マイルス・デイヴィスの名言49選

マイルス・デイヴィスの名言の中から心に響く15の名言を厳選してみました。自分の心に響く名言が見つかったら保存して心に残しておきましょう。
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マイルス・デイヴィスの名言49選

マイルス・デイヴィス(1926〜1991)は、20世紀を代表するジャズトランペット奏者。
バップ、クール・ジャズ、モード・ジャズ、フュージョンと時代ごとに音楽の形を変え続け、「ジャズの帝王」と呼ばれた。
自伝やインタビューに残された言葉は、変化や創造、人生への向き合い方を真正面から語っている。
49の名言を、出典と解説とともに紹介する。

名言1【マイルス・デイヴィス】まず動いてみる、説明は後でいい

まず演奏してみる。それが何であるかは後で話そう。

(マイルス・デイヴィス)

出典:プレスティッジ・レコーディング・セッション(1956年)
1956年、プレスティッジ・レコードでの「Relaxin’」セッションで発した言葉だ。「完璧に説明できるまで動けない」と手が止まる瞬間がある。マイルスは言葉より先に演奏した。輪郭が見えていないときこそ、動いたほうが速い。「やりながら考える」で、自分の輪郭が見えてくる。不格好でも踏み出せば、それが何であるかは後でわかるのです。

名言2【マイルス・デイヴィス】情報を詰め込みすぎて伝わらなくなるとき

音楽は分厚くなりすぎた。みんな曲を持ってくるけど、コードだらけだ。俺にはそんな曲は弾けない。

(マイルス・デイヴィス)

出典:The Jazz Review、1958年(Maher & Dorr, Miles on Miles, 2009, p.18に収録)
1958年、ジャズ誌『The Jazz Review』でナット・ヘントフのインタビューに答えた言葉で、翌年の『カインド・オブ・ブルー』へ向かう転換点での発言だ。情報を詰め込むほど、何も残らないと感じることがある。足し続けることが「丁寧さ」に見えるのは錯覚で、本当に伝えたい一点を残すために何を引くかが問われている。引く勇気が、表現を生む技術なのです。

名言3【マイルス・デイヴィス】先人の存在を行き詰まりの理由にしないとき

ルイス(アームストロング)が吹いていないようなものは、ホーンでは何も吹けない。

(マイルス・デイヴィス)

出典:The Jazz Review、ナット・ヘントフとのインタビュー、1958年
「もうやり尽くされている」と感じて動けなくなることがある。マイルスは1958年のインタビューでルイ・アームストロングへの敬意を語ったが、先人への尊敬を行き詰まりの理由にはしなかった。土台があるから遠くまで行ける。先に歩いた誰かがいるから、自分の立ち位置が見つかる。巨人の肩に立つことを、恐れなくていい。

名言4【マイルス・デイヴィス】ミスを含んだままで差し出せる強さ

すべてのミスを含めたまま、あるがままでレコードを作るようになれば、その時こそ本物のジャズ・レコードになる。

(マイルス・デイヴィス)

出典:Oakland Tribune、1961年12月9日
1961年12月9日付『Oakland Tribune』に掲載されたインタビューでの発言だ。失敗が混じっているから全部やり直したくなる。でもマイルスは言う、ミスを含んだ「あるがまま」こそが本物だ、と。完璧な状態だけを残そうとすると、生きた痕跡が消える。少しずれたところ、うまくいかなかった部分ごと差し出せる人間のほうが、最後には強い。

名言5【マイルス・デイヴィス】「好き」を声にできる正直さについて

ポップスが大好きだ。彼の歌い方、演奏——彼のすることすべてが好きだ。

(マイルス・デイヴィス)

出典:Playboy、アレックス・ヘイリーとのインタビュー、1962年
1962年、Playboy誌でのアレックス・ヘイリーとのインタビューで語られた言葉だ。「ポップス」ことルイ・アームストロングへの愛を、マイルスは臆面もなく言い切った。好きなものを好きと言えずにためらうことがある。クールでいたいから、という理由で。「好き」を声にできる人は、自分が何に動かされるかを知っている。それはカッコ悪いことじゃない、一番正直な証明だ。

