ピカソの名言58選を、1923年のインタビューやジローの回想録など出典つきで解説。探すより見つける、描いては壊すという創造の姿勢が、仕事や日常でどう効くかまで書きました。
ピカソの名言は、ネット上に数えきれないほど出回っています。この記事では、そのうち58の言葉を「誰に・いつ・どんな流れで」語られたのかという出典と文脈つきで紹介します。1923年の初めての本格インタビュー、1935年の対話記録、恋人だった画家フランソワーズ・ジローの回想録など、たどれる一次資料をひとつずつ添えました。
ピカソというと「天才」「奇人」というイメージが先に立ちますが、言葉を読んでいくと、見えてくるのは別の姿です。探すより見つける。描いては壊す。うまく描けるようになったあとで、子どものように描く自由を一生かけて取り戻す。どれも、才能の話ではなく「動き続けた人」の話です。
仕事で自信が揺らいでいる。何者にもなれていない気がする。それでも、まだあきらめてはいない。そんな時期にいる人にこそ、ピカソの言葉は「教え」ではなく「一緒に迷ってくれる声」として届くはずです。気になった一言から、読んでみてください。
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パブロ・ピカソとはどんな人物か
パブロ・ピカソは1881年、スペイン南部のマラガに生まれました。父ホセ・ルイス・ブラスコは画家であり美術教師で、早くから息子に絵を教えました。14歳でバルセロナの美術学校に入学する際は、一か月かけて仕上げるはずの入学試験を一日で終えたと伝えられています。
転機は1901年、パリでした。ともに暮らしていた親友の画家カルロス・カサヘマスが、失恋の末に20歳で自ら命を絶ちます。その死を引きずるように、ピカソの絵は数年にわたって青一色に沈みました。いわゆる「青の時代」です。やがて色を取り戻し、ジョルジュ・ブラックとともにキュビスムを切り開いていきます。
1937年、スペイン内戦のさなかにバスク地方の町ゲルニカが空爆されると、約一か月で大作『ゲルニカ』を描き上げ、パリ万博のスペイン館に展示しました。以後も様式を変え続け、1973年、南フランスのムージャンで91歳の生涯を閉じました。
「探すな、見つけろ」|創造と発見の言葉
名言1【パブロ・ピカソ】「やりたいこと」を探し続けて動けないとき
探すことに意味はない。見つけることが全てだ。
英文:To search means nothing in painting. To find, is the thing.
(パブロ・ピカソ)
出典:マリウス・デ・ザヤスによるインタビュー「Picasso Speaks」(The Arts誌、1923年5月)
1923年、美術誌に載ったインタビューでの言葉です。当時の批評家は近代絵画を「研究」や「探求」の言葉で語りたがりましたが、ピカソはそれを退けました。探している途中を見せても意味がない、見つけたものだけが絵になるのだと。「自分に合う仕事は何か」と探し続けて、気づけば何年も経っている。そんな人ほど、この言葉は少し痛いはずです。でも見つけるのは、探すのをやめた先ではなく、手を動かした先にあります。今日ひとつ「見つけたこと」を書き留めるところから始めていい。
名言2【パブロ・ピカソ】「まだ途中だから」と人に見せられないとき
絵を描くとき、私の目的は自分が見つけたものを示すことだ。探しているものを示すのではない。
英文:When I paint, my object is to show what I have found and not what I am looking for.
(パブロ・ピカソ)
出典:マリウス・デ・ザヤスによるインタビュー「Picasso Speaks」(The Arts誌、1923年5月)
名言1と同じ1923年のインタビューで、すぐあとに続く言葉です。ピカソは自分の絵を「探している最中の記録」ではなく「見つけたものの報告」だと言い切りました。過程を見せて理解を求めるのではなく、結果を置く。企画書も作品も、「もう少し整ってから」と抱え込むうちに鮮度が落ちていきます。まだ探している途中の部分は隠していい。すでに見つけた一つだけを、そのまま人に見せてみる。ピカソが「示す」と言ったのは、そういう小さな報告のことでもあります。
名言3【パブロ・ピカソ】やる気が出るのを待って一日が終わるとき
インスピレーションは存在する。しかし、それが働いているあなたを見つけなければならない。
英文:Inspiration exists, but it has to find you working.
(パブロ・ピカソ)
出典:広く流通する語録(一次資料は未確認)
ピカソの言葉として世界中で引かれてきた一文ですが、いつ・誰に語ったかを示す記録は見つかっていません。それでも残ってきたのは、多くの人が身に覚えのある順番を言い当てているからです。やる気が出たら始めよう。その待ち時間のうちに、夕方になっている。ひらめきは、机に向かっていない人の前には現れません。ピカソが桁外れの数の作品を残せたのは、待たなかったからです。気が乗らない日は5分だけ手を動かす。ひらめきに「見つけてもらう」ための、それが最低限の居場所です。
名言4【パブロ・ピカソ】企画を練りすぎて最初の輝きが消えたとき
アイデアは出発点に過ぎず、それ以上ではない。精緻化しようとすると、思考によって変容してしまう。
英文:An idea is a point of departure and no more. As soon as you elaborate it, it becomes transformed by thought.
(パブロ・ピカソ)
出典:フランソワーズ・ジロー『Life with Picasso』(1964)
1943年に出会い、約10年をともに過ごした画家フランソワーズ・ジローが、回想録に書き残した言葉です。ピカソは、考えを重ねた瞬間にアイデアは別のものへ変わってしまうと考えていました。企画書を三度書き直したら、最初に「これだ」と思った理由がわからなくなっていた。そんな経験があるなら、悪いのはあなたの粘りではありません。荒削りのままの案を、まず一度紙に出しておく。磨くのは、その後でいい。出発点は、出発点のまま残しておけます。
名言5【パブロ・ピカソ】答えの出ない考えごとをぐるぐる続けている夜
思考の運動そのものが、私の関心を引くようになってきた。思考内容よりも。
英文:I’ve reached the moment, you see, when the movement of my thought interests me more than the thought itself.
(パブロ・ピカソ)
出典:フランソワーズ・ジロー『Life with Picasso』(1964)
これもジローの回想録に記された言葉で、ピカソが60代に入ってからの発言です。何を考えたかより、考えが動いていること自体に興味があると彼は言いました。結論の出ない夜は、自分を責めたくなります。同じところを回っているだけではないか、と。でも、思考が動いている限り、その夜は止まっていません。今考えていることをノートに書き出すと、回っているように見えた思考が、少しずつ場所を変えていることに気づきます。答えが出なくても、動いた分だけ前に進んでいるのです。
名言6【パブロ・ピカソ】ひとつ終えてもすぐ次が気になってしまうとき
私の関心を引くのは、絵画の運動だ。一つの努力から次の努力へのドラマティックな移行だ。
英文:It’s the movement of painting that interests me, the dramatic movement from one effort to the next.
(パブロ・ピカソ)
出典:フランソワーズ・ジロー『Life with Picasso』(1964)
同じくジローが書き留めた、ピカソの制作観です。彼は一枚の完成品より、一つの試みから次の試みへ移るその「移行」にドラマがあると語りました。実際、ピカソは青の時代からキュビスム、晩年まで、ひとつの様式にとどまりませんでした。仕事を一つ終えると、達成感より次の課題が気になる。落ち着きがないと自分を責めがちですが、それは前に動いている証拠でもあります。今日終えた仕事の横に、次の一行だけ書いておく。移行そのものを楽しむ余白が、そこに生まれます。
名言7【パブロ・ピカソ】「前例がない」と言われて案を引っ込めそうなとき
私たちは発明することを恐れてはならない。人間が人間の足のように有用なものを発明しようとしたとき、車輪を発明した。
英文:We mustn’t be afraid of inventing anything… When man wanted to invent something as useful as the human foot, he invented the wheel.
