新しい挑戦を前に腰が重いとき、やらなければいけないことがあるのに手が動かないとき。やる気は、待っていても湧いてくるものではありません。そんなときに効くのが、実際に道を切り開いてきた人たちの言葉です。
このページでは、やる気が出てくる名言を30個、厳選して紹介します。高校時代に代表選考から漏れたマイケル・ジョーダン、82歳で大作を完成させたゲーテ、経営危機の中で世界一を宣言した本田宗一郎。いずれも、動けない時間を知った上で、それでも一歩を踏み出した人たちです。
言葉だけを並べるのではなく、その人がどんな人生の場面でその言葉にたどり着いたのかという背景まで掘り下げました。気になる一言から読んでみてください。
\ やる気が出ない日の、隣にいる言葉 /
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やる気が出てくる名言30選
ここから、30の言葉を順に紹介していきます。
名言1【キャサリン・アン・ポーター】楽な道に逃げたくなるとき
つらい道を避けないこと。自分の目指す場所にたどりつくためには進まなければ。
(キャサリン・アン・ポーター)
米国の作家キャサリン・アン・ポーターは、寡作で知られた人でした。唯一の長編『愚か者の船』は、構想から完成まで20年以上を費やし、刊行されたとき彼女は71歳。その4年後には短篇全集でピューリッツァー賞と全米図書賞を受賞しています。近道を探さず、つらい道を進み続けた人の言葉だからこそ、この一言には重みがあります。私たちは目標を前にすると、つい楽なルートを探してしまいます。けれど、資格の勉強でも、新しい仕事への挑戦でも、本当に行きたい場所へ続く道は、たいてい少しつらい坂道です。避ければ楽になりますが、目的地からは遠ざかる。やる気が揺らいだときは、この道がつらいのは目指す場所へ向かっている証拠だ、と捉え直してみてください。進んでいる限り、たどりつく可能性は消えません。
名言2【アンドリュー・カーネギー】目標が大きすぎて動けなくなるとき
最も高い目標を達成するには、一歩一歩進むしかないという事実を、頭に入れておかなければならない。
(アンドリュー・カーネギー)
アンドリュー・カーネギーは13歳のとき、スコットランドから米国へ移民し、綿工場の糸巻き係として働き始めました。週給はわずか1ドル20セント。そこから電報配達員、鉄道会社の社員と一段ずつ階段を上り、やがて「鉄鋼王」と呼ばれる大実業家になります。引退後は財産の大半を寄付し、2500を超える図書館を各地に建てました。人生そのものが「一歩一歩」の証明です。大きな目標を立てた直後は、誰でもやる気に満ちています。けれど頂上ばかり見上げていると、その遠さに圧倒されて足が止まってしまう。カーネギーの言葉は、視線を「今日の一歩」に戻せと教えてくれます。今日やれる小さな作業を一つ終わらせる。その繰り返しだけが、最も高い目標への唯一の登り方なのです。
名言3【マイケル・ジョーダン】実力不足を痛感したとき
ステップ・バイ・ステップ。どんなことでも、何かを達成する場合にとるべき方法はただひとつ、一歩ずつ着実に立ち向かうことだ。これ以外に方法はない。
(マイケル・ジョーダン)
バスケットボールの神様と呼ばれたマイケル・ジョーダンには、有名な挫折があります。高校2年のとき、上級チームのメンバー選考から漏れたのです。悔しさで泣いた日を境に、彼は誰よりも早く体育館に通って練習を積み重ねました。やがて全米注目の選手となり、NBAでは6度の優勝と5度のシーズンMVPに輝きます。史上最高の選手が語る成功法則が、ひらめきでも才能でもなく「一歩ずつ着実に」だという事実は、静かな衝撃を与えてくれます。空中を舞うような華麗なプレーの土台にあったのは、地上での反復練習でした。大きな仕事や試験を前に圧倒されそうなときは、全体を見るのをいったんやめて、今日の一歩だけに集中する。これ以外に方法はない、と言い切ってくれる人がいることが、何よりの支えになります。
名言4【武者小路実篤】あと少しのところで心が折れそうなとき
もう一歩。いかなる時も自分は思う。もう一歩。今が一番大事なときだ。もう一歩。
(武者小路実篤)
