほど「ちゃんとしなきゃ」と自分を締め上げ、正論で自分を殴り続けて動けなくなることがあります。正しくなさを抱えたままで生きていい。この言葉は、完璧主義の締めつけをふっとゆるめてくれるのではないでしょうか。

名言7【樹木希林】自分で考えてよ、という信頼

私の話で救われる人がいるって?それは依存症というものよ、あなた。自分で考えてよ

(樹木希林)

出典:ダ・ヴィンチウェブ掲載インタビュー(2017年5月頃)
2017年5月頃のインタビューで、「あなたの話に救われる人がいる」と水を向けられた樹木希林が返した言葉です。一見すると突き放した物言いですが、裏を返せば、誰かの言葉にすがるのではなく、あなたには自分の頭で考える力があるでしょう、という信頼の表明でもあります。彼女は最後まで、教祖のように崇められることを拒み続けました。名言を集め、本を読み、それでも変われない自分に落ち込むことがあるかもしれません。けれど言葉は、正解を配ってくれる装置ではなく、自分で考えはじめるための道具です。この記事の7つの言葉も、答えとしてではなく、考えるきっかけとして持ち帰ってもらえたなら、それが彼女の流儀に一番かなう読み方だと思うのです。

まとめ

樹木希林は、不器量であることを一番の得と言い、一度ダメになった人を好み、無傷の人生に意味はないと語りました。世間が隠したがる欠点や傷を、彼女は最後まで自分の一部として抱えたまま、誰にも似ていない人生を歩ききったのです。
コンプレックスは、消えてくれないから苦しいのではなく、消さなければいけないと思い込むから苦しいのかもしれません。欠けた部分も含めて、いまの自分のままで一歩を踏み出す。その積み重ねの先にしか、自分だけの輝き方は見つからないはずです。今日のあなたの欠けもまた、明日の「一番の得」の種かもしれません。
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6月18日(水)
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人生に遅すぎることはない。今日、新しい何かを始めることができる。
— ジョージ・エリオット
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