(パブロ・ピカソ)
出典:フランソワーズ・ジロー『Life with Picasso』(1964)
ジローとの会話で、ピカソは車輪のたとえを持ち出しました。人間は足のように役立つものを作ろうとしたとき、足を真似せず、まったく別の形である車輪を発明した。似せる必要はない、恐れずに発明していいのだと。会議で「前例がないから」と言われた瞬間、案を引っ込めた経験は誰にでもあるはずです。でも前例がないのは、そのアイデアの欠点ではありません。「変かな」と思った案ほど、消さずにメモに残しておく。車輪だって、足には少しも似ていないのです。
名言8【パブロ・ピカソ】悩んだらすぐ検索して余計に迷うとき
コンピューターは役に立たない。答えしか出せないのだから。
英文:But they are useless. They can only give you answers.
(パブロ・ピカソ)
出典:ウィリアム・フィフィールド「Pablo Picasso: A Composite Interview」(The Paris Review誌、1964年)
1964年、作家ウィリアム・フィフィールドが文芸誌に発表したインタビューでの言葉です。大型計算機の話題が出たとき、ピカソは「役に立たない。答えしか出せないから」と返しました。いま読むほうが刺さる言葉です。悩みが生まれると、私たちはすぐ検索し、答えが多すぎてまた迷う。ピカソが大事にしたのは、答えの手前にある「問い」でした。今日の悩みを、検索する前に「自分は何を知りたいのか」という一行に書き換えてみる。問いを持つ人だけが、答えの先へ進めます。
描いては壊す|破壊と創造の言葉
名言9【パブロ・ピカソ】「もっと足さなければ」と追われて息が詰まるとき
以前、絵画は付加の総和として進んでいた。毎日何か新しいものが生まれた。だが私の場合、絵画は破壊の総和だ。私は絵を描き、そして破壊する。
英文:In the old days pictures went forward toward completion by stages. Every day brought something new. A picture used to be a sum of additions. In my case a picture is a sum of destructions. I do a picture, then I destroy it.
(パブロ・ピカソ)
出典:クリスチャン・ゼルヴォス「Conversation avec Picasso」(Cahiers d’Art誌、1935年)
1935年、美術誌の創刊者クリスチャン・ゼルヴォスとの対話で語られた制作論です。かつての絵は毎日何かを付け足して完成に向かったが、自分の絵は描いては壊すことの積み重ねだと、ピカソは言いました。がんばる人ほど、足し算で自分を追い込みます。資格をもう一つ、スキルをもう一つ。でも足すだけでは、いつか持ちきれなくなります。手帳に「やめることリスト」を一つ書いてみる。削った分だけ、本当に大事なものの輪郭が見えてくる。壊すことも、ピカソには前に進む手段でした。
名言10【パブロ・ピカソ】完璧にしようとして何か月も出せずにいるとき
絵を完成させるとは何か。完成させることはそれを通り抜けることを意味し、それを殺すことを意味し、魂を取り除くことを意味する。
英文:To finish a work? To finish a picture? What nonsense! To finish it means to be through with it, to kill it, to rid it of its soul.
(パブロ・ピカソ)
出典:ハイメ・サバルテス『Picasso: portraits et souvenirs』(1946)
バルセロナ時代からの友人で、1935年からは秘書としてそばにいたハイメ・サバルテスが、回想録に書き残した言葉です。ピカソにとって「完成」は到達点ではなく、絵から魂を抜いてしまう行為でした。整ってから出そう、と思い続けて何か月も経つ資料や作品はないでしょうか。完璧を求める気持ちは、ていねいさの裏返しです。でも未完のまま生きている状態にも、価値があります。途中の姿をメモや写真で残しておく。完成させなくても、それはすでに一つの作品です。
名言11【パブロ・ピカソ】うまくいった方法を繰り返して縮んでいく気がするとき
成功は危険だ。自分自身を模倣し始める。自分を模倣することは他人を模倣することより危険で、不毛につながる。
英文:Success is dangerous. One begins to copy oneself, and to copy oneself is more dangerous than to copy others. It leads to sterility.
(パブロ・ピカソ)
出典:アレクサンダー・リバーマンによる取材記事(Vogue誌、1956年11月1日号)
1956年、ヴォーグ誌の美術編集者アレクサンダー・リバーマンがアトリエを訪ねた取材で語られた言葉です。ピカソは成功のあとに来る「自分の模倣」を、他人を真似るより危険だと警告しました。先月うまくいったから、今月も同じやり方で。その判断は自然で、責められるものではありません。ただ、同じ型を繰り返すうちに自分が小さくなっていく感覚があるなら、ピカソの警告が当たっています。今日の仕事で一か所だけ、方法を変えてみる。それが自己模倣の輪から抜ける最初の一歩になります。
名言12【パブロ・ピカソ】「ブレるな」と言われて同じやり方にしがみつくとき
基本的に私はスタイルのない画家かもしれない。スタイルとは画家を同じビジョン、同じ技法、同じ公式に何年も閉じ込めるものだ。
英文:Basically I am perhaps a painter without style. Style is often something which locks the painter into the same vision, the same technique, the same formula during years and years, sometimes during one’s whole lifetime.
(パブロ・ピカソ)
出典:アンドレ・ヴェルデ『Picasso』(1963)/ドーア・アシュトン編『Picasso on Art』(1972)
1963年、詩人アンドレ・ヴェルデがジュネーヴでの展覧会に寄せた文章に収録された言葉です。80代のピカソは、自分を「スタイルのない画家」と呼びました。スタイルとは、画家を同じ視点と同じ技法に何年も閉じ込めるものだからです。「軸がぶれている」と言われると、去年と同じやり方にしがみつきたくなります。でも変わることは、揺らぎではありません。変わり続けたピカソが、それを証明しています。今日一つだけ、いつもと違う手順で動いてみる。それは軸を失うことではなく、軸を太くすることです。
名言13【パブロ・ピカソ】「これって変かな」という声がアイデアを消すとき
良い趣味!なんと恐ろしいものだ!趣味は創造性の敵だ。
英文:Ah, good taste! What a dreadful thing! Taste is the enemy of creativeness.
(パブロ・ピカソ)
出典:Quote Magazine(1957年3月24日号)
1957年にアメリカの語録誌が伝えた言葉です。「良い趣味」と聞くと褒め言葉に思えますが、ピカソはそれを「恐ろしいもの」と呼びました。趣味の良さとは、誰かがすでに決めた正解に寄せることだからです。アイデアが浮かんだ瞬間、「普通じゃないかも」という声が頭の中で聞こえて、書く前に消してしまう。その声の正体は、他人の基準です。少し外れていると感じた案ほど、メモに書き出して残しておく。「趣味は創造性の敵だ」という一言を、自分への許可証として持っておいていい。
名言14【パブロ・ピカソ】正しい方法を学んでからでないと動けないとき
美における学術的訓練はまやかしだ。私たちはひどく欺かれてきた。芸術とは美の規範の適用ではなく、本能と脳が規範を超えて想像できるものだ。
英文:Academic training in beauty is a sham. We have been deceived, but so well deceived that we can scarcely get back even a shadow of the truth. Art is not the application of a canon of beauty but what the instinct and the brain can conceive beyond any canon.