名言6【マイルス・デイヴィス】誰かに頼ることで輝く、本当の自信

俺のエゴに必要なのは、優れたリズム・セクションだけだ。

(マイルス・デイヴィス)

出典:Jack Chambers, Milestones, 1983, p.261
ジャック・チェンバーズの伝記『Milestones』(1983年)に記録された言葉だ。「自分でやり切らないと」と気張りすぎて疲れることがある。マイルスは自分のエゴを支えるのに、優れたリズム・セクションが必要だと知っていた。誇りを保つために誰かに頼ることは弱さじゃない。支えてくれる人がいてこそ、自分の「一番やりたいこと」が輝くのです。

名言7【マイルス・デイヴィス】若い才能と並んで立つことを怖がらないとき

コールマン・ホーキンスは俺に、自分より年上の人間とは演奏するなと言った。俺はずっとその通りにしてきた。

(マイルス・デイヴィス)

出典:Coryell & Friedman, Jazz-Rock Fusion, 1978, p.40
1978年の著書『Jazz-Rock Fusion』に収録されたインタビューからの言葉だ。実績のある人の方が安心で、新しい人には踏み出しにくい場面がある。マイルスはその逆を選び続け、若い才能と組むたびに自分の音楽も更新されていった。新しいものと並んで立つ怖さを越えたとき、自分の中の何かが動き出す。若さを怖がらなくていい。

名言8【マイルス・デイヴィス】騒音の中で「間」を置く表現の力

俺は沈黙の力というものを知っている。昔クラブで演奏していた頃、みんなうるさくて、騒音だらけだった。

(マイルス・デイヴィス)

出典:Coryell & Friedman, Jazz-Rock Fusion, 1978, p.40
1978年『Jazz-Rock Fusion』収録インタビューからの言葉だ。発信し続け動き続けるほど、かえって何も伝わらなくなることがある。マイルスは音のない「間」で聴衆の耳をつかんだ。クラブの騒音の中で沈黙を置くことを知っていたからだ。何も言わない時間を恐れなくていい。手を止めることが、次の一音を遠くまで届かせるのです。

名言9【マイルス・デイヴィス】外の声に惑わされず、軸を一本に絞る

俺が興味を持っているのは、音楽とミュージシャンのことだけだ。

(マイルス・デイヴィス)

出典:Coryell & Friedman, Jazz-Rock Fusion, 1978, p.40
1978年『Jazz-Rock Fusion』収録インタビューで語られた信条だ。フォロワー数、評価、比較。なぜこれをやっているのかが、外の声にかき消されそうになる瞬間がある。マイルスの関心は「音楽とミュージシャン」だけだった。余計な軸を全部外したそのシンプルさが、彼を半世紀にわたり第一線に立たせた。「それだけ」と言い切れる場所を、自分の中に持っていい。

名言10【マイルス・デイヴィス】動機が混み入るほど、足が重くなるとき

ビリー・ホリデイは世界で一番素晴らしい女性だった。彼女はただ歌いたかっただけなんだ。

(マイルス・デイヴィス)

出典:Coryell & Friedman, Jazz-Rock Fusion, 1978, p.41
1978年『Jazz-Rock Fusion』収録インタビューで、マイルスがビリー・ホリデイへの敬意を語った言葉だ。なぜこれをやっているのか、理由が複雑になりすぎて疲れる日がある。マイルスがホリデイに見たのは「ただ歌いたかった」という純粋さだった。動機が混み入るほど足が重くなる。「好きだから」という原点に戻れたとき、一番軽く動けるのです。

名言11【マイルス・デイヴィス】一言一句を惜しまない姿が生む信頼

彼はメロディーを一つも無駄にしなかった。フレーズを一つも無駄にしなかった。

(マイルス・デイヴィス)

出典:ギル・エヴァンスについて、UPI通信、1988年3月21日
1988年3月、長年の音楽的盟友アレンジャーのギル・エヴァンスの死に際して、マイルスがUPI通信に語った追悼の言葉だ。速さや量が求められる日々の中でも、言葉ひとつ、仕上げのひとてまを惜しまない姿は記憶に残る。一音も一フレーズも無駄にしないという姿勢は才能の話ではなく、毎日の選択の話だ。その積み重ねが「確かな人だ」という信頼をつくる。

