ディズニー黄金時代を彩った作曲家アラン・メンケンの名言23選。リトル・マーメイドからアラジンまで、8度のアカデミー賞を生んだ音楽哲学と創作の本質を解説付きで紹介します。
アラン・メンケンの名言を知ると、あの「リトル・マーメイド」や「美女と野獣」の楽曲がなぜ世界中の人の心に刺さったのかが、少しわかる気がします。8つのアカデミー賞を受賞した作曲家が語った言葉には、創造の本質と、才能との向き合い方が詰まっています。
このページでは、アラン・メンケンが残した23の言葉を、背景とともに紹介します。音楽を作ることへの覚悟、パートナーシップの深さ、そして自分の道を進み続けることの意味が見えてきます。
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アラン・メンケンとはどんな人物か
アラン・メンケン(1949年生まれ)はアメリカの作曲家。1980年代後半から1990年代にかけてのディズニー・ルネサンスを音楽面で牽引し、「リトル・マーメイド」「美女と野獣」「アラジン」「ポカホンタス」「ノートルダムの鐘」「ヘラクレス」「塔の上のラプンツェル」などの楽曲を手がけました。アカデミー賞を8回受賞し、グラミー賞・トニー賞・エミー賞にも輝いた、エンターテインメント史に残る作曲家です。
アラン・メンケンの名言23選
名言1【アラン・メンケン】亡きパートナーへの、静かな敬意
ハワードは真の天才でした。最も賢い音楽的選択を通じて、ストーリーを届ける術を理解していたのです。
(アラン・メンケン)
出典:Windy City Times(John Stadelman)2019年3月27日
リトル・マーメイドの作詞家として共同制作したハワード・アッシュマンは、1991年にエイズで40歳の命を終えました。メンケンがこの言葉を語ったのは、その死から28年後。長い時間が経っても揺らがない敬意は、二人の仕事がいかに深く絡み合っていたかを示しています。天才を最もよく知るのは、隣で仕事した人間だということが、この一言から伝わってきます。
名言2【アラン・メンケン】創作の核心を一言で言い切る
自分のエゴや感情的な欲求ではなく、作品に仕えなさい。
(アラン・メンケン)
出典:Windy City Times(John Stadelman)2019年3月27日
若い作曲家へのアドバイスとして語られた言葉です。自分を表現することと、作品に必要なものを作ることは、似ているようで根本的に違う。その区別が、短い一文に込められています。主役は作品であって、自分ではない。ミュージカルや映画の現場で半世紀近く仕事を続けてきた人の、実感のこもった、潔い割り切りに見えます。
名言3【アラン・メンケン】才能は鍛え続けるものだ
創り続けることが才能を生き生きとさせる。ジムでのトレーニングが筋肉を鍛えるように。
(アラン・メンケン)
出典:Windy City Times(John Stadelman)2019年3月27日
才能を「筋肉」に例えたこの比喩は、使わなければ衰えるという事実をシンプルに突いています。メンケンは70代を超えてもブロードウェイや映画の仕事を続けており、この言葉は信念というより日常の実践から来るものです。才能を特別なものとして祀り上げず、鍛錬の産物として扱う姿勢が、数十年のキャリアを支えてきました。
名言4【アラン・メンケン】表現媒体への愛と、才能への義務
この表現媒体を愛しています。自分の才能を使うことは、その才能への義務だと感じています。
(アラン・メンケン)
出典:The Independent(Lydia Spencer-Elliott)
50年近く第一線にいてなお、仕事の魔法に目を輝かせている。そう紹介されたあとに続く言葉です。才能を使うことを「義務」と表現したところに、メンケンらしい誠実さがにじんでいます。義務と聞くと重く感じるかもしれません。それでも、与えられたものを使い切ることがその才能への敬意になる、という考え方は、好きなことを続ける理由のひとつになります。
名言5【アラン・メンケン】気づかれないことが、劇伴の成功
映画の劇伴を書く仕事とは、気づかれないことです。それはこの仕事に付き物で、疑いの余地はありません。
(アラン・メンケン)
出典:Den of Geek(Simon Brew)2011年1月11日