(パブロ・ピカソ)
出典:クリスチャン・ゼルヴォス「Conversation avec Picasso」(Cahiers d’Art誌、1935年)
1935年、ゼルヴォスとの対話でのアカデミズム批判です。ピカソ自身は14歳でバルセロナの美術学校に入り、一か月かかるとされた入学試験を一日で仕上げた人でした。その彼が、美の規範を学ぶ訓練を「まやかし」と言い切ったのです。正しい方法を身につけてからでないと始められない。そう思って、参考書ばかり増えていく人は多いはずです。でも本能は、規範より先に答えを知っています。「なんとなくこっちがいい」という直感を一つだけ信じて、小さく動いてみる。規範は、動いたあとで追いつけばいい。
名言15【パブロ・ピカソ】「正解の型」に合わせて自分の直感を疑うとき
本能と脳が規範を超えて想像できるものこそが芸術だ。パルテノンの美しさ、ヴィーナス、ニンフ、ナルキッソスは多くの嘘だ。
英文:Art is not the application of a canon of beauty but what the instinct and the brain can conceive beyond any canon. The beauties of the Parthenon, Venuses, Nymphs, Narcissi, are so many lies.
(パブロ・ピカソ)
出典:クリスチャン・ゼルヴォスによる1935年の対話/アルフレッド・H・バー『Picasso: Fifty Years of His Art』(1946)
名言14と同じ1935年の対話から、のちに美術館の図録に英訳されて広まった一節です。パルテノン神殿もヴィーナス像も「嘘」だとピカソは言いました。誰かが定めた美の基準を、そのまま本物と信じ込むなという意味です。仕事でも「こう書くのが正解」という型に合わせるうちに、自分が面白いと感じた感覚のほうを疑ってしまうことがあります。でも、その直感は消さなくていいものです。答えを調べる前に、まず自分の直感を一行書いておく。規範を超えたところにあるものを、ピカソは芸術と呼びました。
名言16【パブロ・ピカソ】目標が大きすぎて最初の一歩が霞むとき
抽象芸術など存在しない。いつも何かから始めなければならない。その後、現実のあらゆる痕跡を取り除くことができる。
英文:There is no abstract art. You must always start with something. Afterward you can remove all traces of reality.
(パブロ・ピカソ)
出典:クリスチャン・ゼルヴォス「Conversation avec Picasso」(Cahiers d’Art誌、1935年)
1935年、ゼルヴォスとの対話でピカソはこう言いました。どんなに抽象的に見える絵も、必ず何か具体的なものから始まっている。あとから現実の痕跡を消していくだけなのだと。「何から始めればいいかわからない」と手が止まるのは、頭の中にある目標が大きすぎるからです。壮大な計画も、最初の一筆は目の前の具体的な何かでいい。ノートに「まずこれだけやる」と一行書いてみる。それはピカソにとっての最初のモチーフと同じで、あとでいくらでも形を変えていける出発点です。
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芸術は嘘であり魔術である|見ること・描くことの言葉
名言17【パブロ・ピカソ】「どうせうまく言えない」と書くのをやめた夜
芸術は嘘だ。しかしその嘘が、少なくとも私たちに理解できる真実を悟らせてくれる。
英文:We all know that Art is not truth. Art is a lie that makes us realize truth, at least the truth that is given us to understand.
(パブロ・ピカソ)
出典:マリウス・デ・ザヤスによるインタビュー「Picasso Speaks」(The Arts誌、1923年5月)
1923年、批評家マリウス・デ・ザヤスによる最初期の本格的なインタビューでの言葉です。キュビスムをめぐる議論の中で、芸術は自然の写しではなく、嘘を通して真実に気づかせるものだと語りました。「本当の気持ちを、うまく言葉にできない」。そう感じて、書くのをやめた夜はないでしょうか。でも、不完全な言葉こそが、その人の真実にいちばん近い場所にあります。ノートに「本当は〜と思っている」と一行だけ書いてみる。少し嘘のように見えるその言葉から、自分でも気づいていなかった本音が見えてきます。
名言18【パブロ・ピカソ】得体の知れない不安と向き合う手段がないとき
絵を描くのは美的活動ではない。この敵意に満ちた奇妙な世界と我々の間を取り次ぐ、一種の魔術なのだ。
英文:Painting isn’t an aesthetic operation; it’s a form of magic designed as a mediator between this strange, hostile world and us.
(パブロ・ピカソ)
出典:アンドレ・マルロー『黒曜石の頭』(1974)に記録された1937年の対話
作家アンドレ・マルローが著書『黒曜石の頭』で伝えた、1937年の対話です。ピカソは1907年、パリの民族誌博物館でアフリカの仮面を見た日のことを語りました。仮面は未知の恐ろしい霊に立ち向かう道具であり、絵画も同じだと悟ったのだと。この体験は『アヴィニョンの娘たち』の制作中に起きています。正体のわからない不安が心に居座るとき、それを見つめる手段がないと人は消耗します。ピカソにとっての絵は、不安と自分の間に立つ「魔術」でした。あなたにとっての魔術は、一行のメモでもいいのです。
名言19【パブロ・ピカソ】見えていることだけ追いかけて自分の意見が消えるとき
絵に描くとは、見たものではなく、考えたものを描くことだ。
英文:I paint objects as I think them, not as I see them.
(パブロ・ピカソ)
出典:広く流通する語録(一次資料は未確認)
批評家ハーバート・リードを通じて伝わってきた言葉で、ピカソ自身がいつ語ったかを示す記録は確認できていません。ただ、キュビスムの絵を思い出せば、この言葉が彼の姿勢そのものだとわかります。正面と横顔を同時に描いたのは、目に見える通りではなく、頭が知っている通りに描いたからです。指示された通りに、見えている通りに仕事をこなすうちに、自分の考えがどこかへ消えていく。そんな日は、今日感じた違和感を一言だけメモに残してみる。考えたことを描く。それがピカソにとっての「描く」でした。
名言20【パブロ・ピカソ】「センスがない」と表現をあきらめそうなとき
絵画というのは、盲人の職業だ。盲人は見えるものではなく、感じるものを、見たものについて自分に語ることを描く。
英文:Painting is a blind man’s profession. He paints not what he sees, but what he feels, what he tells himself about what he has seen.
(パブロ・ピカソ)
出典:ジャン・コクトー『The Journals of Jean Cocteau』(1956)
詩人ジャン・コクトーが日記に書き留めた言葉です。ピカソとコクトーは、1917年のバレエ『パラード』で美術と台本を分担して以来の友人でした。画家は見えるものではなく、感じたもの、見たものについて自分に語り聞かせたことを描く。だから盲人の職業なのだと。「センスがない」とあきらめそうな日があります。でも、感じる力に才能は要りません。心が動いた瞬間を一言だけメモに書く。それを続けることが、ピカソの言う「自分に語る」ことの始まりです。見える・見えないは、その次の話です。
名言21【パブロ・ピカソ】「どうせ誰も気にしない」と作業を流すとき
太陽を黄色い点に変える画家がいる。しかし、黄色い点を太陽に変える画家もいる。
英文:There are painters who transform the sun into a yellow spot, but there are others who, with the help of their art and their intelligence, transform a yellow spot into the sun.