白樺派の作家・武者小路実篤は、理想を語るだけでなく実行した人でした。1918年には理想の共同体を目指して宮崎県に「新しき村」を建設。周囲に無謀だと言われても構想を実行に移し、自身は90歳で亡くなる年まで筆を持ち続けました。この言葉が優れているのは、「あと十歩」ではなく「もう一歩」だという点です。疲れ切っているとき、人は遠いゴールを想像しただけで心が折れます。けれど一歩だけなら、どんなに消耗していても出せる。そして「今が一番大事なときだ」と自分に言い聞かせれば、その一歩に意味が宿ります。ランニングの最後の直線でも、深夜の資料づくりの最後の詰めでも、力尽きそうな場面でそのまま唱えられる、これほど実用的な名言はなかなかありません。短い言葉ほど、いざというとき体を動かしてくれるのです。
名言5【イチロー】遠すぎる目標にため息が出るとき
小さなことを重ねることがとんでもないところに行く ただひとつの道
(イチロー)
2004年10月、イチローさんはジョージ・シスラーが持っていたメジャーリーグの年間最多安打記録を84年ぶりに塗り替え、262安打という金字塔を打ち立てました。この言葉は、その歴史的な記録達成の場面で語られたものとして広く知られています。前人未到の偉業を成し遂げた本人が語ったのは、意外なほど地味な結論でした。とんでもないところへ行く方法は、小さなことの積み重ね、ただひとつだと言うのです。イチローさんは毎日同じ時間に球場入りし、同じ手順の準備を崩さないルーティンを徹底したことでも知られています。特別な一日を待つのではなく、平凡な一日を特別に積み上げる。仕事でも勉強でも、今日の小さな一つを丁寧にこなすことが、数年後の「とんでもないところ」への唯一の道になります。
名言6【ゲーテ】努力しているのに迷いが消えないとき
人間は努力する限り迷うものだ。
(ゲーテ)
出典:『ファウスト』天上の序曲
この言葉は、ゲーテが約60年をかけて書き続けた畢生の大作『ファウスト』の冒頭、「天上の序曲」で主が語る一節です。完成したのはゲーテ82歳、亡くなる前年のことでした。ドイツ文学の頂点に立つ作品が、最初に宣言するのが「人間は努力する限り迷う」だという事実は、深い慰めをくれます。迷いは、怠けの証拠ではなく、努力の証拠だというのです。新しい仕事に挑んでいるとき、進路を考えているとき、迷いが深いほど自分はだめだと感じてしまいがちです。けれど順序は逆で、真剣に進もうとしている人だけが迷える。立ち止まっている人に、迷いは訪れません。迷いながらのやる気は、格好悪いものではなく、前へ進んでいる人間だけに許された状態です。迷いを抱えたまま、今日の分だけ進めば十分なのです。
名言7【パブロ・ピカソ】自信が持てず尻込みしてしまうとき
できると思えばできる、できないと思えばできない。これは、ゆるぎない絶対的な法則である。
(パブロ・ピカソ)
20世紀最大の画家と呼ばれるピカソは、91歳で亡くなる直前まで制作を続け、絵画・彫刻・陶器などおびただしい数の作品を残しました。「青の時代」からキュビスムまで、評価の定まった様式を自ら壊し、生涯にわたって新しい表現に挑み続けた人です。その原動力を語るとき、ピカソは技法ではなく「できると思うこと」を絶対的な法則に挙げました。心理学でも、「自分はできる」という信念、いわゆる自己効力感が行動量を左右することが知られています。できないと思った瞬間、人は挑戦の前から手を引き、練習量が減り、本当にできなくなっていく。逆に、できると思えば試行回数が増え、現実ができる方向へ動き出します。根拠は後からで構いません。まず「できる」と仮定してみることが、やる気の最初のスイッチになります。
名言8【エラ・ウィーラー・ウィルコックス】環境や運のせいにしたくなるとき
吹いている風がまったく同じでも、ある船は東へ行き、ある船は西へ行く。進路を決めるのは風ではない、帆の向きである。人生の航海でその行く末を決めるのは、なぎでもなければ、嵐でもない、心の持ち方である。
(エラ・ウィーラー・ウィルコックス)
出典:詩「The Winds of Fate(運命の風)」