映画の劇伴(アンダースコア)について語った言葉です。歌のある楽曲と違い、劇伴は物語の背景に溶け込んでいるときに最もよく機能します。意識されないことが仕事の完成を意味するという逆説は、裏方の仕事や、誰かを支える仕事にも通じます。目立たない場所で誰かを引き立てている人の背中を、静かに支えてくれる言葉です。
名言6【アラン・メンケン】言葉の制約から解放されたとき
言葉の心配から解放されたとき、正直に言えば、より優れた作曲家になれると感じます。
(アラン・メンケン)
出典:Den of Geek(Simon Brew)2011年1月11日
ミュージカル曲では歌詞に合わせた音楽を書く必要がありますが、劇伴にはその制約がありません。メンケンはこの違いを「解放」と表現しました。制約があることで生まれる良さもある一方で、ある種の縛りが取り除かれたときに自分の本来の力が出る、という感覚は、様々な仕事や創作の場面で覚えがある人もいるのではないでしょうか。
名言7【アラン・メンケン】ディズニーの音楽が届く理由
でも、ディズニーのアニメーション芸術には、確かに心に届く原初の糸があります。大人になった今も、それは強力に感じます。
(アラン・メンケン)
出典:KUNC(NPR加盟局)2017年3月16日
「原初の糸(primal thread)」という表現が印象的です。アッシュマンを失ったつらい時期、幼い娘たちと古いディズニーのアニメを観る時間が、唯一安心できる場所だったと振り返っています。理屈より先に心が動くものを、大人になった今も信じている。うまく説明できない「好き」があるなら、それはもう十分な理由です。
名言8【アラン・メンケン】「やめとけ」と言われ続けた時代
どれだけ多くの人に言われたか分かりません。『やめとけ。アニメのミュージカルなんて誰も真剣に受け取らないよ』と。
(アラン・メンケン)
出典:KUNC(NPR加盟局)2017年3月16日
1980年代、アニメーションのミュージカルは子ども向けとして軽く見られていました。メンケン自身も、最初は迷いを抱えながらこの仕事に向き合っていたと語っています。周囲の反対を振り返るこの言葉には、苦さと、あとから振り返る静かな誇りが混ざっています。「誰も真剣に受け取らない」と言われたものが、のちに世界中で愛されるようになりました。
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名言9【アラン・メンケン】子どものためではなく、自分のために書く
子どものために書いたことは一度もない。自分のために書くのです。自分自身のために。
(アラン・メンケン)
出典:American Songwriter(Phil Sweetland)
ディズニー作品は子ども向けと思われがちですが、メンケンはそこに「子ども向け」という意図を置いていませんでした。自分が感動できるものを書いた結果、子どもにも大人にも届いたということ。「ターゲットに向けて最適化する」という発想とは真逆の姿勢が、かえって幅広い人に届く作品を生んだというのは、創作全般に示唆のある逆説です。
名言10【アラン・メンケン】ピアノの前に座ると変身する
ピアノの前に座るとき、私は自分が少しカメレオンだと思っています。
(アラン・メンケン)
出典:American Songwriter(Phil Sweetland)
続けて彼は「一緒に部屋で書く相手を映し出したい」と語っています。ハワード・アッシュマン、ティム・ライスと、組む作詞家によって曲の表情が変わるのはそのためです。自分の色を押し出すより、相手の言葉が一番よく響く形を探す。カメレオンという比喩は謙虚に聞こえますが、共同作業で力を発揮してきた人ならではの技術の言い表し方でもあります。
名言11【アラン・メンケン】馬から振り落とされても乗り続ける
馬に振り落とされてもその馬に乗り続けるほうがいい。馬が走り去ってしまって、『どこへ行ったんだ?』と言うよりは。
(アラン・メンケン)
出典:theartsdesk.com Q&A(Jasper Rees)2010年5月16日
制作チームとの意見対立が生じたときの姿勢を問われて出た言葉です。困難なプロジェクトを途中で手放すより、しがみついていた方がいいという経験則から来ています。「振り落とされる」という表現は失敗の苦さを認めながら、それでも離れるよりはましだと言い切っている。痛みを否定せずに続けるという、地に足のついた粘り強さです。