(パブロ・ピカソ)
出典:セルゲイ・エイゼンシュテイン『Film Form』(1957年版)
映画監督セルゲイ・エイゼンシュテインが著書『Film Form』で引用し、広く知られるようになった言葉です。太陽を黄色い点に変えてしまう画家と、黄色い点を太陽に変える画家。同じ一点を描いても、そこに何を込めるかで結果はまるで違います。同じ資料、同じ定型業務でも、「これは誰の役に立つのか」を一つ意識するだけで、仕上がりの温度が変わります。その違いは才能ではなく、見方の選択です。今日の仕事のうち一つだけ、黄色い点を太陽にするつもりで手を動かしてみる。
名言22【パブロ・ピカソ】「どうせ無理」という先入観が先に来るとき
もし脳を取り出して、目だけで見られたら。
英文:If only we could pull out our brain and use only our eyes.
(パブロ・ピカソ)
出典:ジェームズ・スロール・ソビー「An Afternoon with Picasso」(Saturday Review誌、1956年9月1日号)
1956年、美術史家ジェームズ・スロール・ソビーが雑誌に書いたアトリエ訪問記の中で記録された言葉です。ピカソは、知識や理屈が「見る」ことを邪魔すると嘆きました。脳を取り出して、目だけで見られたら、と。「どうせ自分には無理」と思いながら見るとき、可能性は見る前に閉じています。先入観を外して、まず見る。判断はそのあとでいい。気になった場面や言葉を、評価をつけずにスマホのメモに書いてみる。「良い・悪い」を決める前に「見た」を残す。それが、新しい気づきの入り口になります。
名言23【パブロ・ピカソ】「自分ってなんか変だ」と鏡の前で感じる朝
顔とは何だろうか?その写真か?その化粧か?それとも画家それぞれが描いた顔か?誰もが自分なりの見方で自分自身を見ているのではないか。変形などというものは存在しない。
英文:What is a face, really? Its own photo? Its make-up? Or is it a face as painted by such or such painter? That which is in front? Inside? Behind? Doesn’t everyone look at himself in his own particular way? Deformations simply do not exist.
(パブロ・ピカソ)
出典:アナトール・ジャコフスキー「Midis avec Picasso」(Arts de France誌、1946年)
1946年、批評家アナトール・ジャコフスキーによるインタビューでの言葉です。顔を歪めて描くと批判されたピカソは、逆に問い返しました。顔とは写真か、化粧か、それとも画家が描いたものか。誰もが自分なりの見方で自分を見ているのだから、「変形」など存在しないのだと。鏡を見て「なんか変だ」と感じる朝があります。でも、その感じ方そのものが、あなた固有の「顔」です。今日、自分が自分をどう見ているかを三つだけ書き出してみる。正解の自分を探す必要は、最初からありません。
名言24【パブロ・ピカソ】相談されるとすぐ分析して答えたくなるとき
絵画を説明しようとする人々は、たいていは見当外れだ。
英文:People who try to explain pictures are usually barking up the wrong tree.
(パブロ・ピカソ)
出典:ドーア・アシュトン編『Picasso on Art: A Selection of Views』(1988年版)
美術評論家ドーア・アシュトンが編んだピカソの語録集に収められた言葉です。ピカソは自作の意味を問われることを嫌い、説明しようとする人ほど的を外していると突き放しました。誰かに相談されると、私たちはつい「つまりこういうことだよね」と整理したくなります。でも相手は、分析ではなく、ただ聞いてほしいだけのことも多いのです。今日一つだけ、アドバイスをのみ込んで、隣にいてみる。説明しないことが、いちばん深い理解になることがあります。ピカソが絵に求めたのも、そういう向き合い方でした。
名言25【パブロ・ピカソ】感じたことを理由つきで説明できずに黙るとき
誰もが絵画を理解しようとする。なぜ鳥の歌を理解しようとしないのか?
英文:Everyone wants to understand painting. Why don’t they try to understand the song of the birds?
(パブロ・ピカソ)
出典:クリスチャン・ゼルヴォス「Conversation avec Picasso」(Cahiers d’Art誌、1935年)
1935年、ゼルヴォスとの対話でピカソが放った問いです。鳥の歌を「理解」しようとする人はいないのに、なぜ絵だけは解読しようとするのか。感じればいいものを、頭で処理しようとする鑑賞態度への皮肉でした。会議で「なぜそう思うの」と聞かれて、うまく理由が言えずに黙ってしまう。そんなとき、感じたこと自体まで疑ってしまいがちです。でも説明できなくても、感じたことは本物です。今日、心が動いた瞬間を理由なしで一行だけ手帳に残す。「なんかよかった」で十分。鳥の歌は、それで聞こえています。
名言26【パブロ・ピカソ】「これに意味はあるのか」と問い続けて動けないとき
人々はすべてのものに意味を見出そうとする。それがこの時代の病だ。
英文:People want to find a ‘meaning’ in everything and everyone. That’s the disease of our age.
(パブロ・ピカソ)
出典:インゴ・F・ヴァルター『Picasso』(Taschen、1996)
美術書出版社タッシェンが刊行したピカソの評伝に収録された言葉です。あらゆるものに意味を求めるのは、この時代の病だとピカソは言い切りました。意味のある仕事がしたい、意味のない時間は過ごしたくない。その真面目さは尊いものですが、意味を先に求めるほど足が止まります。ピカソが1946年に傷ついたフクロウを拾って世話し、何十点も描いたのは、意味があったからではなく、面白かったからです。理由のわからない好奇心を、今日一つだけメモに残してみる。意味は、動いたあとから追いかけてきます。
名言27【パブロ・ピカソ】「こんなことで落ち込むなんて」と気持ちに蓋をした日
色は、顔の表情と同じように、感情の変化に従う。
英文:Colors, like features, follow the changes of the emotions.
(パブロ・ピカソ)
出典:クリスチャン・ゼルヴォス「Conversation avec Picasso」(Cahiers d’Art誌、1935年)
1935年のゼルヴォスとの対話で語られた色彩論です。色は装飾ではなく、顔の表情と同じで、感情の変化にそのまま従うものだとピカソは言いました。親友を失ったあとの数年間、彼の絵が青一色に沈んでいたことを思えば、この言葉は理論ではなく実感です。「こんなことで落ち込むなんて」と、気持ちに蓋をしてしまう日があります。でも落ち込んでいい。感情は嘘をつきません。今夜、手帳に「今日の気分の色」を一語だけ書いてみる。灰色でも赤でもいい。色にすると、気持ちの変化に自分で気づけるようになります。
名言28【パブロ・ピカソ】「繊細すぎる」と自分を恥じてしまうとき
芸術家は感情の容れ物だ。空や大地、紙の一片、通りすがりの人物、クモの巣から生まれる感情を受け取る。
英文:The artist is a receptacle for emotions derived from anywhere: from the sky, from the earth, from a piece of paper, from a passing figure, from a spider’s web.
(パブロ・ピカソ)
出典:リヒャルト・フリーデンタール編『Letters of the Great Artists』(Thames and Hudson、1963)
美術史家リヒャルト・フリーデンタールが編んだ芸術家の書簡集に収められた言葉です。ピカソは芸術家を、空や大地や紙切れやクモの巣からも感情を受け取る「容れ物」だと定義しました。ちょっとした一言に傷つき、道端の花に心が動く。そんな自分を「繊細すぎる」と恥じている人は多いはずです。でもピカソにとって、それは弱さではなく、創る人の条件そのものでした。感じたことを、その場で一つメモに残してみる。容れ物は、使うほど大きくなります。受け取れるものが増えるほど、差し出せるものも増えていきます。
名言29【パブロ・ピカソ】準備が整うまで始められずに夜が更けるとき
絵画は私より強い。それが私にしたいことをさせる。
英文:Painting is stronger than I am; it makes me do what it wants.