19世紀米国の詩人エラ・ウィーラー・ウィルコックスが、詩「運命の風」で歌った一節です。ウィスコンシンの農家に生まれた彼女は、少女時代から新聞や雑誌に詩を投稿し続け、独学で人気詩人への道を切り開きました。同じ風を受けても、船が進む方向は帆の張り方で決まる。この比喩の鋭さは、風、つまり環境のせいにする言い訳を静かに封じるところにあります。同じ職場で、同じ上司の下で働いていても、腐っていく人と伸びていく人がいます。景気も、会社の方針も、他人の性格も、自分の力では変えられません。けれど、その風をどう受けるかという帆の向きだけは、いつでも自分で調整できる。やる気を失いそうなときは、風向きを嘆く前に、自分の帆がどちらを向いているかを確かめてみてください。
名言9【セルバンテス】言い訳ばかりが浮かんでしまうとき
我々が第一に戦わねばならぬ厄介な敵は、我々の内部にある。
(セルバンテス)
『ドン・キホーテ』の作者セルバンテスの人生は、苦難の連続でした。1571年のレパントの海戦で負傷して左手の自由を失い、帰国の途上では海賊に捕らえられ、アルジェで5年間の捕虜生活を送っています。その後も暮らしは楽にならず、『ドン・キホーテ』前篇を世に出したのは57歳のときでした。過酷な外敵と戦い続けた人が、第一の敵は「我々の内部にある」と言い切るのです。やる気を奪うものの正体を思い浮かべてみてください。忙しさや環境より先に、どうせ無理だ、明日でいいか、という内なる声が行動を止めていないでしょうか。外の障害は工夫で回避できますが、内なる敵は放っておくと毎日現れます。まずこの敵の存在に気づくこと。名前を付けて観察するだけでも、その支配力は驚くほど弱まります。
名言10【手塚治虫】周りの評価が気になって動けないとき
人を信じよ、しかし、その百倍も自らを信じよ。
(手塚治虫)
手塚治虫さんは、生涯に約700タイトル、15万枚に及ぶ原稿を描いた漫画の神様です。医学博士の学位を持ちながら漫画の道を選び、亡くなる直前まで「頼むから仕事をさせてくれ」と口にしたと伝えられています。新しい才能が次々と現れる漫画界で、常に第一線を走り続けた人の支えが、この言葉でした。人を信じよ、と最初に置いた上で、その百倍も自らを信じよと続ける構図が絶妙です。他人への信頼と自分への信頼は、対立するものではない。ただ、配分の問題だというのです。私たちは他人の評価や意見を気にするあまり、自分の可能性を他人の百分の一しか信じられなくなりがちです。周囲の声は参考にしつつ、最後の判断基準は自分の中に置く。この配分を取り戻したとき、やる気は他人に左右されない強さを持ち始めます。
名言11【エレノア・ルーズベルト】できない気がして挑戦を避けたいとき
自分にはできないかも知れないという恐れに真正面から立ち向かうたびに、あなたは強さと自信と経験を勝ち取るのです。だから、できないと思うことに挑戦してごらんなさい。
(エレノア・ルーズベルト)
出典:『You Learn by Living』(1960年)
エレノア・ルーズベルトは、幼くして両親を亡くし、人前に出るのが苦手な内気な少女でした。それがフランクリン・ルーズベルト大統領の妻として活動するうちに変わり、夫の死後は国連の場で世界人権宣言の起草を主導。「世界のファーストレディ」と呼ばれるまでになります。この言葉は、晩年の著書に記された、彼女自身の変化の種明かしです。恐れに正面から立ち向かうたびに、強さと自信と経験が手に入る。つまり自信は、挑戦の前に用意するものではなく、挑戦の後に受け取るものだというのです。自信がついたらやろう、と思っている限り、その日は永遠に来ません。順番を入れ替えて、できないと思うことに小さく挑んでみる。震えながらの一歩が、次の一歩のための自信を連れてきてくれます。
名言12【ビヴァリー・シルズ】失敗が怖くて動けないとき
失敗すると失望するかもしれない。しかし何もしなければ必ず失敗する
(ビヴァリー・シルズ)
ビヴァリー・シルズは、米国生まれの歌手として世界的な名声を得た、オペラ界を代表するソプラノの一人です。ニューヨーク・シティ・オペラで長い下積みを経て開花し、引退後は同オペラの総裁、さらにリンカーン・センターの会長まで務めました。私生活では子どもの障害という試練にも向き合い続けた人です。この言葉の価値は、失敗の恐怖を否定しないところにあります。挑戦すれば、失望するかもしれない。それは事実として認める。その上で、何もしなければ「必ず」失敗すると畳みかけるのです。挑戦の失敗は確率ですが、無挑戦の失敗は確定です。どちらにも失敗がありうるなら、成功の可能性が残っている方を選ぶのが合理的な判断ではないでしょうか。迷って動けないときこそ、二つのリスクを冷静に比べてみる。答えは案外はっきりしています。