名言12【マイルス・デイヴィス】日常の細部の選択が人生をつくっていく

俺にとって、音楽も人生もすべてスタイルにある。

(マイルス・デイヴィス)

出典:Miles: The Autobiography(自伝)、1989年、p.398
1989年の自伝『Miles: The Autobiography』に記された言葉だ。何を選ぶか、何を断るか、誰と時間を使うか。その小さな選択の積み重ねが、その人の「スタイル」をつくっていく。派手な実績より先に、日常の細部にこだわること。それが人生を自分のものにしていく。特別な才能でなくていい。自分なりの選択を重ねていくことがスタイルになるのです。

名言13【マイルス・デイヴィス】積み上げてきたことが、根拠のある自信になる

俺は音楽を4、5回変えてきた。あなたは白人であること以外に、何か重要なことをしたのか?

(マイルス・デイヴィス)

出典:Miles: The Autobiography(自伝)、1989年、p.371(1987年ホワイトハウス・レセプションでの発言)
1987年、レイ・チャールズを称えるホワイトハウス・レセプションで、招待理由を問われたマイルスが返した言葉だ。自伝p.371に記録されている。「自分なんて何者でもない」とふと思う瞬間がある。でもその問いに、もう一つ問いを返せる。与えられた条件ではなく、自分が積み上げてきたこと。それが根拠のある自信の出どころになる。

名言14【マイルス・デイヴィス】自分のものを創り出すとき、限界は先にある

自分自身のものを創り出しているとき、空でさえも限界じゃない。

(マイルス・デイヴィス)

出典:Miles: The Autobiography(自伝)、1990年ペーパーバック版、p.206
自伝1990年ペーパーバック版(p.206)に記された言葉だ。「これでいいのか」と迷いながら作り続けていることがあるなら、それはすでに自分のものを作っている証拠だ。誰かの評価より先に、自分がどこに向かっているかを問うこと。その問いに向き合っているとき、限界はまだずっと先にある。自分自身のものを創り出しているとき、空でさえも限界ではないのです。

名言15【マイルス・デイヴィス】余白や沈黙を怖がらず、次の自分へ向かう

そこにあるものを演奏するな、そこにないものを演奏せよ。

(マイルス・デイヴィス)

出典:Ian Carr著『Miles Davis: A Biography』(1982年)p.176にデイヴ・ホランドが伝承
ベーシストのデイヴ・ホランドが、マイルスから言われた言葉としてイアン・カー著の伝記(1982年、p.176)に記録している。「もっとアウトプットを出せ」という空気の中で、マイルスは逆のことを言った。すでに形にあるものより、まだそこにない可能性に目を向けること。余白や沈黙を怖がらなくていい。「そこにないもの」を探し続けることが、次の自分へとつながっていく。

名言16【マイルス・デイヴィス】過去の実績より、まだやっているという事実

伝説とは、昔やったことで知られる、杖をついた老人のことだ。俺はまだやり続けている。

(マイルス・デイヴィス)

出典:International Herald Tribune、マイク・ズウェリン記者、1991年7月17日
1991年7月17日付『International Herald Tribune』での言葉で、死の約2ヶ月前の発言だ。フランスでレジオン・ドヌール勲章を授与された後のヨーロッパ・ツアー中のことだった。「あのころはすごかったね」という言葉は、優しいようで過去に置かれる言葉だ。昨日の自分より今日の自分。まだやっているという事実が、本物の強さなのです。

名言17【マイルス・デイヴィス】動き続けても突破口がないとき、一度手を離す

そのクソッタレなホーンを口から離してみろ。

(マイルス・デイヴィス)

出典:Leonard Garment著『Crazy Rhythm』(2001年)p.406
ニクソン政権の補佐官レナード・ガーメントがサックスを練習しているのを聞いたマイルスが与えたアドバイスで、ガーメントの回顧録『Crazy Rhythm』(2001年、p.406)に記録されている。うまくいかないとき、もっと頑張らなければと力を入れてしまいがちだ。全力で動き続けても突破口が見えないときこそ、いったん道具から手を放す勇気がある。それが次の音への入口になることがある。

名言18【マイルス・デイヴィス】バップだけが正解だと断じた瞬間

バップ以外に音楽はないと言う連中はただの馬鹿だ。彼らがどれだけ無知かを示しているだけだ。

(マイルス・デイヴィス)