(パブロ・ピカソ)
出典:ピカソ自身のスケッチブック(No.171)/『Je Suis Le Cahier: The Sketchbooks of Picasso』(1986)
この言葉は、ピカソが自分のスケッチブックの一冊にフランス語で書きつけたものです。誰かに語ったのではなく、自分に向けたメモです。完璧に準備してから始めようとして、結局手が動かないまま夜が更ける。誰にでもある夜です。でもピカソでさえ、自分が絵を支配しているとは考えていませんでした。絵のほうが強くて、自分にしたいことをさせる。始めてしまえば、作業のほうが引っ張ってくれるのです。準備が整っていなくても、まず一行だけ書いてみる。そこから先は、書くこと自体が連れていってくれます。
名言30【パブロ・ピカソ】他人の新しい手法が輝いて見えて焦るとき
キュビスムは他のどの芸術の流派とも違わない。同じ原理、同じ要素が全ての健全な芸術活動に見られる。
英文:Cubism is no different from any other school of painting. The same principles and elements are common to all.
(パブロ・ピカソ)
出典:マリウス・デ・ザヤスによるインタビュー「Picasso Speaks」(The Arts誌、1923年5月)
1923年のデ・ザヤスによるインタビューでの言葉です。キュビスムの創始者として特別視されていたピカソ自身が、それを「他の流派と何も変わらない」と言いました。同じ原理、同じ要素が、すべての健全な芸術活動にあるのだと。同僚の新しい手法や、SNSで見かける誰かの方法論が輝いて見えて、自分は遅れていると焦る夜があります。でも根っこにある原理は、どれも同じです。今日一つだけ、当たり前にやっていることを、いつもよりていねいにやってみる。目新しさより、基本の反復のほうが遠くまで届きます。
名言31【パブロ・ピカソ】うまくなるほど自由に描けなくなったと感じるとき
この子たちの年ごろには、私はラファエロのように描けた。だが、この子たちのように描けるようになるには、何年もかかった。
英文:When I was the age of these children I could draw like Raphael: it took me many years to learn how to draw like these children.
(パブロ・ピカソ)
出典:ハーバート・リードによるThe Times紙宛て書簡(1956年10月27日)
1956年、子どもたちの絵の展覧会でピカソが批評家ハーバート・リードに語り、リードが英紙タイムズへの投書で紹介した言葉です。「ラファエロのように描くのに4年、子どものように描くのに一生かかった」という形で広まっていますが、元の言葉はこちらです。少年期に写実を極めたピカソにとって、難しかったのは、うまく描くことではなく、子どものように自由に描くことでした。今日一つだけ、「うまくやろう」を脇に置いて、不格好なまま手を動かしてみる。それが、何年かけても取り戻す価値のある自由です。
ピカソをつくった人生|母の言葉・青の時代・孤独
名言32【パブロ・ピカソ】親の期待どおりに歩けていないと感じるとき
私が子どもの頃、母はこう言った。『兵士になれば将軍になる。神父になれば教皇になる。』でも私は画家になって、ピカソになった。
英文:When I was a child my mother said to me, ‘If you become a soldier, you’ll be a general. If you become a monk, you’ll end up as the Pope.’ Instead I became a painter and wound up as Picasso.
(パブロ・ピカソ)
出典:フランソワーズ・ジロー『Life with Picasso』(1964)
晩年、ジローに語った幼いころの回想です。母は息子に、何になっても頂点まで行けると言い続けました。ピカソはその期待を、将軍でも教皇でもなく「ピカソになる」という形で返したのです。誰かが敷いたレールから外れた気がして、落ち着かない日があります。でも、いちばん遠くまで届くのは、あなたが「あなた」になる道です。今日、他人の期待ではなく自分の興味が向いたものを、一つだけ手帳に書いてみてください。
名言33【パブロ・ピカソ】悲しみに蓋をしても消えないとき
カサヘマスのことを考えていたので、青で描き始めたのだ。
英文:It was thinking about Casagemas that got me started painting in blue.
(パブロ・ピカソ)
出典:ピエール・デックス『La Vie de Peintre de Pablo Picasso』(1977)
1901年2月、パリで親友カルロス・カサヘマスが自ら命を絶ちました。その年の後半から、ピカソの絵は青一色に沈んでいきます。のちに「青の時代」と呼ばれる三年ほどの始まりを、本人は伝記作家ピエール・デックスにこう打ち明けました。「考えないようにしよう」と蓋をしても、重い気持ちは消えません。悲しみは消すものではなく、何かに変わる前の状態です。いま重くなっている気持ちを、一行だけ書き出してみてください。それが、あなたの青の始まりになります。
名言34【パブロ・ピカソ】ひとりの時間がさみしく思えるとき
孤独なしには何も達成できない。私は誰にも気づかれない独自の孤独を作り出した。
英文:Nothing can be accomplished without solitude. I have made a kind of solitude for myself which nobody is aware of.
(パブロ・ピカソ)
出典:The New York Times(1960年)
1960年のニューヨーク・タイムズ紙に載った言葉です。パリでも南仏でも、ピカソの周りにはいつも人がいました。それでも「誰にも気づかれない孤独」を自分でつくっていたと言うのです。誰かとつながっていないと不安になる夜があります。さみしいままでいいのです。孤独は、自分だけのものを育てる静かな時間でもあります。今日、意図して一人になる十五分をつくり、いま感じていることを一行だけ書いてみてください。
名言35【パブロ・ピカソ】夢中になりすぎて翌朝後悔するとき
私の悲運は、おそらく喜びでもあるが、情熱の命じるままにものを使うことだ。
英文:It is my misfortune, and probably my delight, to use things as my passions tell me.
(パブロ・ピカソ)
出典:クリスチャン・ゼルヴォス「Conversation avec Picasso」『Cahiers d’Art』(1935)
1935年、批評家クリスチャン・ゼルヴォスとの対話で語った自己分析です。情熱の命じるままにものを使う。それを「悲運」と呼びながら、同じ息で「喜び」とも言い切りました。夜中まで没頭して、翌朝「また時間を使いすぎた」と後悔する朝があります。でもやめられないものは、欠点ではなく、あなたの情熱の証明です。今夜、その衝動を責める代わりに、何に夢中だったのかを一言だけノートに書いてみてください。
名言36【パブロ・ピカソ】実績がなくて自分を測れないとき
重要なのは、芸術家が何をするかではなく、芸術家が何者であるかだ。
英文:It is not what the artist does that counts. But what he is.
(パブロ・ピカソ)
出典:クリスチャン・ゼルヴォス「Conversation avec Picasso」『Cahiers d’Art』(1935)
同じ1935年のゼルヴォスとの対話から。技法でも作品の数でもなく、芸術家が「何者であるか」が作品を決める、という信念です。「実績がない」「まだ何も成し遂げていない」と感じるとき、人は「何をしたか」だけで自分を測っています。でも、何者であるかは実績より先にあります。今日の夜、自分が大切にしてきたことを一つ、ノートに書いてみてください。それはもう、あなたの中にあるものです。
名言37【パブロ・ピカソ】「それは違う」と否定されたとき
誰もが彼女に似ていないと言う。しかしそれは問題ではない。いずれそうなる。
英文:Everybody says that she does not look like it, but that does not make any difference. She will.