名言13【オプラ・ウィンフリー】失敗を引きずっているとき
私は失敗と言うものを信じない。そのプロセスを楽しめば、それは失敗ではないのよ。
(オプラ・ウィンフリー)
オプラ・ウィンフリーは、ミシシッピ州の貧しい家庭に生まれ、過酷な少女時代を過ごしました。駆け出しのころには、ニュースキャスターの座を降ろされる挫折も経験しています。ところが、その感情移入しやすい性格こそがトーク番組で開花し、「オプラ・ウィンフリー・ショー」は25年続く国民的番組となり、彼女は米国で最も影響力のある女性の一人になりました。失敗を信じない、という言い方は強がりではありません。キャスター失格の烙印は、彼女にとって天職への通路でした。プロセスを楽しんでいる限り、途中の結果がどうであれ、それは失敗という名前にならないのです。うまくいかなかった企画も、不合格だった試験も、そこで得たものごと楽しめたなら材料に変わります。結果だけで自分を裁くのをやめたとき、挑戦のハードルは一気に下がります。
名言14【コリン・パウエル】成功の近道を探してしまうとき
成功への秘けつなど何も無い。準備、キツい努力、そして失敗から学んだことによる積み重ねの結果に過ぎない
(コリン・パウエル)
コリン・パウエルは、ニューヨークのブロンクスでジャマイカ移民の子として育ちました。エリートコースの出身ではなく、大学の予備役将校訓練課程から軍人の道へ進み、やがて黒人として初めて米軍制服組トップの統合参謀本部議長に就任。さらに黒人初の国務長官も務めました。誰よりも「秘けつ」を聞かれてきたはずの人が、秘けつなど何も無いと答えるのです。あるのは準備と、キツい努力と、失敗からの学びの積み重ねだけ。この答えは一見突き放しているようで、実は最も希望のある答えです。もし秘けつが存在するなら、それを知る人だけが成功します。存在しないなら、成功への道は全員に開かれている。裏ワザ探しに時間を使うのをやめて、今日の準備を一つ進める。遠回りに見えるその道が、実は唯一の本道です。
名言15【野口英世】才能の差に落ち込むとき
誰よりも三倍、四倍、五倍勉強する者、それが天才だ。
(野口英世)
野口英世は1歳のとき、囲炉裏に落ちて左手に大やけどを負いました。貧しい農家に生まれ、指の癒着した手をからかわれながら育ちますが、手術で指が動くようになった感動から医学を志します。上京後は猛烈な勉強で医師の資格を取り、渡米してロックフェラー医学研究所へ。細菌学の研究に生涯を捧げ、黄熱病の研究中に自らも感染して51歳で亡くなりました。「天才」と呼ばれた本人が、天才の定義を才能ではなく勉強量に置いているのがこの言葉です。三倍、四倍、五倍という具体的な数字には、生まれ持ったハンデを努力量で埋めてきた実感がこもっています。スタートラインの差に落ち込む必要はありません。積み上げる量だけは、今日からの自分で決められる。そう考えると、才能という言葉の呪縛は少し軽くなるはずです。
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名言16【王貞治】努力が報われる気がしないとき
努力は必ず報われる。もし報われない努力があるのならば、それはまだ努力と呼べない。
(王貞治)
王貞治さんは通算868本塁打という世界記録を持ちながら、その打撃は才能だけで生まれたものではありませんでした。プロ入り当初は伸び悩み、荒川博コーチとともに一本足打法に挑戦。畳の上で日本刀を振る修行のような素振りを重ね、あの打法を完成させた逸話は有名です。この名言は「努力すれば報われる」という甘い約束ではありません。報われないなら、それはまだ努力と呼べない。つまり、報われるまでやり方を変え、量を重ね続けたものだけを努力と呼ぶ、という厳しくも誠実な定義です。成果が出ないとき、私たちは「努力したのに」と嘆きがちですが、王さんの基準ではそこからが本番です。やり方を見直し、もう一段続ける。その粘りにこの言葉は名前を与えてくれます。積み重ねの途中で読み返したい一言です。
名言17【福沢諭吉】現状維持でいいかと思ってしまうとき
進まざる者は必ず退き、退かざる者は必ず進む。
(福沢諭吉)