名言12【アラン・メンケン】最高のパートナーは厳しい人だった
一緒に仕事した中で最高の人たちは、みな厳しい人たちでした。
(アラン・メンケン)
出典:theartsdesk.com Q&A(Jasper Rees)2010年5月16日
共に仕事をしてきた相手を振り返ってのコメントです。アッシュマンのほか、スティーヴン・シュワルツやグレン・スレーターなど、長く組んできた作詞家たちを含めて語っています。厳しさは、作品を本気で良くしようとする姿勢の裏返しでもあります。優しくしてくれる人より、真剣に向き合ってくれる人との仕事の方が自分を伸ばす。思い当たる人は多いはずです。
名言13【アラン・メンケン】「完璧だ」は永遠に来ない
クリエイティブチームに『完璧だ』と言わせることは決してできません。
(アラン・メンケン)
出典:theartsdesk.com Q&A(Jasper Rees)2010年5月16日
ブロードウェイのミュージカルはプレビュー公演中も変わり続け、開幕してもなお手が入ることがあります。その現場で長く仕事をしてきたメンケンが語る「完璧は来ない」は、諦めではなく前提です。完璧を目指しながら、届かないことも引き受けて作り続ける。完璧に届かない日があっても、それは普通のことだと思わせてくれる言葉です。
名言14【アラン・メンケン】人生で他に何をすべきか分からなかった
ただ、人生で他に何をすべきか分からなかっただけです。
(アラン・メンケン)
出典:theartsdesk.com Q&A(Jasper Rees)2010年5月16日
作曲家になると決めていたのに、医学部進学課程にいた理由を問われたときの言葉です。家族はみな歯科医で、自分もそうなるのだろうと思っていたと振り返っています。進みたい道が見えていても、すぐには踏み出せない時期がある。その遠回りを隠さずに話すところに、彼の正直さがあります。迷った時間も、あとから見れば道の一部だったのかもしれません。
名言15【アラン・メンケン】ローリング・ストーンズとベートーヴェンの間
私の情熱は、ローリング・ストーンズとベートーヴェンの間のどこかにあります。
(アラン・メンケン)
出典:GRAMMY.com(Steve Hochman)2014年12月3日
殿堂入りした名盤から受けた影響を語る、GRAMMY.comの連載での言葉です。ロックの生命力とクラシックの構造美、その両方を好きだと言い切っています。どちらかに絞らない欲張りな音楽観が、作品ごとに表情を変える作曲の土台になっているように見えます。好きなものが一つに定まらないことは、弱みではなく幅になることがあります。
名言16【アラン・メンケン】親をなだめるために始めた音楽
劇場や映画のために作曲するようになったのは、ただ親をなだめるためだったのです。
(アラン・メンケン)
出典:GRAMMY.com(Steve Hochman)2014年12月3日
自分は何よりロックミュージシャンだ、と語る流れで出た言葉です。劇場や映画の仕事は、最初から望んだ道ではなかったということ。「なだめる」という訳語のとおり、原文(appease)には渋々という響きがあります。その道の先に8つのアカデミー賞があったと思うと、望んでいなかった選択が人生を形づくることもあるのだと気づかされます。
名言17【アラン・メンケン】声とは、愛と欲求のこと
私の声は音楽そのものではありません。私の声は音楽への愛と、様々な形でそれを作りたいという欲求です。
(アラン・メンケン)
出典:Cultural Attaché 2024年1月2日
作曲家としての「声」とは何かを問われた際の答えです。特定のスタイルや様式を自分の声と呼ぶのではなく、音楽そのものへの愛と多様な形で作りたいという衝動が自分だと言い切っています。固定のスタイルを持つことが個性とされがちな世界で、流動性そのものを個性にしているような答え方です。何かを愛し続ける姿勢が、変わらない一本の芯になることがあります。
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名言18【アラン・メンケン】自分のことではなく、大きなものの一部として
自分自身のことではありません。より大きな何かの一部になり、そこに自分の才能を注ぎ込むことなのです。
