結婚は創造するものだ|アラン『幸福論』の愛と夫婦の名言7選

愛について考えるとき読みたいアランの名言7選。哲学者アランの言葉から、恋愛・結婚で悩んだときの向き合い方や関係を育てるヒントを紹介します。
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「結婚は、経験してみたり、辛抱するためにあるのではない。反対に、創造するものだ」。フランスの哲学者アランは、愛や結婚を、運に任せるものでも耐えるものでもなく、自らの手で創り上げていくものだと考えた。77歳で結婚したと伝えられる彼自身の歩みが、この言葉に静かな説得力を与えている。
この記事では、そんなアランの愛と夫婦にまつわる名言を7つ選び、それぞれの背景と日常への活かし方を紹介する。パートナーとの関係に迷ったとき、愛について考えたくなったとき、ページを開いてみてほしい。

アランとはどんな人物か

アラン、本名エミール=オーギュスト・シャルティエは、1868年にフランス・ノルマンディー地方で生まれた哲学者である。高等師範学校で哲学を修めた後、リセ(高等学校)の教師として長く教壇に立ち続けた。46歳のとき、教職者は徴兵を免除される立場にありながら第一次世界大戦に自ら志願し、3年近く従軍したことで知られている。1906年から地元紙に書き続けた短文コラム「プロポ」の一部をまとめた『幸福論』は、世界の三大幸福論の一つに数えられる。生涯の多くを独身で過ごしたが、77歳のときに結婚したと伝えられており、恋愛や結婚についての言葉も数多く残した。1951年、83歳で生涯を閉じた。

アランの名言7選|愛・恋愛

名言1【アラン】相手を好きだという気持ちだけでは、関係が続かないと感じるとき

愛するためには第一に勇気が必要である。
感傷だけではとかく裏切ることになるであろう。

アラン

仕事に追われて相手を後回しにしてしまった日、些細な言葉で傷つけてしまった日。感傷だけでは関係を守れないと痛感した経験は、自分にもある。アランは、感情の揺らぎに流されるだけの人生を良しとしなかった哲学者だとされ、この一文もその姿勢を映している。好き、という気持ちは強い力を持つが、天気のように移ろいやすい。アランが言う「勇気」とは、劇的な決断のことではない。気分が乗らない日でも連絡を返す、疲れていても相手の話を最後まで聞く、そうした地味な選択を積み重ねる勇気のことだ。恋は落ちるものだが、愛は保つものだと言い換えてもいい。感傷が薄れた瞬間にこそ、その関係を続けるかどうかの本当の分かれ道がある。今日一つ、面倒でも相手に向き合ってみることから、愛は形をつくっていく。

名言2【アラン】相手への気持ちが、本物かどうか分からなくなるとき

愛というものは単に優しさだけで成り立つものではなく、常にはっきりとして揺るがない一つの信仰、言い換えれば幸福な誓いによってしか十分に表現されない、自由で変化しない何ものかを含むものである。

アラン

優しくできない日があると、自分はもう相手を愛していないのではないかと不安になったことはないだろうか。アランはこの言葉で、優しさと愛を切り分けて考えている。優しさは体調や余裕次第で揺らぐものだが、愛はもっと芯の部分にある「誓い」のようなものだと言う。これは縛りではなく、むしろ支えになる考え方だと思う。正直に言えば、「誓い」という言葉を最初に読んだときは、逃げ場のなさを感じて少し重たかった。しかし読み返すうちに、優しくできない自分をいちいち責めなくていいのだと気づいた。大切なのは、その日々の波の下に、この人との関係を続けると決めた自分の意志が変わらずあるかどうかだ。気分の良し悪しに一喜一憂せず、その芯の部分を確かめてみたい。

名言3【アラン】ふたりの関係に、何か物足りなさを感じるとき

結局のところ精神を救い出すのは夫婦である。

アラン

仕事で行き詰まったとき、家に帰って何気ない話をしただけで、頭の中の重さがふっと軽くなったことがある。短く鋭いこの一文には、アランが人と人との結びつきをどれだけ重く見ていたかが表れている。仕事のストレスや将来への不安は、一人で抱え込むほど重くなる。しかし信頼できる相手がそばにいれば、話すだけで気持ちが軽くなることがある。それは慰めというより、精神そのものが救われる体験に近い。アランはそれを「夫婦」という具体的な関係の中に見出した。恋人でも夫婦でも、関係が長くなるほど新鮮さは薄れ、物足りなさを感じることもあるだろう。しかしその代わりに育っていくのは、弱さを見せられる安心感だ。うまくいっている日ばかりではないかもしれない。それでも、困ったときに支え合える関係を築けているなら、それこそがこの言葉の言う「救い」に近いのではないだろうか。