福沢諭吉は、大阪の適塾で寝る間も惜しんで蘭学を学んだ猛勉強の人でした。ところが開港後の横浜で、外国人にオランダ語がまるで通じない現実に直面します。時代は英語だと見定めると、それまでの蓄積に固執せず、辞書を頼りにほぼ独学で英学へ切り替えました。『学問のすゝめ』は明治期に累計300万部を超えたともいわれる大ベストセラーになります。進まざる者は必ず退く、という言葉は、この経験に裏打ちされています。自分では現状維持のつもりでも、周囲が進んでいれば相対的に後退している。学び続けなければ蓄積さえ無用になることを、彼自身が誰よりも知っていました。今のスキルで十分だと感じたときこそ、静かな後退の始まりです。一日一ページの読書でも、進んでいる限り退くことはありません。
名言18【イチロー】大きな壁にぶつかったとき
壁というのは、できる人にしかやってこない。超えられる可能性がある人にしかやってこない。だから、壁がある時はチャンスだと思っている。
(イチロー)
イチローさんは、日米通算4367安打という前人未到の記録を築きましたが、その道は順風ではありませんでした。プロ入り後の2年間は一軍と二軍を行き来し、独特の振り子打法をなかなか認められない時期も経験しています。数々の壁を超えてきた人が語るのが、壁は「できる人にしかやってこない」という逆転の発想です。壁を、行く手を阻む障害ではなく、超えられる可能性の証明書として捉え直す。実際、能力とかけ離れた壁は、そもそも壁として現れません。挑戦していない人の前に、壁は立たないのです。今あなたの前にある課題が高く見えるなら、それはあなたがそこまで歩いてきた証拠でもあります。壁の高さに絶望しそうなときほど、これはチャンスの別名だと言い換えてみる。向き合う姿勢が変わると、出せる力も変わります。
名言19【岡本太郎】安全な道と行きたい道で迷うとき
危険だ、という道は必ず、自分の行きたい道なのだ。ほんとうはそっちに進みたいんだ。危険だから生きる意味があるんだ。
(岡本太郎)
出典:『強く生きる言葉』(イースト・プレス)
1970年の大阪万博で「太陽の塔」を生んだ岡本太郎さんは、常に危険な道を選び続けた芸術家でした。18歳でパリに渡って前衛芸術の運動に身を投じ、帰国後は「芸術は爆発だ」という言葉とともに、調和よりも挑発を選ぶ作品を発表し続けます。この名言の洞察は、「危険だ」と感じる道の正体を暴いた点にあります。心が危険だと騒ぐのは、本当はそちらに進みたいから。どうでもいい道なら、危険かどうかを考えることすらしません。安定した現職と、やってみたい仕事。無難な企画と、本当に通したい企画。迷った時点で、心はもう答えを出しているのです。もちろん無謀と勇気は別物ですが、危険だからという理由だけで選択肢を消していくと、行きたい道ばかりが消えていきます。ためらいの正体は、たいてい憧れなのです。
名言20【三浦知良】いいことがなくて下を向きそうなとき
上を向いている限り、絶対にいいことがある
(三浦知良)
三浦知良さんは15歳のとき、プロになると言い残して単身ブラジルへ渡りました。言葉も通じない環境で下積みを重ね、名門サントスとプロ契約。帰国後はJリーグ初代MVPに輝き、50代になっても現役プレーヤーであり続けました。日本サッカーの道を切り開いた人のこの言葉は、単なる楽観論ではありません。ワールドカップ直前のメンバー落選という、キャリア最大級の試練も経験した上での結論です。下を向いても状況は何も変わらない。それなら上を向いて、次に来るチャンスに備えていた方がいい、という実践的な構えの表明なのです。うまくいかない時期に問われるのは、実力よりも姿勢かもしれません。顔を上げている人にだけ、次のチャンスが見える。シンプルですが、続けるほどじわじわ効いてくる言葉です。
名言21【ドリー・パートン】他人任せにしたくなるとき
あなたの人生をかわりに生きてくれる人はいないわ。
(ドリー・パートン)
カントリー音楽の女王ドリー・パートンは、テネシー州の山あいの貧しい家庭に、12人きょうだいの4番目として生まれました。高校卒業の翌日にナッシュビルへ向かい、作詞作曲の才能で道を切り開きます。ホイットニー・ヒューストンの歌唱で世界的に知られる「I Will Always Love You」も彼女の作品です。成功後は故郷に雇用を生み、子どもたちに本を届ける活動も続けています。自分の人生を、誰も代わりに生きてくれない。この言葉は、突き放しているようでいて、最高の応援です。代わりがいないということは、あなたの人生の主演も演出も、あなたが独占しているということ。他人の期待に応えるだけの脚本を演じ続けて、やる気が枯れているなら、一度ペンを自分の手に取り戻してみてください。物語は、そこから動き出します。