(アラン・メンケン)
出典:Cultural Attaché 2024年1月2日
まだ世に出ていない自作曲を、録音して発表するつもりはあるかと問われたときの答えです。自分の作品を世に出すことより、より大きな何かの一部として才能を注ぐことに意味を見いだしている。ディズニー作品のように多くの人が関わる仕事を続けてきた人らしい言葉です。誰かと一緒に何かを作る仕事に、静かな誇りを持たせてくれます。
名言19【アラン・メンケン】無理に進めようとしないことを学んだ
物事を無理に進めようとしないことを学びました。
(アラン・メンケン)
出典:Cultural Attaché 2024年1月2日
未発表のまま止まっているプロジェクトについて問われたときの言葉です。数十年のキャリアの中で、完成に至らなかった企画も多くあります。力で前へ進めるのではなく、タイミングを待つことを知った、という言葉は年齢を経た創り手だから言えることかもしれません。無理に動かすより、動き出すまで待つという判断を「学んだ」と言えることに、静かな成熟があります。
名言20【アラン・メンケン】作曲家は建築家だ
作曲家として、ある意味で、私は建築家のようなものです。他の人たちが住む家を設計しているのです。
(アラン・メンケン)
出典:ABC7 News(Joelle Garguilo)2024年4月4日
作曲家の役割を「設計者」として捉えるこの比喩は、完成した音楽空間に他者が入り込むという関係を見事に言い表しています。演者は舞台の上でその空間に生き、観客はそこに没入します。設計者本人は「住む」側ではない。この距離感と謙虚さが、歌う人、聴く人のための作品であること、主役が物語や人物であることを際立たせます。
名言21【アラン・メンケン】手を離れた瞬間に、満足感が生まれる
非常に嬉しく、満足感があります。なぜなら今は私の手を離れ、観客の手へと渡ったのですから。
(アラン・メンケン)
出典:ABC7 News(Associated Press)2024年4月4日
ブロードウェイ版『アラジン』10周年の取材で、舞台が初めて形になったときを振り返った言葉です。作品が自分の手を離れ、観客のものになったことを「嬉しい」と言える感覚は、作り手としての成熟のひとつの形です。完成させること自体より、他者に渡ったことへの充実感。手放すことで完成するものがある、と知っている人には深く響くはずです。
名言22【アラン・メンケン】どの作品も、当時の記憶と結びついている
僕にとっては、どの作品も子どものように大切。それらは曲作りをしている当時の記憶とも関わってくるからね。
(アラン・メンケン)
出典:MovieWalker Press 2019年6月9日
作品への思い入れを語った言葉です。「リトル・マーメイド」を書いたのはアッシュマンと深く共同制作していた時代、「塔の上のラプンツェル」は新たなパートナーたちとの時代。それぞれの作品が、その時期の人間関係や感情と切り離せない記憶として残っているということ。作品は記録であると同時に、その時間を生きた証でもあります。
名言23【アラン・メンケン】いつも、音楽を楽しんでいる
僕はとにかく、いつも音楽を楽しんでいるんだ。
(アラン・メンケン)
出典:MovieWalker Press 2019年6月9日
実写版『アラジン』公開時のインタビューを、こう締めくくっています。この記事で紹介してきた義務や責任、喪失にまつわる言葉の奥にあるのは、案外シンプルに音楽が好きだという気持ちなのかもしれません。半世紀近く作り続けてきた人が、今も楽しんでいると言い切れる。その短い一言には、重さと穏やかさが同居しています。
まとめ
アラン・メンケンの言葉に共通しているのは、才能や成功を神話にしないことへの意志です。「気づかれないことが成功」「親をなだめるために始めた」「他に何をすべきか分からなかった」。そういう言葉が、8つのアカデミー賞の陰にある人間の顔を見せてくれます。
創り続けることで才能を活かす、より大きなものに仕える、完璧は永遠に来ないと知りながらも作り続ける。この姿勢は、音楽に限らず何かを作ること・届けることに携わるすべての人へ向けられているような言葉です。
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