出典:DownBeat誌、パット・ハリス記者、1950年1月27日
「この方法でしか成果は出ない」と思い込んでいた瞬間、誰にでもある。23歳のマイルスは1950年の『DownBeat』誌で、バップ至上主義者をはっきり批判した。一つの正解に縛られている人は、自分の無知を証明しているだけだ、と。自分の中にある「これしかない」という思い込みを一度疑ってみること。それが新しい可能性の入口になる。

名言19【マイルス・デイヴィス】地味な基礎が続いて先が見えないとき

バップを演奏するには、ずっと遠くから始めなければならない。基礎がなければならない。

(マイルス・デイヴィス)

出典:DownBeat誌、パット・ハリス記者、1950年1月27日
地味な作業が続く日、「これが何の役に立つのか」と思うことがある。でもマイルスは23歳のとき、すでに答えを持っていた。1950年の『DownBeat』誌で語ったように、高い場所に立つには、ずっと手前から積み上げた土台が要る。今やっている地味な基礎作りは無駄じゃない。それがいつか自分の「基礎」になる。

名言20【マイルス・デイヴィス】自分の仕事を軽く扱われたとき

彼らはミュージシャンを十分に敬ってくれていない。

(マイルス・デイヴィス)

出典:DownBeat誌、パット・ハリス記者、1950年1月27日
自分の仕事を軽く扱われたとき、「気にしすぎだ」と飲み込んだ経験がある人に、この言葉は届く。23歳のマイルスは1950年の『DownBeat』誌でプロモーターやクラブオーナーに向かってはっきり言った。十分に敬われていない、と。自分の仕事に価値があると知ること、そしてそのことを声にできること。それが自分を守る最初の一歩だ。

名言21【マイルス・デイヴィス】緊張して声が出なかったあの場面

俺の音が聞こえなかった。ミュートを使って吹いていたし、怖くて縮こまっていたから。

(マイルス・デイヴィス)

出典:DownBeat誌、パット・ハリス記者、1950年1月27日
プレゼンの前、会議での発言、はじめての仕事。怖くて声が小さくなる瞬間は、誰にでもある。あのマイルス・デイヴィスでさえ、キャリアの初期には「怖くて縮こまっていた」と率直に話している。萎縮することは弱さではない。その先に、ミュートを外す日が必ず来るのだから。

名言22【マイルス・デイヴィス】選んだ道を夜中に振り返ってしまうとき

父は俺に、自分にとって大切なものを選び、振り返らないことを教えてくれた。他人の目も気にしないように。

(マイルス・デイヴィス)

出典:Spin誌、クインシー・トループとのインタビュー、1985年11月号
「あの選択でよかったのか」と夜中に考え直す癖がある人へ。マイルスは1985年の『Spin』誌で、父(歯科医)から「自分にとって大切なものを選び、振り返るな。他人の目も気にするな」と教わったと語っている。何を選ぶかは自分が決める。その選択に振り返りは要らない。選んだ道はすでに正解でいい。

名言23【マイルス・デイヴィス】結果が出る前から実力が表れている

男が演奏できるかどうかは、服装、立ち方、ホーンの持ち方で分かった。

(マイルス・デイヴィス)

出典:Spin誌、クインシー・トループとのインタビュー、1985年11月号
仕事への向き合い方は、言葉より先に態度に出る。マイルスは、セントルイス時代に訪れる一流ミュージシャンを服装や立ち方、ホーンの持ち方だけで見分けたと語った。「準備している人間の佇まい」は、結果が出る前からすでに違う。今日の自分がどう立っているかが、実力の一部を語っているのです。

名言24【マイルス・デイヴィス】最悪な時期を誰かを呪いながら生き延びた

12日間天井を見つめながら横になって、嫌いな連中全員を呪った。

(マイルス・デイヴィス)

出典:Spin誌、クインシー・トループとのインタビュー、1985年11月号
最悪な時期、誰かを心の中で呪い続けた経験がある人がいるかもしれない。1954年、マイルスはヘロイン中毒から脱するため父の農場に一人こもり、禁断症状の12日間を「ただ天井を見上げながら嫌いな連中全員を呪った」と語った。それでも彼はその時間を生き延びた。呪いながら横になっていることも、底を乗り越える方法のひとつだ。