名言22【キャロル・バーネット】誰かが変えてくれるのを待っているとき
私の人生を変えられるのは私だけ。誰も私のためにそんなことやってくれないわ。
(キャロル・バーネット)
キャロル・バーネットは、祖母と安アパートで暮らす貧しい少女時代を過ごしました。女性がコメディ番組の看板になるのは難しいとされた時代に、「キャロル・バーネット・ショー」を11年続く人気番組に育て、米国のテレビ史に名を残しています。舞台を夢見てニューヨークへ出る資金がなかったとき、支援者から借りたお金で人生を動かしたという逸話も残る人です。私の人生を変えられるのは私だけ。この言葉の核心は後半の、誰も私のためにやってくれない、という現実認識にあります。待遇への不満も、燃えない毎日も、誰かが察して変えてくれることはまずありません。冷たい事実に聞こえますが、裏返せば、変える権限は常に自分の手元にあるということです。小さな一手を今日打てば、人生はその分だけ確実に動きます。
名言23【ニーチェ】人と違う道を進むのが不安なとき
世界には、きみ以外には誰も歩むことのできない唯一の道がある。その道はどこに行き着くのか、と問うてはならない。ひたすら進め。
(ニーチェ)
出典:『反時代的考察』第三篇「教育者としてのショーペンハウアー」
この言葉は、ニーチェが30歳のころに書いた『反時代的考察』の一篇「教育者としてのショーペンハウアー」に登場します。24歳の若さでバーゼル大学の教授に迎えられた俊英は、しかし学界の主流に背を向け、誰も歩いていない思索の道へ踏み出していきました。世界には、きみにしか歩めない唯一の道がある。そして、その行き先を「問うてはならない」と言い切るところに、この名言の凄みがあります。私たちが一歩を止める理由の多くは、この道はどこに行き着くのか、という不安です。けれど、前例のない道の行き先は、誰にも答えられません。答えのない問いを握りしめて立ち尽くすより、ひたすら進んで自分で確かめる。キャリアでも創作でも、あなたにしか歩めない道は、歩いた分だけ地図になっていくのです。
名言24【ジョージ・エリオット】年齢を理由に諦めそうなとき
なりたかった自分になるのに遅すぎるということはない。
(ジョージ・エリオット)
ジョージ・エリオットは、19世紀英国の作家メアリー・アン・エヴァンズのペンネームです。女性の書くものが軽く見られた時代に男性名で作品を発表し、最初の長編小説を世に出したのは40歳を目前にしたころでした。そこから『ミドルマーチ』など、英文学史に残る傑作を次々と生み出していきます。遅咲きの大作家の名とともに愛されてきたこの言葉は、年齢を言い訳のリストから外してくれます。もう遅い、という感覚の正体は、たいてい他人との比較です。同期はもう課長だから、あの人は20代で始めていたから。けれど、なりたかった自分に近づく歩みに、締め切りはありません。5年後のあなたから見れば、今日は一番若い日です。始めるのに最適な日は過ぎたかもしれませんが、二番目に良い日は、いつでも今日なのです。
名言25【本田宗一郎】失敗が怖くて一歩が出ないとき
チャレンジして失敗することを恐れるよりも、何もしないことを恐れろ。
(本田宗一郎)
本田宗一郎さんは1954年、まだ町工場に毛が生えた程度だった本田技研の社員に向けて、世界最高峰のオートバイレース、マン島TTレースへの出場を宣言しました。経営危機の渦中での無謀ともいえる挑戦でしたが、7年後の1961年、ホンダは同レースで上位を独占し、世界にその名を轟かせます。本人は「私の現在が成功というなら、私の過去はみんな失敗が土台作りをしている」という趣旨の言葉も残しています。この名言が入れ替えるのは、恐怖の対象です。私たちは失敗を恐れて動きませんが、本田さんに言わせれば、恐れるべきは挑戦の失敗ではなく、何もしないまま時間が過ぎること。失敗は経験と学びを残しますが、何もしなかった時間は何も残しません。一歩が出ない夜は、10年後の自分がどちらを後悔するかを想像してみてください。