(パブロ・ピカソ)
出典:ガートルード・スタイン『The Autobiography of Alice B. Toklas』(1933)
1905年から翌年にかけて、ピカソは作家ガートルード・スタインを何十回もアトリエに座らせ、それでも顔が描けずに一度塗りつぶしました。夏の旅から戻ると本人なしで仕上げ、「似ていない」と言われてこう返したのです。スタイン自身が自伝に書き残しました。「ちょっと違う」と言われたアイデアが、実は世界より半歩先にあることがあります。今日否定された案を、消さずに一行だけ残しておいてください。
名言38【パブロ・ピカソ】同期の活躍を素直に喜べない夜に
マティスが死んだら、色を本当に理解している画家はシャガールだけになる。
英文:When Matisse dies, Chagall will be the only painter left who understands what color really is.
(パブロ・ピカソ)
出典:シドニー・アレクサンダー『Marc Chagall: A Biography』(1978)
シャガールの伝記に記録された言葉です。色彩の画家マティス、そして画風のまったく違うシャガール。ピカソは二人を惜しみなく「色を本当に理解している画家」と呼びました。同期の活躍を見て、すごいと思いながら素直に認められない夜があります。でも誰かを認めることは、自分の価値を下げることではありません。今日、誰かの持つ独自の「色」を一つ、心の中で正直に認めてみてください。それだけで、少し器が広くなります。
名言39【パブロ・ピカソ】自分のやり方が定まらず焦るとき
神は本当はもう一人の芸術家に過ぎない。キリンや象や猫を発明した。本物のスタイルというものを持っていない。ただ他のものを試し続けているのだ。
英文:God is really only another artist. He invented the giraffe, the elephant, and the cat. He has no real style. He just goes on trying other things.
(パブロ・ピカソ)
出典:フランソワーズ・ジロー『Life with Picasso』(1964)
ジローとの会話で語られた言葉です。キリンも象も猫も、神がいろいろ試した結果にすぎない。ピカソにとって創造とは、一つの様式を守ることではなく、試し続けることでした。自分のやり方が定まらないと焦る日があります。でも神でさえ「本物のスタイル」を持っていないなら、定まらないのは弱さではなく、まだ動いている証拠です。今日、いつもと一つだけ違うやり方を試して、気づきをメモに残してみてください。
名言40【パブロ・ピカソ】他人の目が気になって動けないとき
誰も誰にとっても本当に重要な人などいない。他の人々は、日光の中に漂う小さなほこりのようなものだ。
英文:Nobody has any real importance to me. As far as I’m concerned, other people are like those little grains of dust floating in the sunlight.
(パブロ・ピカソ)
出典:フランソワーズ・ジロー『Life with Picasso』(1964)
同じくジローが記録した、ピカソの冷たい一面です。他人は日光の中のほこりにすぎない。この言葉を聞いたジロー本人は、のちに自分の意思でピカソのもとを去りました。励ましに変える必要のない言葉だと私は思います。ただ、裏返せば、人は思っているほど他人を見ていません。あなたが気にしている相手も、自分のことで頭がいっぱいです。誰かの目を気にして止めていたことを、今日ひとつ、不格好なままやってみてください。
名言41【パブロ・ピカソ】いいことが続くと次が怖くなるとき
羽の美しさを保つには触れてはならない。幸せというものは限られた量しかない。
英文:Everything exists in limited quantity, especially happiness. If the wings of the butterfly are to keep their sheen, you mustn’t touch them.
(パブロ・ピカソ)
出典:フランソワーズ・ジロー『Life with Picasso』(1964)
ジローに語った、幸せについての言葉です。蝶の羽の輝きは、触れた瞬間に失われる。幸せも同じで、量には限りがある。ピカソはそう考えていました。いいことが続くと「次が怖い」と感じたことはないでしょうか。つかもうと力を入れるほど、いま手のひらにあるものが見えにくくなります。今日、「これで十分」と感じることを一つだけ手帳に書いてみてください。今日は満ちている、と静かに閉じていいのです。
名言42【パブロ・ピカソ】失敗した夜に自分を責めてしまうとき
事故を変えようとしても無駄だ。事故は人間を明かすものだ。
英文:Accidents, try to change them, it’s impossible. The accidental reveals man.
(パブロ・ピカソ)
出典:アレクサンダー・リバーマンによるインタビュー『Vogue』(1956年11月1日号)
1956年、ヴォーグ誌の取材で語った言葉です。制作中の偶然を直そうとしても無駄で、むしろ偶然にこそ作者の本質が現れる。ピカソはそう考えていました。失敗した夜、責めているのは出来事ではなく、自分の価値になっていないでしょうか。起きたことは消せません。でも、そのあとどう動いたかが、あなたという人間を映します。今日の失敗を「自分を明かす鏡」として、気づいたことを一行だけノートに書いてみてください。
名言43【パブロ・ピカソ】疲れ果てて何も残らなかった夜に
全ては奇跡だ。湯船の中でまるで角砂糖のように溶けないことは奇跡だ。
英文:Everything is a miracle. It is a miracle that one does not dissolve in one’s bath like a lump of sugar.
(パブロ・ピカソ)
出典:広く流通する語録(一次資料は未確認)
ピカソの言葉として広く伝わる一節です。湯船で角砂糖のように溶けないこと、それさえ奇跡だという視点は、日常を見る目を一段ゆるめてくれます。疲れ果てて帰宅し、今日何があったかも思い出せない夜があります。でも、ご飯を食べられた。布団で眠れる。体が動いた。それぞれが小さな奇跡の積み重ねです。今夜、眠る前に「当たり前だけど奇跡だと思うこと」を三つだけ書いてみてください。
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ゲルニカと時代|芸術家は政治的な存在である
名言44【パブロ・ピカソ】自分の発信に意味があるのか迷うとき
絵画は部屋を飾るためのものではない。それは敵に対する攻撃と防御のための武器だ。
英文:Art is not made to decorate rooms. It is an offensive weapon in the defense against the enemy.
(パブロ・ピカソ)
出典:シモーヌ・テリーによるインタビュー『Les Lettres françaises』(1945年3月24日号)
1945年3月、パリ解放から半年後に、記者シモーヌ・テリーの取材で語った言葉です。占領と戦争をくぐり抜けた直後に、絵は飾りではなく武器だと言い切りました。「自分の発信なんて意味があるのか」と手が止まることがあります。でも言葉は、部屋を飾る絵ではなく、誰かの心を守る側にも立てます。いま感じていることを、飾らない言葉で一つだけ書いてみてください。SNSでも手帳でもかまいません。
名言45【パブロ・ピカソ】意見を飲み込む自分に気づいたとき
スペインの戦いは、反動に対する民衆の、自由への戦いだ。芸術家としての私の生涯全体は、反動と芸術の死に対する継続的な戦いに他ならない。
英文:The Spanish struggle is the fight of reaction against the people, against freedom. My whole life as an artist has been nothing more than a continuous struggle against reaction and the death of art.
(パブロ・ピカソ)
出典:ピカソによる声明(1937年)
1937年、ゲルニカ制作中に発表した声明の一節です。祖国スペインの内戦を「自由への戦い」と呼び、自分の画家人生そのものが反動との戦いだったと重ねました。誰かに合わせて意見を飲み込むとき、心の中では小さな戦いが起きています。守り方は人それぞれでいいのです。今日、自分が本当に大切にしていることを一行だけメモしてみてください。「継続的な戦い」は、何を守りたいかを知ることから始まります。
名言46【パブロ・ピカソ】伝わるか不安で説明を重ねてしまうとき
このゲルニカの牛は牛であり、この馬は馬だ。絵のシンボルを定義するのは画家の仕事ではない。絵を見る公衆が、理解した通りにシンボルを解釈するべきだ。
英文:This bull is a bull and this horse is a horse… It isn’t up to the painter to define the symbols. The public who look at the picture must interpret the symbols as they understand them.