名言4【アラン】結婚や将来のことを、なんとなく先延ばしにしてしまうとき

結婚は、経験してみたり、辛抱するためにあるのではない。
反対に、創造するものだ。

アラン

結婚とは、うまくいくかどうかを試してみるものだと考えがちだ。しかしアランはその発想を否定する。結婚は経験でも辛抱でもなく、創造するものだと言い切る。この視点の転換は大きい。「経験」や「辛抱」という言葉には、どこか受け身の響きがある。うまくいけば儲けもの、うまくいかなければ我慢する、というように。それに対して「創造する」という言葉には、自分たちの手で関係をつくり上げていく能動的な姿勢がある。将来のことを考えるとき、相手と自分の相性を試すような気持ちになっていないだろうか。相性を見極めるより、一緒に何をつくっていきたいかを話し合う方が、この言葉に沿った歩み方になる。答えを探すのではなく、答えを二人でつくっていく。そう考えると、先の見えない不安も少し軽くなる。

名言5【アラン】些細なことで、喧嘩ばかりしてしまうとき

喧嘩をつくるのは倦怠だ。
その証拠は、いちばん喧嘩好きなのは、仕事や心配のいちばん少ない人間に決まっているからだ。

アラン

喧嘩の原因を、相手の性格や自分たちの相性の悪さに求めてしまうことは多い。振り返ってみると、自分たちがよく言い争っていたのも、決まって休日に予定がなく、なんとなく家で過ごしている時間だった。アランは意外な角度からこの問題を見ている。喧嘩を生むのは「倦怠」、つまり退屈や暇であり、忙しく夢中になっている人ほど、些細なことで争わないと指摘するのだ。それは相手が変わったからではなく、自分の中に持て余したエネルギーがあったからなのだと、今なら分かる。喧嘩が増えたと感じたら、相手を責める前に、自分が何かに没頭できているかを一度振り返ってみたい。新しい趣味でも、仕事の目標でも構わない。心が満ちていれば、些細なすれ違いに時間を使わずに済むようになるかもしれない。

名言6【アラン】幸せは、条件が揃わないと得られないと思ってしまうとき

幸福とは、あのショーウィンドウの中の品物のように、好きなものを選んで金を払えば持って帰れるというものではない。

アラン

理想の相手に出会えれば幸せになれる。そう考えて、今の関係に足りないものばかりを数えてしまうことがある。もっと優しい人、もっと余裕のある人と一緒になれば楽になるはずだと考えたことは、誰にでもあるだろう。しかしアランは、幸福を商品のように選んで買えるものではないと語る。恋愛においてもこの考え方は当てはまる。関係の質を決めるのは相手のスペックではなく、二人でどう日々を過ごすかという実践の積み重ねだ。今の相手との関係に物足りなさを感じているなら、相手を変えることより先に、二人でどんな時間を積み重ねているかを見つめ直してみたい。理想の相手を探し続けるより、今そばにいる人との関係を育てていく方が、案外幸福への近道なのかもしれない。

名言7【アラン】年齢とともに、求めるものが変わっていく自分に戸惑うとき

青年は恋愛を欲しがり、壮年は地位を欲しがり、老人は貪欲になって地位も金も名誉もすべて欲しがる。

アラン

若いころは恋愛にすべてを賭けるような情熱があったのに、年齢を重ねるにつれて仕事の評価や安定を優先するようになった。そんな自分の変化に、どこか寂しさを覚えたことはないだろうか。アランはこの言葉で、人が年齢とともに欲するものを変えていく姿を、皮肉を交えながらも率直に描いている。恋愛への情熱が薄れたことを、冷めた、と否定的に捉える必要はない。それは人生の段階に応じた自然な変化であり、恥じることではない。ただしこの言葉には、老年になるほど欲が多岐にわたり貪欲になるという警句も含まれている。欲張りに地位も金も名誉も求める前に、今そばにいる相手との時間を大切にできているか、時々立ち止まって確かめてみたい。何を求めるかより、誰と一緒に求めていくかの方が、結局は残るものになる。

まとめ

アランの愛や結婚についての言葉に共通しているのは、愛とは感傷や条件で決まるものではなく、日々の実践と意志によって形づくられていくという考え方だ。優しくできない日があっても、些細な喧嘩が増えても、それだけで関係の価値が失われるわけではない。
大切なのは、相手との関係を続けると決めた自分の意志を、時々思い出すことなのかもしれない。アランの言葉が、今のパートナーとの関係を見つめ直す小さなきっかけになれば嬉しい。

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