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名言25【マイルス・デイヴィス】このままではいられないと感じた転換点

音楽を変えなければならなかった。アプローチも変える必要があった。演奏の仕方も、演奏するものも。

(マイルス・デイヴィス)

出典:Spin誌、クインシー・トループとのインタビュー、1985年11月号
何かを変えたい、このままではいられない。その衝動を「逃げ」だと言う人がいる。マイルスは「音楽を変えなければならなかった」と言い、アプローチも演奏の仕方も何もかも刷新した。エレクトリック期への移行はその内的衝動から始まった。「変えなければならない」という感覚は、本物の動き出しの合図になりうる。

名言26【マイルス・デイヴィス】ラベルが本質を遠ざけていく感覚

ジャズという言葉が使われれば使われるほど、みんなはそういう音楽を聴きたがらなくなった。

(マイルス・デイヴィス)

出典:Spin誌、クインシー・トループとのインタビュー、1985年11月号
「あなたって〇〇系の人だよね」と分類された瞬間、話を聴いてもらえなくなることがある。マイルスは「ジャズ」というラベルが増えるほど音楽から人が離れていったと語り、自分の音楽を「ジャズ」と呼ばれることを嫌った。肩書きやカテゴリーが、本質を遠ざけることはある。名前より中身を見てもらえる場所を選んでいい。

名言27【マイルス・デイヴィス】尊敬できる人の強さを自分の力に変えた

ボクシング・チャンピオンのシュガー・レイ・ロビンソンが、俺に麻薬をやめる気力を与えてくれた。

(マイルス・デイヴィス)

出典:Spin誌、クインシー・トループとのインタビュー、1985年11月号
「あの人みたいになりたい」という気持ちが、一番苦しい時期を支えることがある。マイルスはボクサー、シュガー・レイ・ロビンソンの鍛錬と強さを見て、断薬の気力を得たと語った。本気で尊敬できる存在を持つことは、自分にはない気力を借りられることでもある。誰かの強さを、自分の踏み出す力に変えることができる。

名言28【マイルス・デイヴィス】うまく見せようとする前に自分の音が出ているか

いつも教えてやっていた。彼の演奏が好きだった。自然に演奏していた。

(マイルス・デイヴィス)

出典:Spin誌、クインシー・トループとのインタビュー、1985年11月号(ジミ・ヘンドリックスについて)
技術があっても、うまく見せようとする気配が出すぎると、何かが届かなくなる。マイルスがジミ・ヘンドリックスに演奏を教えながら彼を評して残した言葉は「自然に演奏していた」というひと言だった。巧みさを競う前に、自分の音が出せているかどうか。その問いを持てている人間は強いのです。

名言29【マイルス・デイヴィス】自分だけの体験が誰かの孤独に届くとき

その音をレコードに入れたかった。世界中の多くの人々に起きることだから。

(マイルス・デイヴィス)

出典:Spin誌、クインシー・トループとのインタビュー、1985年11月号(手錠の音について)
怒りや痛みを「作品」に変えるという選択がある。マイルスがアルバムに手錠の音を収録したのは、「世界中の多くの人々に起きること」だからだと語った。警察による不当な扱いへの告発を音で記録したのだ。自分だけの体験だと思っていたものが、誰かの孤独にも刺さることがある。声にする意味は、そこにある。

名言30【マイルス・デイヴィス】環境に流されて気づけなかったとき

退屈していて、ヘロインをやっている連中と一緒にいた。そういう経緯で俺も習慣になってしまった。

(マイルス・デイヴィス)

出典:Spin誌、クインシー・トループとのインタビュー、1985年11月号(ナット・ヘントフへの語りを再掲)
1940年代末、マイルスは退屈と孤独の中でヘロイン依存に陥った経緯を晩年のインタビューで率直に語った。特別な動機があったわけではなく、周りの環境にそのまま引き込まれた、と。どんな人間でも、立っている場所の影響から自由ではない。誰と、どんな場所にいるかを選ぶことは、自分を守る最も静かな意志決定だ。

名言31【マイルス・デイヴィス】自分の仕事に胸を張って語れるか

俺の芸術的貢献のためだ。なぜなら俺は天才だから。

(マイルス・デイヴィス)