(パブロ・ピカソ)
出典:ゲルニカの象徴について問われたピカソの発言(1937年)
1937年のパリ万博でゲルニカが公開されたあと、牛や馬は何の象徴かと問われて返した言葉です。意味を決めるのは画家ではなく、見る人だと言うのです。伝わるか不安で、つい言葉を重ねてしまうことがあります。でも意味を完成させるのは、受け取る側です。今日送るメッセージから、余計な説明を一行だけ削ってみてください。相手の「解釈」に委ねることが、言葉を豊かにしてくれます。
名言47【パブロ・ピカソ】仕事では感情を切り離せと言われるとき
芸術家とは何だと思う?目しかない絵描きか?いや、彼は同時に政治的な存在だ。世界で起きる悲しみ、情熱、喜ばしい出来事に常に目を向け、それに応じて自分全体を形作っている。
英文:What do you think an artist is? …he is also a political being, constantly aware of the heartbreaking, passionate, or delightful things that happen in the world, shaping himself completely in their image.
(パブロ・ピカソ)
出典:ピカソの声明(1945年)/ドア・アシュトン編『Picasso on Art』(1972)所収
名言44と同じ、1945年3月のテリーの取材で語った言葉です。目しかない絵描きなど存在しない。芸術家は世界の出来事に自分全体で応じる、政治的な存在だと言いました。仕事の場では感情を切り離せと、自分を押さえ込んでいないでしょうか。感じることは弱さではありません。世界に応じて自分の形が変わることを、ピカソは芸術家の条件と呼びました。今日、心が動いた瞬間を一行だけメモに残してみてください。
名言48【パブロ・ピカソ】違う時代に生まれたかったと思うとき
たとえある運動に反対していても、君はやはりその一部だ。自分の時代から逃れることはできない。
英文:Even if you are against a movement, you’re still part of it. You can’t escape your own period.
(パブロ・ピカソ)
出典:フランソワーズ・ジロー『Life with Picasso』(1964)
ジローとの会話で語られた時代観です。ある運動に反対していても、その運動の一部であることに変わりはない。ピカソは自分の時代から逃げる道はないと言い切りました。「もっと違う時代に生まれていれば」と思う瞬間があります。でも、無関係を決め込んでも時代の一部です。ならば、この時代の中でどう動くかを考えるほうが力になります。今日できることを一つだけノートに書き出してみてください。それが時代への返答です。
名言49【パブロ・ピカソ】正体のわからない不安が居座るとき
(アフリカの仮面について)それは何かに対抗するためのものだった。未知の脅威となる精神に対して。私も全てに対抗する。
英文:[The masks] were magic things… They were against everything, against unknown threatening spirits… I too am against everything.
(パブロ・ピカソ)
出典:フランソワーズ・ジロー『Life with Picasso』(1964)
1907年、パリのトロカデロ民族誌博物館でアフリカの仮面を見た体験を、のちにジローに語った言葉です。仮面は未知の霊に対抗する道具だった。自分も同じだと、ピカソはそこで悟りました。正体のわからない不安が、心の中に居座ることがあります。ピカソはそれを「未知の脅威となる精神」と呼び、対抗すると決めました。向き合えない何かに名前をつけて、一言メモに書いてみてください。名づけた瞬間から、対抗は始まっています。
名言50【パブロ・ピカソ】きれいにまとめて薄くなってしまうとき
芸術は純潔でない。無知な者が触れるのは禁じられるべきだ。芸術とは危険なものだ。もし純潔ならば、それは芸術ではない。
英文:Art is never chaste. It ought to be forbidden to ignorant innocents, never allowed into contact with those not sufficiently prepared. Yes, art is dangerous. Where it is chaste, it is not art.
(パブロ・ピカソ)
出典:アントニーナ・ヴァランタン『Picasso』(1963)
伝記作家アントニーナ・ヴァランタンが記録した言葉です。芸術は純潔ではなく危険なもので、純潔ならそれは芸術ではない。ピカソは自分の作品が人を揺さぶることを、隠しませんでした。うまくまとめようとして、言いたかったことが薄くなった経験はないでしょうか。今日、少し怖いくらい正直なアイデアをメモに書いてみてください。きれいに整えすぎない熱量が、本物の始まりになります。
名言51【パブロ・ピカソ】みんなの熱狂に乗れない自分がいるとき
(月面着陸について)何も思わない。意見もないし、関心もない。
英文:It means nothing to me. I have no opinion about it, and I don’t care.
(パブロ・ピカソ)
出典:The New York Times(1969年7月21日)
1969年7月21日、人類初の月面着陸を伝えるニューヨーク・タイムズ紙は、世界の著名人の反応を並べました。87歳のピカソの答えがこの一言です。励ましに変える必要はないと思います。ただ、みんなが熱狂しているのに自分だけ乗れない、という感覚を恥じなくていい、とは言えます。好奇心の向き先は自分で決めていいのです。今日、本当に気になることだけに、時間を一つ使ってみてください。
成功・仕事・年齢|長い時間をかけて若くなる
名言52【パブロ・ピカソ】結果を求める自分を卑しく感じるとき
成功は大切なものだ。芸術家は成功を必要とする。生活のためだけでなく、作品を生み出すためにも。成功さえあれば、誰にも妥協せずに進める。
英文:Well, success is an important thing! An artist needs success. And not only to live off it, but especially to produce his body of work. For myself, I wanted to prove that you can have success in spite of everyone, without compromise.
(パブロ・ピカソ)
出典:ブラッサイ『Conversations with Picasso』(1964)
写真家ブラッサイが長年の交流を記録した回想録に収められた言葉です。成功は生活のためだけでなく、作品を生み続けるために必要で、誰にも妥協せずに進むための燃料だと言いました。「結果やお金を求めるのは卑しいのでは」と、自分にブレーキをかけてしまうことがあります。求めることを恥じなくていいのです。今日、自分がなりたい状態を「成功の定義」として一つだけ手帳に書いてみてください。
名言53【パブロ・ピカソ】食べていけるのかと迷って踏み出せない夜
表現したいことがある人間にとって、妥協への服従は長い目で見て耐えられないものになる。天職に対する勇気と、天職で生活する勇気を持たなければならない。
英文:When you have something to say, to express, any submission becomes unbearable in the long run. One must have the courage of one’s vocation and the courage to make a living from one’s vocation.
(パブロ・ピカソ)
出典:ブラッサイ『Conversations with Picasso』(1964)
同じブラッサイとの対話で、若い芸術家の生き方について語った言葉です。表現したいものがある人にとって、妥協を続けることは長い目で見て耐えられなくなる。だから天職に生きる勇気と、天職で食べていく勇気の両方が要ると言うのです。「食べていけるのか」と迷って踏み出せない夜があります。勇気は派手なものでなくていい。手帳に「自分が本当にしたいこと」を一行書いてみる。今日はそれだけで十分です。
名言54【パブロ・ピカソ】気持ちはあったのに動けなかった日
芸術において、意図だけでは不十分だ。スペインの言葉にあるように、愛は理由ではなく行為で証明しなければならない。重要なのは意図ではなく、実際にしたことだ。
英文:In art intentions are not sufficient and, as we say in Spanish, love must be proved by deeds and not by reasons. What one does is what counts and not what one had the intention of doing.