名言26【スティーブ・ジョブズ】毎日が惰性になっているとき
毎朝、鏡の中の自分に問いかけてきた。もしも今日が人生最後の日だとしたら、今日やろうとしていることをやりたいと思うだろうかと。NOと答える日が何日も続くようであれば、何かを変えなければならないということだ
(スティーブ・ジョブズ)
出典:スタンフォード大学卒業式スピーチ(2005年)
スティーブ・ジョブズが2005年、スタンフォード大学の卒業式で語った有名なスピーチの一節です。その前年に膵臓がんの宣告を受けたジョブズは、死を意識したからこそ、毎日を最終日のつもりで問い直す習慣の重みを学生たちに伝えました。この習慣の優れた点は、判定基準が具体的なことです。やる気が出ない日は誰にでもあります。問題は、NOが「何日も続く」かどうか。単発のNOはただの疲れのサインですが、連続するNOは、何かを変える必要があるというサインです。惰性で続けている仕事、義理だけで続いている習慣に、私たちは驚くほど鈍感になります。毎朝でなくても構いません。週に一度、鏡の中の自分に同じ質問をしてみる。NOが続いていると気づけたこと自体が、人生の舵を切り直す最初のやる気になります。
名言27【ウォルト・ディズニー】夢を口に出すのが恥ずかしいとき
全ての夢は叶います。もし追いかける勇気があるなら。
(ウォルト・ディズニー)
ウォルト・ディズニーは、若いころ勤めていた新聞社を、アイデアが乏しいという理由で解雇されたと伝えられています。最初に立ち上げたアニメ制作会社は倒産し、無一文同然でハリウッドへ。そこから生み出したミッキーマウスが世界を席巻し、周囲が本気にしなかった巨大テーマパークの構想まで実現させました。夢は叶う、とだけ言うなら、ただの綺麗事です。この言葉の主役は後半にあります。もし追いかける勇気があるなら。夢が叶わない最大の原因は、能力の不足ではなく、笑われるのが怖くて追いかけること自体をやめてしまうことだと、ディズニーの人生は示しています。口に出すと恥ずかしい夢こそ、本物の夢です。まず誰かに語ってみる、最初の調べ物をしてみる。追いかけ始めた瞬間から、夢は計画に変わり始めます。
名言28【斎藤茂太】結果を急いで空回りしてしまうとき
焦らない。でも、あきらめない。
(斎藤茂太)
精神科医の斎藤茂太さんは、歌人・斎藤茂吉の長男として生まれ、「モタさん」の愛称で親しまれました。悩める人の心を軽くするエッセイを数多く残し、90歳で亡くなるまで現役で活躍した人です。長年、焦りや不安に苦しむ人たちと向き合ってきた専門家の処方箋が、このわずか十数文字に凝縮されています。焦りとあきらめは、正反対に見えて実は同じ根を持っています。どちらも、すぐに結果が出ないことに耐えられない心から生まれるのです。焦って空回りし、疲れてあきらめる。この悪循環を断つには、結果までの時間を長めに見積もり直すしかありません。焦らない。でも、あきらめない。唱えるだけでペースが整う、お守りのような言葉です。手帳の隅に書き留めておくのに、これほど向いた名言はありません。
名言29【稲盛和夫】過去の結果に落ち込んでいるとき
今日の成果は過去の努力の結果であり、未来はこれからの努力で決まる。
(稲盛和夫)
京セラとKDDIを創業し、78歳で日本航空の再建を成し遂げた稲盛和夫さんは、もともと挫折の多い人でした。受験にも就職にも恵まれず、入社したのは倒産寸前の会社。それでも目の前の研究に没頭するうちに成果が生まれ、27歳での京セラ創業につながっていきます。この言葉の力は、時間を二つに切り分けたところにあります。今日の成果は、過去の努力の結果。だから、今の不遇をいくら嘆いても仕方がない。一方で未来は、これからの努力で決まる。だからこそ、今日から積む努力には確かな意味がある。過去への後悔と未来への不安を、どちらも「今やること」に変換してくれる構造です。結果が出ない時期は、未来の成果を仕込んでいる時期。そう捉え直すと、今日の一時間の価値が変わって見えてきます。
名言30【吉田松陰】何から始めればいいかわからないとき
夢なき者に理想なし、理想なき者に計画なし、計画なき者に実行なし、実行なき者に成功なし。故に、夢なき者に成功なし。
(吉田松陰)