出典:Spin誌、1991年12月号(最後のインタビュー)
自分の仕事に胸を張れているか。マイルスは死の直前、マルタ騎士団のメダルを授与された理由を問われ「芸術的貢献のため、なぜなら俺は天才だからだ」と答えた。傲慢に聞こえるかもしれないが、これは積み重ねてきたものへの正直な評価だ。自分がやってきたことを自分で認めること。その実直さが「天才」の一言に詰まっている。

名言32【マイルス・デイヴィス】届けたい相手の顔が霞んでいるとき

誰がレコードを買おうと気にしない。ただ黒人のもとへ届けば、俺は死んでも忘れられないだろう。

(マイルス・デイヴィス)

出典:Melody Maker誌インタビュー(Jack Chambers, Milestones, pp.235-38に収録)
「誰に評価されているか」が気になりすぎると、届けたい人の顔が霞む。1972年の「オン・ザ・コーナー」制作中、マイルスが気にしたのは市場でも批評家でもなく、特定の誰かだった。「誰のために作るか」が定まると、余分な声が少しずつ小さくなる。届けたい相手を一人思い浮かべたとき、仕事は自分のものに戻ってくるのです。

名言33【マイルス・デイヴィス】完成させなければという焦りが手を止めるとき

曲を終わらせることはない。ただ続いていくだけだ。

(マイルス・デイヴィス)

出典:Miles: The Autobiography(自伝)、1989年、p.329
完成させなければ、という焦りが手を止めることがある。マイルスは1989年の自伝の中で「終わらせた」ことは一度もないと語った。曲はただ続いていくだけだ、と。仕事でも人間関係でも、「完成」という幻を追いかけているうちは苦しい。途中のまま動き続けることが、最も誠実な前進の形だ。

名言34【マイルス・デイヴィス】何かを足す前に何を外すかを問う

シュトックハウゼンを通して、俺は音楽を排除と追加のプロセスとして理解した。

(マイルス・デイヴィス)

出典:Miles: The Autobiography(自伝)、1989年、p.329
何かを新しく足そうとするとき、まず「何を外すか」を問った人がいる。1970年代初頭、マイルスは現代音楽作曲家カールハインツ・シュトックハウゼンの影響を受け、「オン・ザ・コーナー」を制作した。創作を「排除と追加のプロセス」として捉えた時期だ。仕事の質を上げたいなら、手順を増やす前に削れるものを探す。引き算の判断こそ、創造の入り口だ。

名言35【マイルス・デイヴィス】映像より音が深く届く瞬間

映像は死んでいる。目を閉じれば、もうそこにいる。

(マイルス・デイヴィス)

出典:Leonard Feather著『From Satchmo to Miles』(1972年)p.248
レナード・フェザー著『From Satchmo to Miles』(1972年)に収録されたマイルスの言葉。映像が溢れる時代に、あえて目を閉じて音に委ねる行為をマイルスは「そこにいる」と表現した。見えるものは思考を引っ張るが、聴こえるものは内側へ引き込む。音楽が映像より想像力を深く刺激するという確信を、マイルスは「死んでいる」という強い言葉で言い切った。

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名言36【マイルス・デイヴィス】自信を先に声に出すとき

あなたが今まで聴いた中で最高のロックンロール・バンドだ。

(マイルス・デイヴィス)

出典:Paul Tingen著『Miles Beyond』(2001年)p.104(「ジャック・ジョンソン」セッションについて)
最高と言い切る前に、誰かの許可を求める必要はない。1970年のアルバム「ジャック・ジョンソン」セッションで、ジョン・マクラフリン等を集めたマイルスは自らのバンドをこう宣言した。根拠が揃ってからではなく、先に声に出す。自信とは後から手に入れるものではなく、宣言することで育てていくものなのです。

名言37【マイルス・デイヴィス】12歳で音楽に人生を賭けた

12歳の頃には、音楽が人生で最も大切なものになっていた。

(マイルス・デイヴィス)