(パブロ・ピカソ)
出典:「Picasso Speaks」『The Arts』(1923年5月号)
1923年のインタビューで、スペインのことわざを引きながら語った言葉です。愛は理由ではなく行為で証明する。芸術も同じで、意図ではなく実際にしたことが評価されると言いました。「気持ちはあった。でも動けなかった」と自分を責めた夜があります。意図を責めるより、小さくていいから一つ動いてみる。今日、手帳に「今日実際にしたこと」を一行書いて閉じてください。残るのは意図ではなく、その一行です。
名言55【パブロ・ピカソ】過去を引きずり未来を心配しているとき
私にとって、芸術に過去も未来もない。作品が常に現在に生きられないなら、それは全く考慮に値しない。
英文:To me there is no past or future in art. If a work cannot live always in the present it must not be considered at all.
(パブロ・ピカソ)
出典:ドア・アシュトン編『Picasso on Art: A Selection of Views』(1972)
編集者ドア・アシュトンがまとめた語録に収められた言葉です。ピカソにとって芸術に過去も未来もなく、いま現在に生きられない作品は考えるに値しないものでした。過去の失敗を引きずり、未来を心配しながら、目の前の仕事をしている。そんな日があります。でも、積み重なるのは今この瞬間だけです。今日、五分だけ目の前のことだけに集中してみてください。それだけで、作品も一日も「現在」に戻ってきます。
名言56【パブロ・ピカソ】この年で始めても遅いと思うとき
60歳になってようやく若くなり始める。そして時すでに遅し、だ。
英文:One starts to get young at the age of 60, and then it’s too late.
(パブロ・ピカソ)
出典:ジャン・コクトーへの発言/『The Sunday Times』(1963年10月20日)
1963年、詩人ジャン・コクトーに語った言葉として、ロンドンのサンデー・タイムズ紙が伝えました。ピカソは八十歳を過ぎていました。「もうこの年で始めても遅い」と思ったとき、一度立ち止まっていいのです。ピカソは「六十でようやく若くなった」と笑い飛ばしました。「遅い」と感じるたびに、何かが始まりかけています。今日、気になっていたことをノートに一行だけ書いてみてください。「時すでに遅し」は、ピカソの照れ隠しだと私は思います。
名言57【パブロ・ピカソ】「もう若くない」が口癖になっているとき
若さに年齢はない。
英文:Youth has no age.
(パブロ・ピカソ)
出典:ドア・アシュトン編『Picasso on Art: A Selection of Views』(1972)
アシュトンの語録に収められた短い一句です。91歳で亡くなる直前まで描き続けた人の言葉だから、重みがあります。ピカソの言う「若さ」は年齢ではなく、好奇心の向きのことでした。「もう若くない」という言葉を、いつの間にか言い訳にしていないでしょうか。責めるべきは数字ではありません。今日「なんとなく気になる」と感じたことを、メモに一行だけ書いてみてください。それが年齢に関係のない、若さの正体です。
名言58【パブロ・ピカソ】年を重ねることが怖くなったとき
長い時間をかけて若くなるものだ。
英文:It takes a long time to become young.
(パブロ・ピカソ)
出典:ジャン・ルイ・フェリエ『Pablo Picasso』(1996)/『Life』(1957)
1957年のライフ誌などが伝えた晩年の言葉です。若さは最初にあるものではなく、長い時間をかけてたどり着くもの。ラファエロのように描くには四年、子どものように描くには一生かかった(名言31)と語ったピカソらしい逆説です。年を重ねるごとに「もう遅い」と感じてしまうことがあります。でも成熟とは衰えではなく、自由になっていくことです。今日、子どものころ夢中だったことを一つ思い出して、手帳に書いてみてください。
ピカソの名言についてよくある質問
「子供は誰でも芸術家だ。問題は大人になっても芸術家でいられるかどうかだ」は本当にピカソの言葉ですか?
この言葉がピカソの発言として確認できる最も古い記録は、1976年10月のタイム誌です。ただしピカソは1973年4月に亡くなっており、本人が話した・書いたという記録は見つかっていません。出典を検証するサイト「Quote Investigator」も一次資料を確認できていないとしています。似た趣旨の発言は、1969年のジョン・レノンのインタビューにも見られます。本人の言葉と確認できないため、この記事の58選には入れていません。子どもの絵についてピカソ本人が語った言葉は、名言31をご覧ください。
「凡人は模倣し、天才は盗む(Good artists copy, great artists steal)」はピカソの言葉ですか?
ピカソの発言を裏づける一次資料は見つかっておらず、誤帰属の可能性が高い言葉です。似た表現の最も古い記録は1892年のイギリスの評論で、1920年には詩人T・S・エリオットが「未熟な詩人は模倣し、成熟した詩人は盗む」と書いています。ピカソの名前が結びついたのは、1996年のテレビ番組でスティーブ・ジョブズがピカソの言葉として紹介してからだとされています。ピカソが「模倣」について実際に語った言葉は、名言11の「自分を模倣することは他人を模倣することより危険だ」です。
「私は捜し求めない。見出すのだ」の元の言葉は何ですか?
1923年のインタビュー「Picasso Speaks」の一節、「To search means nothing in painting. To find, is the thing.(探すことに意味はない。見つけることが全てだ)」が源です。これがフランス語で「Je ne cherche pas, je trouve(私は探さない、見つけるのだ)」と要約されて広まりました。原文には「絵画において」という限定があり、制作の姿勢を語った言葉です。名言1と名言2に、前後の文脈とあわせて収録しています。
「青の時代」とは何ですか?
1901年から1904年ごろにかけて、ピカソが青を基調とした絵を描き続けた時期のことです。きっかけは1901年2月、親友カルロス・カサヘマスがパリで自ら命を絶ったことでした。貧しい人や孤独な人を、沈んだ青で描いた作品が並びます。1904年ごろから色調は明るくなり、「バラ色の時代」へ移っていきます。青の時代の始まりをピカソ自身が語った言葉は、名言33をご覧ください。
「ゲルニカ」は何を描いた絵ですか?
1937年4月26日、スペイン内戦のさなかにドイツとイタリアの空軍がバスク地方の町ゲルニカを空爆した出来事を描いた、幅7メートルを超える大作です。同じ年のパリ万博スペイン館で公開されました。ピカソはスペインに民主主義が戻るまで祖国に置かないと決め、長くニューヨーク近代美術館に預けられたのち、1981年にスペインへ返還され、現在はマドリードのソフィア王妃芸術センターにあります。制作中の声明と、象徴の意味を問われたときの答えは、名言45と名言46に収録しています。
\ 明日の自分に、ひとつ言葉を渡すなら /
長い記事です。ひと息つくついでに、私たちのiPhoneアプリ「
ポケットAnchor」も紹介させてください。作品とは別の、アプリ独自のコレクションから毎日ひとつ、ウィジェットに言葉が届きます。基本機能は無料です。
まとめ
58の言葉を、創造、破壊、見ること、人生、時代、年齢の順に読んできました。出典をたどると、その多くが1923年と1935年の二つのインタビュー、そしてジローやブラッサイのような身近な人の記録に行き着きます。名言として一人歩きしている言葉の裏に、具体的な場面と相手がいたことが伝われば、うれしく思います。
探すのではなく見つける。描いては壊す。ピカソが一生かけて守ったのは、この二つの姿勢だったと私は思います。うまくいった形にとどまらず、今日の自分をいったん壊して、また見つけに行く。手帳の一行からで十分です。その一行が、あなたの「見つける」の始まりになります。
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