鬼塚喜八郎の名言8選|ASICSを世界に届けた創業者の言葉

アシックス創業者・鬼塚喜八郎の名言8選。「ころんだら、起きればよい」をはじめ、模倣を拒み、難しいことから始めた起業家の言葉を、語られた場面とともに紹介します。失敗から立ち上がるヒントが見つかります。
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鬼塚喜八郎の名言には、日本のスポーツシューズ産業を世界水準へと引き上げた起業家の覚悟が凝縮されている。「ころんだら、起きればよい」という一言に代表されるように、失敗を恐れず前に進む姿勢が、すべての言葉の根底に流れている。
1949年に神戸で鬼塚株式会社(のちのオニツカ、現・アシックス)を創業した鬼塚は、模倣を拒み、最も難しい課題から手をつけることを信条とした。その言葉は、仕事に行き詰まったとき、自分の道を迷っているとき、静かに背中を押してくれる力を持っている。

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鬼塚喜八郎とはどんな人物か

鬼塚喜八郎(1918〜2007)は、アシックスの前身・鬼塚株式会社の創業者。戦後の神戸で、青少年の健全育成を願いスポーツシューズ事業を立ち上げた。「模倣ではなく独自開発」を徹底し、東京五輪での活躍を経てブランドを世界へ広げた。会社名「ASICS」はラテン語の格言「健全な身体に健全な精神があれかし」の頭文字を取ったものであり、その事業哲学そのものを社名に刻んだ。

鬼塚喜八郎の名言8選

名言1【鬼塚喜八郎】独自の道を切り拓く意志

誰もやっていないことをやる。どんなによいものをつくっても、物真似はやるだけムダだ

(鬼塚喜八郎)

出典:財部誠一『敗れてもまた走れ アシックス創業者 鬼塚喜八郎の情熱』NewsPicksパブリッシング
バスケットボールシューズ作りを決めたころ、国産品はコンバースに見た目を似せただけで、機能が伴っていなかった。そこで掲げた信条だ。どれほど完成度を上げても、真似からは新しい価値は生まれないという確信が根底にある。1951年に生まれたバスケットボールシューズ「タイガー」は、その答えのひとつだった。「誰もやっていない」ことは怖さではなく、挑む理由だった。

名言2【鬼塚喜八郎】批判に対して調査で応える

地球上に存在するすべての靴を調べろ

(鬼塚喜八郎)

出典:財部誠一『敗れてもまた走れ アシックス創業者 鬼塚喜八郎の情熱』NewsPicksパブリッシング
東京五輪後、オニツカの靴は「アディダスの模造品だ」と批判された。怒りに任せて反論するのではなく、鬼塚が部下に命じたのはこの一言だった。感情ではなく事実で向き合う、という姿勢がよく表れている。「地球上のすべて」という言い方の大きさには、引き下がらない覚悟と、どこか難題を楽しむような気概も感じられる。批判を受けた日に、まず調べることから始める。

名言3【鬼塚喜八郎】失敗への向き合い方

ころんだら、起きればよい。

(鬼塚喜八郎)

出典:鬼塚喜八郎「失敗の履歴書」
鬼塚の人生哲学を、これ以上ないほど短く凝縮した一文だ。「起きればよい」という語尾の軽さが、この言葉の本質だ。転ぶことを問題にしていない。起きないことを問題にしている。何度倒れても立ち上がり続けた鬼塚の経営人生が、短い言葉に全部入っている。悩んで足が止まった日にも、まず体を起こすことからでいい、と思わせてくれる。

名言4【鬼塚喜八郎】難しいものから始める理由

ムズカシイものから始めれば、あとは何でもできる

(鬼塚喜八郎)

出典:ASICS公式創業者ページ(口癖として記録)
ASICS公式が「口癖」として残している言葉。何かを始めたらとことんやらなければ気がすまない人だったという。最も困難な課題から手をつけ、その後の仕事への自信を積み上げていく発想で、「やさしいものから慣らす」順番をあえて逆にしている。いきなり大きな壁でなくていい。今日いちばん気の重い仕事に、少しだけ手をつけてみる。それくらいの大きさで十分だ。

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名言5【鬼塚喜八郎】会社の本質を問う一言

会社は経営者の私物じゃない、公器だ

(鬼塚喜八郎)

出典:日経ビジネス 1992年7月20日号
1992年4月に代表取締役会長に就任してからわずか3カ月後の発言。自身の創業した会社に対して「私物ではない」と言い切れる経営者は少ない。鬼塚はこの言葉を、権限の移譲や後継者育成の文脈で語った。自分が作り上げたものほど手放せなくなるのが人の常だが、「公器」という言葉でそれを断ち切った。組織を自分の後に続く誰かに渡すことを、最初から前提にしていた哲学が見える。

名言6【鬼塚喜八郎】口約束を命がけで守った瞬間

いや、男と男の約束だ

(鬼塚喜八郎)

出典:ウォーカープラス取材記事(ASICS広報部・福井良守氏への取材)
戦友の上田中尉から「自分の身に何かあったら、鬼塚家の夫婦の死に水を取ってほしい」と託されていた。その約束を引き継ぎ、鬼塚家の養子として神戸へ出ると決めたとき、当然ながら親は反対した。返したのがこの一言だ。書面も保証もない約束を、自分の人生を変える根拠にした。人と人の言葉の重さを信じた、鬼塚の人間観がよく表れている。

名言7【鬼塚喜八郎】戦友への思いが事業の原点に

自分の仲間は多くが戦争で死んでいった。生き残った自分がこんなことをやっていてはいけない

(鬼塚喜八郎)

出典:ウォーカープラス取材記事(ASICS広報部・福井良守氏への取材)
戦後に就職した商事会社は、表向きはビアホールなどを営みながら、実際は闇市を仕切るような仕事が大半だった。それに幻滅し、3年ほどで退職したときの心境として語られた言葉だ。多くの仲間が命を落とした中で、生き残った自分は何をすべきか。誰かのために動く理由は、立派な志からではなく、静かな痛みから始まることもある。

名言8【鬼塚喜八郎】社会への貢献が事業を動かす

社会のために事業を興すから、人々も応援し、社会もあなたを成功させる

(鬼塚喜八郎)

出典:「ニッポンの社長」(sbbit.jp掲載記事が引用)
事業を興すにあたって、金儲けや私利私欲が動機ではいけない、という文脈で語られた言葉だ。社名のASICSも、ラテン語の格言「健全な身体に健全な精神があれかし(Anima Sana In Corpore Sano)」の頭文字から取られている。自分の利益より先に社会への貢献を置いたとき、人と社会が後押しをする。その順序を大切にした創業者らしい言葉だ。

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まとめ

鬼塚喜八郎の言葉に共通しているのは、失敗や批判や困難を「避けるもの」ではなく「通過するもの」として扱う姿勢だ。「ころんだら、起きればよい」という言葉の軽さは、起き上がることを繰り返してきた人だけが持てる軽さだと思う。転んだ痛みは本物だ。それでも、起き上がる動作にだけ意識を向けていい。そう言い切れるようになるまでに、彼は何度立ち上がったのだろうか。
社会への貢献、独自性への執着、仲間への誠実さ。ASICS創業者が残した8つの言葉は、どれも一代で世界規模の企業を作り上げた人物の経験から絞り出されたものだ。今の仕事に行き詰まったとき、自分の選択を疑いたくなったとき、これらの言葉のどれかがそっとそばに置かれてくれると思う。

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