出典:Miles: The Autobiography(自伝)、1989年
1926年イリノイ州アルトン生まれのマイルスは、12歳のときトランペット教師エルウッド・ブキャナンとの出会いで音楽に没頭し始めた。何が「一番大切」かを決めるのに、大人になるまで待つ必要はない。12歳のあの感覚は、誰に言われたわけでもなく、自分の内側から来たものだ。その確信を、マイルスはその後の人生ずっと手放さなかった。

名言38【マイルス・デイヴィス】昨日の自分をも超えようとするとき

ジャズは死んだ……終わりだ!もう意味はない。そんなものを真似するのは馬鹿げている。

(マイルス・デイヴィス)

出典:Paul Gilroy著『The Black Atlantic』(1993年)より
うまくいったやり方をくり返していると気づいたとき、少し立ち止まってほしい。マイルスは自分が築き上げた「ジャズ」という言葉ごと捨てた。「真似するのは馬鹿げている」という断言の裏には、昨日の自分をも超えようとする意志がある。模倣を手放した先にしか、次の音は待っていないのです。

名言39【マイルス・デイヴィス】最高傑作を「終わった」と言い切る

「ソー・ホワット」も「カインド・オブ・ブルー」も、あの時代のものだ。あの時、あの日に起きたことだ。もう終わった。

(マイルス・デイヴィス)

出典:ベン・シドランとのインタビュー、1986年(Ashley Kahn, JazzTimes, 2001年9月号に引用)
過去の成功にしがみつかなくていい、とマイルスは自らの最高傑作で証明した。1986年のインタビューで「カインド・オブ・ブルー」すら「あの時代のものだ、あの日に起きたことだ」と語り、振り返らなかった。自分の代表作を「終わった」と言い切れる潔さが、常に次を向く力の源だ。

名言40【マイルス・デイヴィス】絵を見て音楽が聴こえる感覚

良い絵を見ると、良い音楽が聴こえる。だから俺の絵は音楽と同じなのだ。

(マイルス・デイヴィス)

出典:小川能里枝著(2017年)p.238
良い絵を見て音楽が聴こえた経験はあるだろうか。晩年のマイルスは絵画制作にも情熱を注ぎ、音楽と絵画の間に共感覚的なつながりを見出していた。マイルスにとって絵と音楽は別々の表現ではなく、同じ感覚の出口だった。この言葉は、一つのことを深く掘り下げていくと別の世界までつながることを教えてくれる。表現は、根のところで一つだ。

名言41【マイルス・デイヴィス】音楽の文法で新しいことを理解する

俺は線と色に興味がある。線はフレーズのようで、色を塗ることはコードのようなものだ。

(マイルス・デイヴィス)

出典:小川能里枝著(2017年)p.238
「別のことに挑戦すると、何もかも一から覚え直しだ」と思う必要はない。マイルスは絵画を「線はフレーズ、色はコード」と語り、音楽の文法で新しい世界を理解した。自分の中にあるフレームは、あなたが思っているよりはるかに遠い場所まで連れていってくれるのです。

名言42【マイルス・デイヴィス】初めて聴いて全身が止まった瞬間

服を着た中で、人生で最高の感覚を味わったのは、初めてディズとバードを一緒に聴いた時だった。

(マイルス・デイヴィス)

出典:Miles: The Autobiography(自伝)、1989年(プロローグ)
1944年、18歳のマイルスがセントルイスでディジー・ガレスピーとチャーリー・パーカーの演奏を初めて聴いた瞬間——自伝のプロローグを飾るこの記憶が、彼の音楽人生の出発点だった。点数でも他人の評価でもなく、「これだ」と全身が反応した体験。言葉にならなくてもいい。あの震えが、自分の進む道を指し示している。そういう感覚は、本物だ。

名言43【マイルス・デイヴィス】一夜にしてできないと気づいたとき

物事には時間がかかる。新しいことを学んで、一夜にしてできるようになるわけじゃない。

(マイルス・デイヴィス)

出典:Miles: The Autobiography(自伝)、1989年
新しいことを始めて、なかなか上達しない日が続くとき。才能がないのかと諦めかけそうになる。でも、それは才能の問題じゃない。ただ、まだ時間が足りていないだけかもしれない。マイルスが言う通り、「一夜にして」できることなど最初からない。焦らず続けていい。

名言44【マイルス・デイヴィス】暴走を止めてくれる人が傍にいる

生涯に一人でも兵士、あるいはギル・エヴァンスのような存在がいる人は幸運だ。

(マイルス・デイヴィス)