吉田松陰が主宰した松下村塾は、長州の小さな私塾に過ぎませんでしたが、わずか2年余りの間に高杉晋作、伊藤博文、山県有朋ら、時代を動かす人材を輩出しました。松陰自身は安政の大獄に倒れ、29歳の若さで生涯を閉じています。松陰の言葉として広く伝わるこの一節は、夢から成功までを一本の鎖でつないでいます。夢、理想、計画、実行、成功。どこが欠けても鎖は切れますが、注目すべきは出発点が「夢」だという点です。計画や実行はテクニックで補えますが、夢だけは自分の内側からしか生まれません。やる気が出ないときは、実行力のなさを責める前に、鎖の最初の輪を確かめてみてください。心から成し遂げたい夢があるか。そこに火が灯れば、理想も計画も実行も、順に引っ張り出されてくるのです。
名言から見える、やる気を引き出す4つの視点
30の言葉を並べてみると、やる気を引き出す道筋に共通する4つの視点が浮かび上がってきます。
1. 大きな目標を「今日の一歩」に分解する
カーネギーの「一歩一歩進むしかない」、ジョーダンの「ステップ・バイ・ステップ」、武者小路実篤の「もう一歩」、イチローさんの「小さなことを重ねる」。やる気が消えるのは、目標が遠すぎて全体に圧倒されるときです。視線を今日の一歩に戻した瞬間、体は動き始めます。分解こそが、やる気の技術です。
2. 帆の向き、つまり心の持ち方が進路を決める
ウィルコックスは「進路を決めるのは風ではない、帆の向きである」と歌い、ピカソは「できると思えばできる」を絶対の法則と呼び、ゲーテは迷いを努力の証と捉えました。環境という風は選べなくても、受け止め方という帆はいつでも張り直せます。心の向きを変えることは、逃げではなく操船術です。
3. 恐れるべきは失敗ではなく、何もしないこと
シルズは「何もしなければ必ず失敗する」と言い、本田宗一郎さんは「何もしないことを恐れろ」と言い切り、エレノア・ルーズベルトは、できないと思うことへの挑戦こそが自信を生むと説きました。挑戦の失敗は経験を残しますが、無挑戦は何も残しません。恐怖の対象を入れ替えたとき、一歩は軽くなります。
4. 人生のハンドルを自分の手に戻す
パートンの「かわりに生きてくれる人はいない」、バーネットの「私の人生を変えられるのは私だけ」、ニーチェの「きみ以外には歩めない唯一の道」。やる気が枯れるのは、人生の主導権を他人の期待に預けているときです。ハンドルを自分の手に戻す。その自覚だけで、同じ毎日の景色が変わり始めます。
やる気の名言に関するよくある質問
Q1. やる気が出ない朝にまず読みたい名言はどれですか?
「もう一歩。いかなる時も自分は思う。もう一歩。今が一番大事なときだ。もう一歩。」(武者小路実篤・名言4)がおすすめです。遠いゴールではなく目の前の一歩だけに集中させてくれるので、頭が動き出す前の朝でもそのまま使えます。「上を向いている限り、絶対にいいことがある」(三浦知良・名言20)も、一日の姿勢を整えてくれる言葉です。
Q2. 仕事でやる気を失ったときに効く名言はありますか?
「小さなことを重ねることがとんでもないところに行く ただひとつの道」(イチロー・名言5)と、「成功への秘けつなど何も無い。準備、キツい努力、そして失敗から学んだことによる積み重ねの結果に過ぎない」(コリン・パウエル・名言14)です。成果が見えない時期の仕事を「積み重ねの途中」と捉え直せると、目の前の作業に意味が戻ってきます。
Q3. 座右の銘にしたい、やる気が出る短い名言はありますか?
「焦らない。でも、あきらめない。」(斎藤茂太・名言28)は、短く覚えやすく、長期戦の心の構えがこの一言で整います。「進まざる者は必ず退き、退かざる者は必ず進む。」(福沢諭吉・名言17)も、日々の学びを続ける軸として座右の銘に向いた言葉です。
まとめ
30の名言に共通していたのは、やる気を「湧いてくるのを待つもの」ではなく、「自分で引き出すもの」として扱う姿勢でした。目標を今日の一歩に分解する。帆の向きを張り直す。失敗より無行動を恐れる。人生のハンドルを自分の手に戻す。どれも、特別な才能がなくても今日から真似できる技術です。
今のあなたの背中をそっと押す一言が、この中に一つでもあれば嬉しいです。気になった言葉は書き留めて、動けなくなるたびに読み返してみてください。言葉は、使うほど効いてきます。