出典:Miles: The Autobiography(自伝)、1989年
マイルスが「兵士」と呼んだのは、暴走を止めてくれる人のことだった。長年の音楽的盟友アレンジャー、ギル・エヴァンスへの最大の賛辞として自伝に記されたこの言葉。何でも肯定してくれる人より、正直に引き止めてくれる人が傍にいること。それはめったにない運のよさだとマイルスは言う。思い当たる顔があるなら、その人がいることそのものが、もうあなたの「幸運」だ。

名言45【マイルス・デイヴィス】あらゆる表現にスタイルを求める

何をするにもスタイルがなければならない——文章、音楽、絵画、ファッション、ボクシング、何でもだ。

(マイルス・デイヴィス)

出典:Miles: The Autobiography(自伝)、1989年
「うちはこのやり方でやります」と言い切れなくて、周りに合わせてばかりいる日がある。でも、マイルスはボクシングにまで「スタイル」を求めた。仕事でも、話し方でも、優先する価値観でも。自分だけのやり方を、少しずつ磨いていい。どんな分野であれ、スタイルこそが本質だとマイルスは言う。

名言46【マイルス・デイヴィス】実力があっても評価されない日

高校の音楽クラスでは、トランペットで一番だった。でも賞はみんな青い目の男の子たちが持っていった。

(マイルス・デイヴィス)

出典:Playboy誌、アレックス・ヘイリーとのインタビュー、1962年9月号
1962年Playboy誌のアレックス・ヘイリーとのインタビューで語られた若き日の記憶。どれだけ頑張っても、正当に評価されない悔しさがある。評価が自分の外にある理不尽は消えない。でも、才能が認められなかった事実は、才能がなかった事実とは違う。マイルスはその区別を、誰より知っていた。評価されない日と、力のない日は、まったく別の話だ。

名言47【マイルス・デイヴィス】悔しさを前に進む燃料に変えるとき

俺はトランペットで白人全員を超えてやろうと決意した。

(マイルス・デイヴィス)

出典:Playboy誌、アレックス・ヘイリーとのインタビュー、1962年9月号
悔しさはただ飲み込まれるだけのものじゃない。高校での人種偏見という理不尽な現実の前で、マイルスは「超えてやる」という決意に変えた。不当に評価されない怒りを、封じ込める必要はない。正当に見てもらえない悔しさは、自分が前に進む力に変えていっていい。

名言48【マイルス・デイヴィス】音楽も人生もスタイルで生きる

オレにとって、音楽も人生もスタイルがすべてだ。

(マイルス・デイヴィス)

マイルスほど「スタイル」という言葉を全身で生きた人はいない。服装、演奏、人との距離の取り方、すべてに一本の線が通っていた。音楽だけでなく人生そのものをスタイルの問題として扱うとき、「どう生きるか」は哲学になる。自分なりのやり方を持つことはわがままではない。それが、あなたらしく生きるということだ。

名言49【マイルス・デイヴィス】誰かの言葉を完全にはわかれない

もしオレが言った意味をすべて理解できるなら、お前はオレだよ。

(マイルス・デイヴィス)

誰かの言葉を「完全にわかった」と思った瞬間、少し立ち止まってほしい。マイルスはこの言葉で、自分の内側にあるものは説明しきれないと言い切った。人の言葉を100%理解するには、その人そのものにならなければならない。だからこそ、人の言葉は汲み尽くせない。わからないところが残るほど、その言葉はあなたの外に広がり続ける。

マイルス・デイヴィスの名言についてよくある質問

「音楽について書くことは、建築についてダンスするようなものだ」はマイルス・デイヴィスの言葉ですか?

この言葉はマイルス・デイヴィスのものとして広く流通しているが、本人の言葉とは確認できない。
Quote Investigator(引用調査サイト)の調査では、俳優・音楽家のマーティン・マルが1978年に語ったとされる発言が最古の記録。
マイルス・デイヴィスが語ったという一次資料(インタビュー・自伝・録音)は現在のところ確認されていない。
この記事の49選には含めていない。マイルスが実際に語った「創造」や「音楽」への言葉は、上記の名言1・名言2・名言8などを参照してほしい。

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